表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
ケレス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/47

003話 5月10日#03

 後ろを振り返ると、すぐそこに誰かがじっと佇んでいた。



 「うおお!!」俺は驚いて叫び声をあげた。「びっくりした。あんたいつから……」



 その人は赤いフード付きマントにくるまっていて、顔すらよく見えなかった。しかも、その人は俺を無視して、足元に落ちている緑色の石を手に取った。



 「……『リブラ』か」



 赤マントはそうつぶやいた――と思ったら、その石を俺に手渡してきた。



 「持ってて」


 「……へ?」



 目を丸くする俺をよそに、赤マントは通りの方へとてくてく歩いていった。



 「そっち行ったら、危ないぞ?」



 ――その時、『幼虫』が動き出した。通りを突き進んで、街の奥の方へ入っていこうとする。



 その目の前に、赤マントは堂々と立ち止まった。


 『幼虫』は上体を反らし、赤マントの上から巨体を叩きつけた。



 「ちょっと……!!」



 何をしようと思ったのか自分でもわからないが、俺は咄嗟に赤マントの方へ行こうとした。


 だが、その途中でぴたりと足が止まった。



 ――赤マントは、宙に浮いていた。



 「え……」



 十数年生きてきて、空を飛べる人間は初めて見た――いや、確かに飛空艇とかドローン型ロボットとか、この世に飛べるものはたくさんあるんだけどさ。


 生身の人間が何も持たずに飛べるなんて、聞いたことがない。



 「ちょ、え?うええ???」



 赤マントは、どこからともなく大きな剣を取り出した。


 そして、後ろに下がり「キイイイイ!!!」と甲高い音をあげた『幼虫』の頭を、剣の腹で思いっきり叩きつけた。



 ――ズドーーーーーーン!!!



 『幼虫』が、地面に沈んだ。



 「つ、強っ!」



 『幼虫』は、頭だけで飛空艇1艘と同じくらいの大きさはありそうなのに、赤マントは剣で何度か殴りつけ、確実にダメージを与えていた。



 ――よくよく見ると、その剣の大きさもなかなかだ……刃だけで、赤マントの身長や横幅と同じくらいの大きさがある。



 「あんなの、ありかよ……」



 もはや、俺の知っているモンスターとの戦いの域を、完全に超えていた。


 『幼虫』は、後ろに下がって『C』の字みたいに体を曲げた。先程光線を吐いたときと同じ姿勢だ。



 「おい!気をつけろ!」俺は赤マントに向かって叫んだ。「あいつ、たぶん光線を……」



 赤マントは、俺の忠告を聞いてるのか聞いてないのか、剣を目の前に構えた。そしてその剣に向かって、『幼虫』は光線を吐いた。


 俺は眩しくて目を瞑った。再び目を開けると、そこには……



 ――巨大な火の球があった。



 「……は?」


 「カウンター……」赤マントの声がはっきりと聞こえてきた。「……『イグニスフィア』!!!」



 火の球は『幼虫』に向かって勢いよく飛んでいき、『幼虫』に当たった瞬間、大爆発を起こした。



 「ギイイイイイイィイ!!!!!」



 『幼虫』の叫び声が聞こえる。



 「な、何だよあれ……」俺はその場で凍りついていた。「あれって、ホントに魔法なのか……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ