024話 5月13日#02
その後、俺たちはエレベーターに乗って、今いたビルの屋上へやって来た。
「え?ここが……屋上?」
燦々と照らす太陽の光に、青々と茂る木や草の葉っぱ。
中央には、様々な色の薔薇が咲き誇っている。
「全然ウラヌスの他の場所と違うな」
『ここにいる人たち、みんなのんびり過ごしていますね』
音楽祭をやっているからか、この庭園には楽器を鳴らしている人がいた。そばで「今夜センタービルの屋上で、エラ・リミド氏の歌が聞けるコンサートがあるよ!」と宣伝している人もいる。
エラって歌も歌えるんだ……と思いながら、俺は別のことをぼそっとつぶやいた。
「ここにいるの、みんな上流階級だな。メイドを連れている人もいるし……」
「そろそろわかってきたが、」とレイは言った。「この街、住んでいるところの階層が上がるにつれて、社会的階層も上がっていくんじゃないか?」
『どうもそうらしいですね』ピエール33世は、あちこちにカメラを向けていた。『観光客はもてなされていますが、地元の人に関しては、結構厳しい階級社会になってるようですね』
「……で、最上階に住んでいるのが、『リミド一家』……」俺は木にもたれかかった。「「ウラヌスで『光』を見られる人は、清く正しい人だけ」ってエラが言ってたのは、上流階級だからそう思ってんのかもな」
『では、『10階以下』に住んでいる人たちは?』
「……貧困層?」
「もしくは、犯罪者とか?」レイは首を傾げた。「実際、ここの下の方の階は、あんまり環境が良さそうに思えない」
「『10階』って、数字が気になるな――『11階以上』と分ける何かがあるとか?」
『何か気になりますね』
「それに、」
――もし、石が落下したのが『10階以下』の階層だったら?
「……今から行って、確かめてみるか」
レイとピエール33世が固まった。
「……ダメか?」
『いえいえ!』ピエール33世はオレンジ色に光った。『『今から』なんて、とても行動力があると思いまして!』
「『行動力』っていうか、『石』がありそうなところは全部、虱潰しに探した方がいいと思って……」
『確かに!』
「……しかし、そもそもどうやったら、その階層へ行けるんだ?」
レイの言うとおりだ。
「……階段、とか?」
『え?』ピエール33世の光が、緑色に変わった。
「エレベーターだけじゃ、いつ止まって使えなくなるかわかんないだろ。どこかに階段があるんじゃないか?」
「おお!」レイはぽんと手を打った。「たまにはいいアイディアが浮かぶんだな!」
「俺を何だと思ってるんだ……」
『それでは、昼間のうちに階段を探してみましょう!』ピエール33世が、再びオレンジ色に光を変えた。『夜になったら、見つけづらくなりますよ!』
「今までの聞き込みと並行して探すか」
「おーけー」レイが間の抜けた肯定をした。
俺たちは日に当たりながら、ゆっくりとその場を後にした。




