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月と星座と剣士の旅〜魔法が苦手な俺が、魔法で神様を救う話〜  作者: く~が~
トリトン‐ヴィクトリア編

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122/122

122話 5月25日#08

 ソフィアが立ち去った後、俺たちはお茶を飲みながら、それぞれがぼーっと何かを考えていた。



 『あ、あのー……』ピエール33世がおそるおそる言った。『ホントに申し訳ないです。ワタクシと一緒にいたがために、大変危険な旅をすることになっていたなんて……』


 「ピエール33世のせいじゃないだろ」俺は椅子の背もたれに寄りかかった。「それに、そんな危険な旅なら、味方は多い方がいい」


 「そうだねー」テンは、帽子をくるくる回して弄んでいた。「そうそう。僕はまだ一緒にいるつもりだよ!ここまで来て、後には引けないから!」


 『い、いいんですか?』ピエール33世は、震えていた。『太陽の神も星霊使いもピース教団の人も、普通の人じゃないんですよ?あなたにとって、非常に危険な相手だと……えええ!?』



 ――テンがピエール33世に銃を向けていた。ほとんど一瞬で。



 『な、何で急に!アナタまさか……!!』



 ――しかし、テンはすぐに銃をしまった。


 そして、ニヤリと笑った。



 「僕も、自分は普通の人じゃないって自覚があるから。本気になれば、ここにいる全員を守れる自信がある」


 「どう見ても、お前は普通じゃねえよ」俺ははあとため息をついた。「ちなみに、俺はお前がいなくても、自分の身は自分で守れるからな」


 「……それで、君はどうするの?」


 「もちろん俺もついていく……と、言いたいところなんだが、その前にちょっと確認しなきゃいけないことがある」



 俺のその言葉を聞いて、その場にいる全員が顔を上げた。



 「俺が闘技士(グラディアトル)であることは知ってるだろ?」


 「僕は初耳なんですけど」


 「……あたしも……」


 「あたしも知らないわ」



 ――全然説明してなかった。



 「じゃあ、今知っただろ?」俺は頭を掻いた。「俺としては仕事を放り出したくないし、そもそも闘技場の試合に勝つヒントを探すために一緒に旅してたんだ」


 『……あ、そうなんですね』ピエール33世がほのかにピンク色に光った。


 「だから、次の試合が具体的にいつなのか、確認しておきたいんだ」


 「それはそうよねー♪」リアはこくこく頷いた。「仕事を辞めるわけにはいかないものねー♪」


 「……じゃあ、君はその『試合』がどうなるのかで決めるとしてー」テンは、テーブルの奥側にいるメンバーを見つめた。「星霊使いの御三方はどうなの?」


 「私は行かなきゃいけないだろ」と、レイは言った。「私がいなかったら、絶対に敵に勝てない」


 「……あ。やっぱり?」テンの顔がニヤけていた。


 「あたしも、行く……」ソラは小さくもしっかりとした声で言った。「あたしはソフィアと連絡とれるし……きっとあたしも、力になれるから……」


 「……えーっと、あたしは……」リアは顔を引きつらせた。「結構無理やり旅に同行させられたんだけど……あ!でも!」



 リアは両手をぶんぶん振った。



 「今は、こういう旅もいいと思ってるわ!だって……」



 ――こうして、新しい出会いが待っていると知ったから。



 「だから、あたしも……一緒に行くわ!出会ってから日は浅いけど、あんたたちがいい人だってわかったし!」


 『み、みなさ〜〜〜ん!!』ピエール33世のピンク色の光が、とても明るくなった。『ありがとうございます〜〜!ワタクシ、感激しすぎて滂沱(ぼうだ)の涙を流したいところなんですが、残念ながら涙腺(るいせん)を持っていませんので、無理なんで……わかりにくくて申し訳ありませんっ!』



 それを聞いた俺たちは、みんな笑顔になった。



 「……ま、よかったな!」俺はそう言って、ピエール33世を小突いた。

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