121話 5月25日#07〜ピース教団〜
「ドゥファンは、特に目的があるわけではない。『とにかく世界を破壊したい』……それ以上のことは何も望んでいない」
「すごい……リブラも極端な人ね」
――まさしく、リアの言うとおり。
「……で、問題は、その太陽の神とドゥファンを支持する者がいるという事実だ」
「マジで!?」
「……もしかして、『ピース教団』のことか?」
レイの言葉で、みんながはっと息を飲んだ。
「そうだ」ソフィアは腕を組んだ。「あれは宗教団体の体をしているが、実体は『ドゥファンの目的を達成させるために、ある星霊使いが作った、正体不明の集団』だ」
「それも『星霊使い』なんだ」
ソフィアははあとため息をついた。
「実は、その星霊使いについては、私も心が読めなくて、よくわからない」
「……ドゥファンの心は読めたの?」
「ああ。いろいろ苦労したがな」
――やっぱりこの人、恐ろしい。
「……ただ、『心が読めない』ということで、どの星霊使いなのかはすぐにわかる。『うお座の星霊使い』だ。私と同じ、心を読む力がある」
――恐ろしい人がもう1人追加。
「……てか、それって!」俺ははっとした。「俺たちの考えが敵に筒抜けってことじゃん!」
「そういうことだ」ソフィアは頷いた。「それにピスケスは、どうも人の心を掴む天才のようでな……信者はもとより、何人かの星霊使いもピスケスに加担している」
――その『ピスケス』って人、ドゥファンとかいう奴よりずっと手強そうなんだが……
「それで……その教団は、具体的に何しようとしているの?」
テンの疑問にソフィアは目線を上に向けた。
「君たちの妨害だな……月の神が復活しないように、石を集めるのを邪魔すること。月の神を捕まえて、太陽の神に引き渡すこと……あと、君たちは全員、命を狙われている」
「「「「「……え?」」」」」
――それ、めっちゃヤバくねえか?
「……マジかよ……」
「ああ、そうだ」ソフィアの目が、さらに鋭くなった。「そこで1つ、よく考えてほしいことがある。これからも月の神の手伝いを続けていると、確実にいつか命の危険に晒される。それでも石を求めて旅を続けるか……特に、」
ソフィアは俺とテンの顔を見た。
「カイトとヴァルキリーは、星霊使いとは何も関係ない一般人だ。君たちには命を狙われながら旅をする責務は何もない」
「……あの、僕のことは『テン』って呼んでほしいんですけど……」
「……ちなみに、」俺はテンをチラッと見てから、ソフィアに訊ねた。「この男、何で俺たちと一緒に旅しようとするんですか?」
「レイのことを気に入ってるからだ」
「……普通、ここでそれを晒します!?」
テンが、珍しく顔を赤くさせている。
――まあ、そんな理由なら、特に気にする必要もないか。
「まあ、そういうわけだ」ソフィアは立ち上がった。「この街で羽を伸ばしながら、ゆっくり考えてみるといい」
ソフィアは数歩だけ扉に向かって歩いてから、ふと俺たちの方を向いた。
「ピース教団について、私が知る限りの情報をその紙の束に書いておいた。後で読んでおくといい……私は学校に戻る。何かあれば、またソラに電話を頼むんだ。いいな?」
そして、ソフィアは部屋から立ち去っていった。




