104話 5月23日#15
俺たちは、廊下をとぼとぼ歩いて引き返していた。
「……それで、ブレーカーはどこ?」
「そんなにわかりにくいところにはないはず」と、俺はつぶやいた。「ここは店の『裏』だから、きっとどこかに……」
突然、レイが立ち止まった。振り返ると、壁をじっと見つめている。
「どうしたの?」
「……扉」
レイは、壁についている照明を掴んで、前へ押した。
そしてそのまま照明を横へ引くと、奥にもう1つ扉が現れた。
「……すごい!よく気づいたね!!」
テンが感動していると、レイは首を傾げた。
「……でも、鎖がついてるぞ?」
――たしかに。現れた奥の扉には鎖がついていて、錠前が2つぶら下がっている。
「……ああ。これなら心配ないよ」テンは、後ろを振り返った。「ねえ、ピエール33世君?」
『はい、何でしょうか?』
「……斧に変身して」
――一瞬、間が空いた。
『か、『神様遣い』が荒い〜!!』
「いいから、早く」
そして、テンは真顔のまま、『ピエール斧』で鎖を破壊した。
その扉を開くと、その奥にある階段の裏の暗い空間に、ブレーカーはあった。
そのスイッチを切ると、レイが両耳のピアスに火を灯した。
「……魔法が使えるぞ」
「そのピアス、ホントに点くんだ」テンが興味深そうにレイを見つめた。
「……とにかく、先急ごう……!」
ソラを先頭に、俺たちは1階へと階段を上っていった。レイはまた飛べるようになって嬉しそうだった。
――たどり着いた1階も、窓がなくて暗かった。
どうやら、また俺たちは廊下にいるらしいのだが、暗すぎてあたりの様子がよくわからなかった。
「……窓、作るか」
「え?」
レイは大剣を取り出し、壁に向かって「『クリムゾンブレス』!」と叫んだ。
――壁に穴が開いた。
穴から光が差し込み、俺たちは廊下の様子を見ることができた。
「で、この穴から出れば、俺たちは脱出できる……!」
――そう思った瞬間。
「……何か来る!」
レイは、ほとんど反射的に大剣を横に構えた。
暗がりの奥の方から飛んできた何かを、大きな火の球が吸収していく。
「……ちょい待ち」俺は背筋に冷や汗をかいた。「その魔法は……みんな、伏せろ!」
レイ以外の全員が床に丸くなると、火の球は奥に向かって吹っ飛んでいき、大爆発を起こした。建物の壁や天井がぶっ壊れて破片が吹っ飛び、火があちこちに燃え移り、土埃がもうもうと舞った。
――そしてその奥から、何かが姿を現した。
身長がソラくらいの人の形をしていたが、全身がゴツゴツした岩のようなものに覆われ、肩には苔が生えていた。
顔には岩の裂け目のような目や口があり、かなり機嫌が悪そうな表情をしていた。
「ソラ、あれは?」
「『ロックボーン』……別名、『岩使い』……」
『あれですね。火が効かない系のモンスターで、えっと確か……』
「『インフェルノ』!」
「……だから、『火が効かない』っつってんだろ!?」
高温の猛火が周囲に広がり、せっかく作った壁の穴から外へ出られなくなった。
そして、『ロックボーン』は「ああああ!!」と声を上げて、俺たちの方へ走ってきた――体に火が点いたまま!
「……ごめんなさい」
「……ああ、もう!全員逃げるぞ!」




