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双子で転生  作者: まっちゃ丸
開演 〜紹介の時〜
1/3

#1 気付いてしまった

思いつきです。

なんか……好みがバレそう。


 えー、こほん。急に語りたくなったので、誰に届くとも知れない独り言を零します。

 こちら現代人、転生いたしました。


 文明発展中異世界系ファンタジー……であろう世界で、そこそこの国力の国の、公爵家の長男と次女として。

 え、言葉がおかしい? 別におかしくないですよ。一人の前世の記憶を、双子として生まれた二人が共有しているだけですよ。


 男であるハジェート・ティアース。

 女であるミジェール・ティアース。


 この二人が、同じ前世を共有しているだけなのです。だから、前世は同一人物で、今は兄妹という関係です。

 前世の記憶の方が強いので、考えることも一緒。双子ということもあって、性別と呼び名が違うだけの、もう一人の自分という認識の方が強いですが。

 あぁ、そうそう。前世の私たちは所謂喪女でしたので、”私”の方は楽ですが、”俺”の方は、未だに裸になるとドギマギしてしまうそうです。面白いですね。


 生まれてすぐの頃は、酷く混乱しましたが、今ではもう、自分が二人なことに納得しました。自分で言うのも何ですが、前世の私たちは、よくある普通に当てはまっていない思考回路である、と思っていましたからね。慣れて納得もいきます。


 そうそう、私たちには姉がいます。

 気高く、麗しく。されど、微笑みは溶ける様な。私たちとは一歳差なのに、前世があるはずの私たちよりも大人。

 そんな、私たちの自慢のお姉様です。


 お姉様は、この国の第一王子殿下と婚約を結んでいます。

 王子殿下の性格は、会ったら話をする程度ですが……何となく、泣きぼくろがついた甘いマスクにイラッときます。


 ⸺なので、もしもお姉様を泣かしたら、絶対にぶん殴ろうと思います。無駄にいい面を両側から殴ったら、イイ顔になると思うんだ。私は左頬を殴る!


 ま、そんなことにならないことが一番で、平和なんだけどね。


 *


 ⸺なんて、”私”が考えているだろう。

 ”俺”の膝に頭を乗せながら本を読む優雅な時間に、なんて余計な思考を。全く、相変わらずだ。


 同じ思考? 同じ考え方? 同一人物?

 そんなことを気楽に言って、”俺”のことを知ったような口で”俺”を語る。


 ”私”だって、本当は分かっている筈さ。

 ”私”と”俺”は、根以外は別、だってことを。


 あぁけど……姉上のことが大事なのは、確かに”同じ”だろう。それは根っこには当たらない。

 この世界に生まれて育った俺たちが、”二人”で考えた生きる指標だから。他人に指標を任せるもんじゃ無いって、前世から知ってる。

 でも、何も無いよりはいいだろう?


 一先ず、そうした結論を出して、”私”を見る。

 ………やっぱり、昔よりも綺麗だ。


 髪の長さが違う。髪の質が違う。髪の色は同じ。

 目の形が違う。まつ毛の長さが違う。目の色は同じ。


「……ふっ」

「……どしたの?」


 声が違う。身体が違う。性別が違う。

 同じなのは、髪と目の色だけだ。


「……何でもない。ただ、日常(違い)を確認しただけさ」

「ふーん……あ、そうだわハジェ。ハジェは、公爵になりますよね?」

「……そうなるだろうね」


 頭の中で”俺”と”私”で通じても、他人から見たらただの双子だ。だから俺たちは、口に出して呼ぶ時は、互いを愛称で呼び合う。


 ”俺”はハジェで、”私”はミジェ。

 単純だけど、必要なことだ。


「そうしたら私は、何処かに嫁入りしないと、貴族では無くなりますよね?」

「…………っ?」


 ⸺は?

 嫁入り、嫁、ヨメ……?

 ”私”が? 誰かの? 嫁になる?


「⸺えっなに? その考えてなかった的な顔は……まさか、”私”がずっと側にいるって思っていたの!?」


 ……”俺”だって衝撃だ。何せ、ガキの”私”の方が離れる覚悟が決まっているなんて。


「……あぁ、そうだね。そうだよ……クソッ、よく考えなくても、貴族なんだから当たり前だったじゃねぇか…」

「ハジェ、言葉遣い。貴族なんですから、崩しても優しさ……ね?」

「分かってる、でもこれだけは言わせろ」


 分かってた。

 目を逸らしていた。

 向き合いたくなかった。

 だって、だってっ………⸺


「⸺”俺”も”私”も、相手がいるのは解釈違いっ!!!」

「えっ、あ…………確かにそうですわ!!!」


 これは、俺たちの代で公爵家が滅ぶかもしれない……!

 (※彼らは本気で言ってます)


 *


「あぁぁぁ………まさか、こんなことに今の今まで気づかなかったなんて……!」


 私の頭の上で、”俺”が頭を抱えてぶつくさ言っている。そんなに将来のこと考えて無かったの? ”私”でも思い至ったよ……?


「ハジェ……そういえば、念の為に聞くのだけれど…女の子、好きになれそう?」

「今それ聞くかい?! 今それ聞くかい!?」

「だって、気になるんですもの」


 ”私”気になるなぁ…”俺”が恋愛的に好きになる女の子。


「まぁ……なれる、とは思う。でも、ミジェは兎も角俺は……公爵になるなら、婚約者が出来ると思うんだけど…」

「…お父様は、典型的なお貴族様ですから。お姉様がアノゼルト殿下と婚約したので……お父様が持ってくるとしたら、うちの派閥の有力家か分家辺りかしら?」

「その辺が妥当か…? しかし……恋愛か」


 前世の私たちは、恋愛をしたことがない。

 所謂推しはいたが、恋ではなく、捧げる愛だった。


「夜の勉強、真面目に受けるか……?」

「そう、ね……取り敢えず、そうしましょうか…」


 今の私たちが、私たちの恋愛について考えると、堂々巡りになるだけに思えた。だから私たちは、今まで何となくでしか学んでいなかった、夜に関する勉強を真面目に聞くことに決めた。


彼等は兄妹で、恋愛感情は持ちません。ただただ、”自分”という存在として、”自分自身”を愛しているだけ。

コレはナルシストなのかずっと疑問……。

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