表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第七章 Mileyの物語

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

98/131

第三十九話 スペシャルオーダーズ

 大学の講義中。

 スマホはかばんの奥にしまっているのに、頭の中は昨日のディスコードで埋め尽くされていた。


(どうしよう……32ギルマス連合って、本当に動き出しちゃった……)


 教授の声も、黒板の文字もまったく入ってこない。

 ペンはただ、無意味な線をノートに刻むばかり。


「上野美玲さん、聞いてますか?」


 名前を呼ばれ、美玲はびくっと顔を上げる。

 周囲の視線が刺さるように集まり、背中が熱くなる。


(やば……また怒られる……)


 そのとき、肩を軽く叩く指先があった。

 振り向くと、冬吾が心配そうに覗き込んでいた。


「おい、美玲。どうした? さっきからずっと上の空だぞ」


 美玲の彼氏であり、ゲームでの黒鉄でもある冬吾。

 普段はクールなのに、こういうときだけ妙に頼もしい。


「あのね……昨日の、ギルマス連合の件。どうなるか全然わかんなくて……」


 冬吾はふっと笑い、ノートの上に手を軽く置いた。


「なるほどな。でも焦るなよ。全ギルド巻き込みの大ごとなんて、普通は起こらねぇんだ。気負う必要ない」


「でも……ちゃんとまとめられるか……みんながどう思ってるかも不安で……」


「それは今日わかる。各ギルドのギルマスが、メンバーの意見を持ち寄るはずだ」


 その言葉が、少しだけ胸のざわつきを和らげた。


 夜。


 オンラインで、ギルマス会議が始まった。


 各ギルドからの“内部反応”が次々に報告されていく。


【Miley】「ブルーアーチはやる気だけど、数名に不安あり。私と黒鉄が向かいます」

【アリス】「ウィンドクローバーは布告防衛を優先。参戦は私だけ」

【牙】「ブラッドハウンドは全員乗り気。ただ、戦力は俺だけだろ」

【マルメン】「キリキリバッタは参加希望が多い。ただ調整が必要だな。俺は戦力外だが、たっちゃんパパ、琉韻love、ペイン因縁組、シャインも行ける」

【らいおん】「焼肉キングダムは参加OK。戦力になるのは俺だけだ」

【すなっち】「サンドウォールの参加者は俺ひとり。一時的協力は可能。任せろ」

【ココア】「フローライトは、上位が抜ける間は内部の布告を最小限にする条件で了承。無課金勢だけど一人連れて行きたい子がいる。Rain、White、リデル、烈火、そる、そして私が行く」


 メモを取りながら、美玲は息を整える。

 各ギルドの“最強クラス”が集まることは決定的だった。


 そして、選抜オーダー決定へ。


【Miley】「では、各ギルドから出せる上位実力者をまとめて、選抜を決めましょう」


 ブルーアーチ。

 ウィンドクローバー。

 ブラッドハウンド。

 斬々抜断。

 焼肉キングダム。

 サンドウォール。

 フローライト。

 そして王国騎士団。


 全勢力の精鋭をかき集めた、前代未聞の作戦会議が動き出す。


(ついに……来るんだ。32ギルマス連合、初の実戦選抜オーダー……)


 そして翌日――。


 24時間の待機を終え、フローライトは一時的に名前を変えた。


「スペシャルオーダーズ」


 銀区画へと続々と集まる選抜メンバー。

 既存メンバーは他ギルドに出張し、枠は完全に“対DK仕様”へ。


 その名簿を見て、美玲は息を呑んだ。


【スペシャルオーダーズ選抜メンバー30名】

 ココア(GM・32位/フローライト)

 ランスロット(4位/王国騎士団)

 すなっち(5位/サンドウォール)

 ガラハッド(8位/王国騎士団)

 Rain(11位/フローライト)

 ガウェイン(12位/王国騎士団)

 たっちゃんパパ(15位/斬々抜断)

 トリスタン(16位/王国騎士団)

 レオネル(17位/王国騎士団)

 ベディヴィア(19位/王国騎士団)

 琉韻love(20位/斬々抜断)

 ジェイ(21位/王国騎士団)

 ノイス(22位/斬々抜断)

 パーシヴァル(23位/王国騎士団)

 マーリン(25位/王国騎士団)

 White(26位/フローライト)

 リオン(27位/斬々抜断)

 エクター(28位/王国騎士団)

 オルウェン(31位/王国騎士団)

 Miley(35位/ブルーアーチ)

 ガレス(36位/王国騎士団)

 牙(37位/ブラッドハウンド)

 リデル(38位/フローライト)

 烈火(40位/フローライト)

 アリス(41位/ウィンドクローバー)

 そる(42位/フローライト)

 シャイン(44位/斬々抜断)

 らいおん(45位/焼肉キングダム)

 黒鉄(46位/ブルーアーチ)

 スカイ(162位/フローライト)


(ついに……ここまで来ちゃったんだ)


 美玲は画面を見つめたまま、胸の奥がじんと熱くなるのを感じていた。


 本来ならあり得ない組み合わせ。

 サーバー全勢力のトッププレイヤーが――ひとつのギルドとして並んでいる。


 これは宣戦布告だ。

 ダークキングが気づかないはずがない。


(銀区画を借りて、ギルドを一度解体して……全員そろってくれた)


 本当に「始まる」のだ。


 逃げられる理由なんていくらでもあった。

 “格下のくせに出しゃばるな”と言われてもおかしくなかった。


 でも――


(みんな、本気でこの“無理ゲー”に乗ってきてる……!)


 牙も、アリスも、すなっちも、たっちゃんパパも、らいおんも。

 そして王国騎士団の主力までもが、美玲の企画に乗ってくれた。


 もう、怖がってる暇なんてない。


 震える指先でチャットを開き、意を決して打ち込む。


【Miley】「スペシャルオーダーズの皆さん。これより作戦会議を開始します。――ダークキング戦、全力で勝ちに行きましょう!」


 送信。


 瞬間、スタンプと「任せろ!」「行くぞ!」「盛り上がってきた!」の文字が画面を埋めた。


 美玲はゆっくりと息を吐き、笑った。


(行こう。サーバー最強がどうとか関係ない。

 私たちは――“勝ちに行く”)


 震えはまだ残っている。

 でも、それはもう恐怖なんかじゃない。


 期待と昂揚が混ざり合った、“覚悟”だった。


 ーーー 第七章 Mileyの物語 完 ーーー


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ