アップデートのお知らせ
初夏の昼休み。
教室の窓からは柔らかな日差しが差し込み、カーテンがそよ風に揺れている。
空也は机に肘をつき、スマホの画面を眺めていた。
新メンバーも加わり、フローライトはさらに強力になったらしい。
画面には運営からのお知らせが届いていた。
【サンドボックスウォーズ運営より】
平素より「サンドボックスウォーズ」をご利用いただき、誠にありがとうございます。
次回アップデートに関する情報をお知らせいたします。
▼アップデート内容(予定)
・レイド:星6〜8追加
・拠点コンテスト実装
・平日個人ランク戦追加
・超高難度ダンジョン「奈落」実装
※詳細は正式リリース後にゲーム内で改めてご案内いたします。
「え、星6以上に……奈落って何だよ」
スマホを握る手に力が入る。思わず大地に声をかけた。
「おい、大地! 見ろよ、次のアプデ、やばいぞ」
「……なになに?」
大地はスマホを奪うようにして覗き込む。
「レイド、星6〜8まで追加だって。あと拠点コンテストに平日ランク戦、さらに奈落とかいう超高難度ダンジョンまで!」
大地は笑いながらスマホを返してきた。
「なんだよなんだよ、もっと面白くなるじゃねーか!!」
「な、いまから楽しみだぜ!」
空也は自然と顔をほころばせ、通知画面をスクロールする。平日ランク戦や奈落の実装に期待が膨らむ。
「よし、まずはスマホから日課を片付けるか」
「お、やる気出てきたな。俺もログインしようかな」
空也はゆっくり深呼吸し、画面をタップした。
ログイン画面が光を帯び、サーバー32の世界が目の前に広がる。
そこには、現実の自分とゲーム世界の可能性が交差していた。
ーーー 第一部 もうひとつの世界 完 ーーー




