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オンラインゲーム:サンドボックスウォーズ ―画面の向こうの絆―  作者: 黒瀬雷牙
第十章 Whiteの物語

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第五十五話 全員でフローライトだ!!

 後方で活躍したむーとタイガーは、前線に駆け上がり、再び戦況を覆そうとした。


【むー】「ここで食い止める!」

【タイガー】「俺も行く!全力で斬り込むぞ!」


 だが前線には、サンドウォールの剣士・カメールと支援担当のみかんが待ち構えていた。

 むーの突撃を封じるカメールの剣技。

 みかんの支援魔法がタイガーの攻撃を分散させる。


【むー】「くっ……!」

【タイガー】「やりやがる!!」


 二人は連携攻撃を試みるも、圧倒的な防御と回復に阻まれ、ついに前線で倒れた。


【システム】《むー 撃破》

【システム】《タイガー 撃破》


 こうして、フローライトの戦力は前線で残りオニッシュとWhiteのみとなった。

 一方のサンドウォールは、すなっちをはじめ、カメール、みかん、そしてその他のメンバーを含めて計六人が残っている。


 すなっちが攻撃に切り替える。


【すなっち】「俺も攻撃に出るぜ!」


 みかんは支援魔法で回復とバフを撒き、カメールや他の仲間も連携してオニッシュたちを押し込む。

 フローライト側は前線二人のみ。白刃と盾を構えるWhite、そしてオニッシュが立ち向かう。


 しかし、すなっちの装備は光属性。オニッシュの新月装備による属性耐性で、攻撃はほとんど通らない。

 攻撃は自然とWhiteへ向かう。Whiteは大盾で全てを受け止め、必死に堪える。


【White】「耐えるしかない!」


 オニッシュはバフがかかったカメールや仲間たちを薙ぎ倒し、進軍する。しかしその代償は大きく、体力は削られていく。


【オニッシュ】「僕が止める!」


 オニッシュは踏み込み、すなっちに殴りかかる。


 その隙を逃さず、Whiteはターゲットをみかんに切り替えた。


【White】「ここで終わりだ!」

【みかん】「やば」


 大槍がみかんを貫いた。


【システム】《みかん 撃破》


 相性有利とはいえ、オニッシュの攻撃は大きく、すなっちの前に倒れ込む。


【オニッシュ】「Whiteさん…あとは任せた!」

【システム】《オニッシュ 撃破》


 すなっちも魔力を使い果たし、バフが残っているとはいえ万全とは程遠い。

 Whiteも盾と体力を削りながらギリギリで踏みとどまる。


 戦場には二人だけ。

 フローライトとサンドウォール、全ての力を出し切った者同士の最終決戦が、今まさに始まろうとしていた。


 自分達の戦いが終わり、戦場を見つめる別ギルドのプレイヤーたちは、チャットと全チャで騒然となる。


【らいおん】「オニッシュが倒れた!」

【マルメン】「フローライト終わったか!?」

【鬼朱雀】「すなっちはサーバー2位だぞ、決まりだろ!」


 誰もがサンドウォールの勝利を確信していた。その中で、倒れたオニッシュの背後に立つWhiteは、静かに呟く。


【White】「フローライトは……オニッシュだけじゃねえよ」


 すなっちは振り返り、嘲笑混じりに答えた。


【すなっち】「あぁ、アンタもいるもんな」


 Whiteは首を横に振り、短く吐き捨てるように言う。


【White】「ちげーよ」


 その瞬間、大槍と巨大モーニングスターが激しくぶつかり合う。轟音と共に衝撃波が戦場を裂き、砂埃が舞い上がる。


 Whiteは全身の力を槍に乗せ、叫ぶ。


【White】「フローライトは、全員でフローライトだ!!」


 その声に呼応するかのように、槍の先から光が迸る。必殺技「国崩し」が炸裂する瞬間、ゲームシステムの判定音が鳴り響く。


【システム】《クリティカルヒット》


 クリティカルは、通常のダメージを倍化し、バフも無視する最強の一撃。すなっちの規格外バフも、この攻撃には抗えない。


 衝撃の光がすなっちを包み込み、戦場に静寂が訪れる。


【システム】《すなっち 撃破》


 倒れ伏したサーバー2位の英雄。戦場に立つのは、たった一人のフローライトーーWhiteのみ。


 周囲のプレイヤーたちは息を呑む。歓声、驚愕、そして尊敬。誰もが目撃したのは、ただの個人の力ではなく、フローライトという名の“全員の力”が生んだ奇跡だった。


 フローライトは、全員で勝利を掴んだ瞬間だった。


 戦場に静寂が訪れた瞬間、フローライト側のプレイヤーたちの胸に一気に熱気が込み上げた。


【ハルト】「やった……正直、ダメかと思った!」

【ゆず】「信じられない……あの状況からすなっちを倒しただと!?」


 仲間たちも歓声を上げる。


【むー】「Whiteさん凄い!フローライト、最高!」

【タイガー】「全員の力がここにある!」


 チャットには文字通り「フローライト万歳!」の嵐。ログが瞬く間に埋め尽くされる。


【オニッシュ】「これがフローライト!」

【White】「俺一人じゃねぇ。皆の力だ。」


 フローライトの拠点では、仲間たちが飛び跳ね、叫び、互いに拳を合わせる。

 遠くのギルドメンバーも、その光景を見て拍手と歓声を送った。


【ココア】「最高!これが私たちのフローライトだ!」

【スカイ】「やっぱり、フローライトは最強で最高だ!」

【Gemini】「勝った……みんなで、勝ったんだ!」


 フローライト側のプレイヤーたちは、笑顔で喜びを分かち合う。

 一人の力ではなく、全員の力で勝ち取った勝利。

 その瞬間、サーバー中の目が、フローライトに注がれた。


【White】「俺たちの戦いは、これで終わりじゃねぇ」


 歓声はそのまま、新たな挑戦への期待と決意へと変わっていった。

戦場の光が収まり、フローライトの歓声がまだ響く中、すなっちが呟いた。


【すなっち】「ギルドは一人じゃない。全員で、ギルド……わかっていたのに……俺たちだけが、そうだと思っていたのかもしれないな……」


その言葉には、敗北の悔しさだけでなく、フローライトの強さへの尊敬が混ざっていた。

そして、ふと拳を握り締め、口を開く。


【すなっち】「……次は、負けない!」


その声は力強く、決意に満ちていた。

戦場には静かな緊張感が戻り、フローライトの勝利と、次なる戦いへの予感が交錯する。

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