第三十八話 ガキ
主の間扉前。
サーバー総合力ランキング5位のまろんは、扉を守る立場から優越感を隠そうともせず、ガウェインたちを見下して戦う。
【まろん】「ふん、まるでガキみたいな戦力だな。こっちの攻撃、避けられんのか?」
【たっちゃんパパ】「おう、任せとけ!」
【琉韻love】「まろんさん、焦らないで……」
だが、ガウェインの剣は鋭く、レオネルやトリスタンも連携し、前衛・後衛が互いに支え合いながら攻め続ける。
雷のような斬撃、盾で受け流される魔法、精密な補助魔法が交錯し、まろんは予想以上の苦戦を強いられる。
【ガウェイン】「ここで引くわけにはいかない! 俺たちの魂を見せろ!」
【レオネル】「守りながら反撃、隙を作るんだ!」
【トリスタン】「防御フィールド展開、前衛支援完了!」
次第に、まろんの動きに微妙な乱れが生じ始める。
避けられないはずの攻撃が避けられ、仲間の援護も一瞬遅れ、焦りが顔に現れる。
【まろん】「くっ……な、なんでこんなに食い下がる!?」
【たっちゃんパパ】「いや、俺だって必死だ!」
【琉韻love】「まろんさん、少し冷静に……」
苛立ちは頂点に達し、まろんは味方のたっちゃんパパと琉韻loveにまで攻撃的な口調で責め立てる。
【まろん】「もっとしっかりしろ! 何やってんだお前ら! 邪魔するな、俺の前に立つな!」
それでもガウェイン達の闘志は折れない。
鋭い突き、盾と剣の連携、補助魔法の援護により、まろんは押され、ついには後退を余儀なくされる。
【ガウェイン】「どんなに強くても、俺たちは引かない!」
【レオネル】「チームで戦えば、勝機はある!」
【トリスタン】「集中を切らすな、皆で一歩ずつ!」
激しい攻防の末、まろんは苛立ちと焦りから、すべての失敗を仲間に押し付ける。
【まろん】「……くそっ、全部あいつらのせいだ! 俺がこんな目に遭うのも、あいつらがちゃんと動かないからだ!」
笑みと苛立ちが混じる顔で、まろんは自分の敗北を認めることなく、味方に責任をなすりつけ、扉前の戦線を維持しようとする。
高笑いを浮かべつつも、苛立ちと焦りで表情はどこか歪んでいた。
傲慢と自尊心、そして仲間への八つ当たりが交錯する、危うい戦場の一幕だった。
扉前での激戦は続く。
苛立ちを味方に押し付けるまろんの態度に、たっちゃんパパの怒りがついに限界に達する。
【たっちゃんパパ】「いい加減にしろ、まろん! お前のせいでみんなが危険にさらされてる!」
その一喝でまろんの動きは完全に乱れ、隙が生まれる。
ガウェイン、レオネル、トリスタンの連携が冴え渡り、畳み掛けるように攻撃を重ねた。
【ガウェイン】「今だ、全力で止めろ!」
【レオネル】「前衛を突破する!」
【トリスタン】「支援魔法、最大展開!」
ついにまろんは防戦一方となり、剣を振るうも反撃を受け、とうとう倒れた。
【システム】《まろん 撃破》
【まろん】「ふざけんな、お前のせいだぞ!お前クビだ!」
しかしその瞬間、たっちゃんパパは冷静に、しかし鋭く言い放った。
【たっちゃんパパ】「お前みたいなガキがいるギルド、こっちから願い下げだ!」
そう言い捨て、たっちゃんパパは仲間を引き連れてその場を去る。
まろんは背中を追い、叫ぶ。
【まろん】「おいふざけんな! お前なんかより、俺のパパのほうがずっとずっと金持ちなんだぞ! 死ねー!」
【琉韻】「悪いけど、私も抜けるね」
【まろん】「は?なんだよお前ら、クソだな!ほんとクソ!!」
怒声が空気を切り裂くが、もはや誰も耳を傾けない。
ガウェイン達はその一部始終を横目に見つつ、乱れた扉前を突破。
主の間へと進み、カノンたちに加勢するために動き出す。
戦場には、傲慢さと怒りが交錯したまろんの怒号だけが残された。
扉を開けたガウェイン、レオネル、トリスタンの三人は、主の間に飛び込む。
そこはまさに激戦の只中だった。
黒王とランスロットの死闘は、まるで時間を止めたかのような緊張感を放つ。
シンと鬼朱雀を必死で食い止める仲間たち。石床には魔法と斬撃の跡が散乱していた。
そして目の前には、ガラハッドがカノンの剣に深々と貫かれて倒れている。
カノン自身のダメージはほとんどなく、その剣の正確さと力強さを物語っていた。
ガウェイン達は迷わず駆け寄る。
今まさに、仲間を支え、戦局を覆すために。
【カノン】「次の獲物か」
一瞥するカノンの瞳は、まさに鬼そのものだった鋭い視線に圧され、ガウェイン達は一瞬後ずさる。
だがその直後、冷たい空気を切り裂くように、運命を告げる通知が響いた。
【システム】《シン 撃破》
仲間の一撃でシンが倒れたことにより、王国騎士団の士気は一気に上昇する。さらに…
【システム】《鬼朱雀 撃破》
ダークキングの主力、二人の脱落。
倒れる敵を確認した瞳には、希望と決意が灯った。




