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オンラインゲーム:サンドボックスウォーズ ―画面の向こうの絆―  作者: 黒瀬雷牙
第七章 ランスロットの物語

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第三十六話 王国騎士団vs DARK KING

 夜九時前、南銀大区画。


 王国騎士団とダークキング、二つのギルドの総力戦が始まろうとしていた。

 互いに他の拠点は捨て、この場所にすべてを注ぐ。まさに全力戦だ。


 表向き、有利に見えるのは侵攻側の王国騎士団。戦力・ランクの平均値は圧倒的で、サーバー内でも唯一、ダークキングに対抗可能と呼ばれるだけの布陣だ。


 だが、防衛側の主席には、サーバー最強のカノンが鎮座している。


 カノンを討伐できれば勝利。


 条件は単純だが、現実には極めて高難度の試練となる。


 ダークキングの戦力も凄まじい。

 ギルドマスターでサーバー3位の黒王。

 サーバー5位のまろん。

 さらに元エターナルギルドマスターでサーバー6位のペイン。

 その他のメンバーも軒並み50位以内のランカーが揃い、数値上でも王国騎士団に匹敵する布陣だ。


 静かな緊張が、南銀大区画の空気を満たしていた。

 勝利も敗北も、この一戦にかかっている。


 夜九時。戦いの火蓋が、南銀大区画で切って落とされた。


 ダークキングがサーバー立ち上げから守り、育て続けたこの拠点は、防御性能が極めて高い。

 入り組んだ地形を熟知しているダークキング陣営には、明らかに地の利があった。


 だが、侵攻側の王国騎士団も負けてはいない。

 個々の実力はもちろんだが、それ以上に連携が冴え渡る。

 互いに攻撃を補い合い、迎撃を受けながら着実に進軍していく。


 その瞬間、マーリンが鋭く反応した。


【マーリン】「そこ!いる!」


 素早い判断で奇襲を阻止する。

 続けてジェイが、敵の斬撃を槍で受け流す。


 視界の先にいたのはペイン。


 元エターナル・ギルドマスターと、元エターナルのジェイとマーリンが向き合う。


【ジェイ】「ここは俺たちが引き受ける」


 短く言い、二人は動きを固める。

 他のメンバーはそのまま前線を進め、戦局を崩さない。


 主の間へ続く扉の前。

 そこに立ちはだかるのは、まろん。

 その両脇には、大槍を構えたたっちゃんパパ、そして魔法陣を展開する琉韻loveの姿。

 どちらもサーバー上位ランカーで、王国騎士団の進軍を止めるには十分すぎる戦力だった。


 扉の前の空気は、重く、張りつめている。


【まろん】「ここは通さない。黒王様とカノンちゃんのところには、誰も行かせない」

【ガウェイン】「悪いが、通らせてもらう」


 前に出たのは、王国騎士団の中でも屈指の剣士・ガウェイン。

 その背後には盾役のレオネル、そして補助魔法担当のトリスタンが続く。


【たっちゃんパパ】「こっちも本気でいくぜ!」

【琉韻love】「まろんさん、援護する!」


 次の瞬間、戦闘が始まった。


 ガウェインとまろんの剣がぶつかり、火花が散る。

 互いに上位ランカー同士、攻撃も防御も一瞬の判断が命取りになる。


【ガウェイン】「やるな……!」

【まろん】「そっちこそ!」


 両者の動きは凄まじく速く、地形に映る影が幾重にも重なる。

 一方、たっちゃんパパの槍がレオネルの盾を貫かんと突き出される。


【レオネル】「ぐっ!」


 衝撃で体勢を崩しかけたレオネルを、トリスタンの支援魔法が即座に補う。


【トリスタン】「ガーディアン・フィールド展開! 防御上昇!」

【レオネル】「助かった!」


 だが琉韻loveも負けてはいない。

 詠唱を終えた彼女の魔法陣から、紅蓮の魔弾が放たれる。


【琉韻love】「ルビーフレア!」


 炎が地を舐め、王国騎士団の足元を包み込む。


【トリスタン】「くっ……これ、威力高い!」

【ガウェイン】「トリスタン、防御は任せろ! 前衛突破する!」


 ガウェインが剣を構え直すと同時に、まろんが一歩下がり、仲間の動きに合わせて反撃体勢を取る。

 まさに拮抗、一歩も譲らない激戦。


 背後では、主の間の扉が重々しく光を帯びていた。

 その向こうに、主・カノンが待つ。


 激戦の中、ランスロットは一瞬の隙を見て、仲間たちに指示を飛ばした。


【ランスロット】「ガウェイン、ここは任せた。主の間へ行く」

【ガウェイン】「了解。こっちは俺たちで押さえる!」


 ガウェインたちが扉前の守りを引き受けるのを確認し、ランスロットはガラハッドを含む数名の精鋭を率いて、主の間へと突入する。


 重厚な扉を押し開けた瞬間、冷たい空気が肌を刺した。最奥の玉座の前に、四つの影が立ちはだかる。


 カノン。

 黒王。

 シン。

 鬼朱雀。


 そのいずれもが、サーバー上位を独占する猛者たち。ただの一歩すら、命を賭けるに等しい距離だった。


【黒王】「ようやく来たか、ランスロット」


 黒王の声が低く響く。

 その瞬間、黒王が地を蹴り、凄まじい速度で間合いを詰めた。


 黒王の剣とランスロットの槍がぶつかる。

 ランスロットの体が後方に弾かれるが、すぐに受け身を取り、黒王の追撃を受け止める。


【ランスロット】「速いな……だが、読める!」


 黒王の連撃を見切り、最後の一撃を受け流すと、反撃の一閃。鋼と鋼がぶつかる音が、主の間に鳴り響いた。


 一方で、ガラハッドはすでに前へと駆け出していた。狙うはサーバー最強にして、ダークキングの最高戦力・カノン。


【ガラハッド】「今ここで仕留める!」


 剣が閃く。しかし、カノンは一歩も引かない。


【カノン】「その程度でこの私に挑むのか?」


 軽やかに受け流し、反撃の剣が走る。

 その軌跡は正確無比、まるで戦場を支配するかのような鋭さ。


【ガラハッド】「くっ……化け物め!」


 両者の武器が幾度もぶつかり、閃光が散る。


 そして後方では、王国騎士団の精鋭部隊がシンと鬼朱雀と交戦していた。

 シンはダブルナイフを操り、俊敏な動きで敵を翻弄する。

 鬼朱雀は炎属性の魔導士。詠唱と同時に、爆ぜるような紅炎が広間を包んだ。


【鬼朱雀】「燃え尽きろ、イラプト・インフェルノ!」


 結界が張られ、炎と光がせめぎ合う。

 爆風が吹き抜け、床石が砕け散る。


 戦場の中心で、ランスロットと黒王、

 その背後で、ガラハッドとカノン、

 そして左右で精鋭たちとシン&鬼朱雀。


 王国騎士団とダークキング、

 南銀大区画を懸けた32サーバー頂上決戦が、いま幕を開けた。

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