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サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第五章 リデルの物語

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第二十五話 異界の砂漠

 第二層・砂漠エリア。


 灼熱の風と砂嵐の中、フローライトの選抜メンバーは進軍を続けていた。


 だが、第一層とは比べ物にならないほど敵の質が違う。


 地面を割って現れるタイラントワーム。

 砂丘の影から湧き出す死霊兵士たち。


【烈火】「数も硬さもおかしいだろ……!」

【White】「強敵だからこそ、慎重にいこう」


 巨大なワームの突進が、前衛を薙ぎ払う。

 死霊兵士の呪詛が、後衛を蝕む。


【らいおん】「ちょ、HP……!」


 次の瞬間。


【システム】《らいおん 戦闘不能》


 砂に倒れ伏す、らいおん。


【らいおん】「くそ……すまん、あとは任せた……!」


 その直後、別方向からの奇襲。死霊兵士の呪詛が、リュートの分身をすり抜けて本体を捉えた。


【システム】《リュート 戦闘不能》


【リュート】「……読み違えたな。後は頼む」


 戦場から二人が消え、空気が一気に重くなる。


【ココア】「人数、減ってきたね……」


 それでも進むしかない。


 目的は素材。テーマは温かい冬。


 砂漠の奥地、風の吹き溜まりの岩陰で、ココアが光るオブジェクトを見つけた。


【ココア】「あ、これ……!」


 拾い上げたのは、淡く橙色に輝く結晶。


 《ぬくもり砂晶》

 触れると、ほんのり温かい。


【ココア】「冬っぽくて、温かい感じ……使えそうじゃない?」

【Rain】「いいですね、焚き火系や室内演出に合いそうです」

【リデル】「雰囲気、出せそうですね」


 絶望の中で、ようやく希望の素材。


 だが、奈落はそう簡単に報酬だけをくれない。


 砂漠の最奥。

 巨大な門の向こうに待っていたのは――

 第二層ボス:嫉妬の獣姫・ジェラシア


 猫耳の獣人。しなやかな体躯、鋭い爪、妖艶な瞳。


【烈火】「……見た目、可愛いな」

【White】「油断するな、ボスだ」


 戦闘開始。ジェラシアは、一瞬で距離を詰めた。

 爪が閃き、烈火が吹き飛ぶ。


【システム】《烈火 戦闘不能》


【烈火】「って早すぎだろ……!」


 次の瞬間、そるも倒される。


【そる】「これは無理だ!」


【システム】《そる 戦闘不能》


 高速連撃。回避不能の連続攻撃。


【ココア】「無理無理無理!」


【システム】《ココア 戦闘不能》


 気づけば残っているのは――

 Rain、White、リデルの三人だけ。


【White】「削れてる……いけるか!?」

【Rain】「DPS、まだ足ります!」

【リデル】「回復、間に合ってます!」


 ジェラシアの体力ゲージが、残りわずかになる。


【Rain】「このまま押し切りましょう!」


 その刹那。ジェラシアの身体が、黒い魔力に包まれた。


 筋肉が隆起し、骨格が歪む。

 猫耳の獣姫は、筋骨隆々の魔獣へと変貌した。


【White】「第二形態……だと!?」


 咆哮。衝撃波だけで、HPがごっそり削られる。


【リデル】「回復が……追いつきません!」


 魔獣ジェラシアの拳が、Whiteを叩き潰す。


【システム】《White 戦闘不能》


【White】「……ここまで、か」


 続けて……


【システム】《Rain 戦闘不能》


 最後に残ったのは、リデル。


【リデル】「……強い」


【システム】《リデル 戦闘不能》


 砂漠に、静寂が戻った。


【システム】《第二層攻略失敗》

【システム】《拠点へ強制帰還します》


 画面が暗転し、メンバーたちは奈落の入口へと戻される。


【らいおん】「全滅か……」

【烈火】「あの第二形態、反則だろ」

【リュート】「……だが、収穫はゼロじゃない」


 ココアが、ぬくもり砂晶を見つめる。


【ココア】「これだけは、持ち帰れたね」

【Rain】「十分な成果です」


 敗北。だが、意味のある敗北。

 温かい冬への道は、まだ遠い。


 そして、奈落はさらに深く、さらに過酷な世界を隠している。


 一方その頃。

 フローライト火山組は、灼熱の火山エリアを進んでいた。


 赤く染まった空。

 噴き上がる溶岩の柱。

 地面は常に揺れ、熱気が肌を焼く。


 メンバーは六人。


 槍使いのリーダー、ハルト。

 同じく槍を操るが、実力は一歩及ばないペンギン。

 魂穿の剣を振るうゆず。

 後方支援の弓使い、むー。

 魔法剣士のREBORN。

 そしてヒーラーのみぃ子。


 料理長は仕事のため不参加。

 Geminiも友達との泊まりの予定で欠席。


【ハルト】「人数は少ないが、連携でいこう」

【みぃ子】「回復は任せてください!」

【ペンギン】「槍二人で前、ですね!」


 最初に現れたのは、岩魔人。


 溶岩の塊のような巨体が、拳を振り下ろす。


【ハルト】「受ける!」

【ペンギン】「右、突きます!」


 二本の槍が、同時に突き刺さる。


【REBORN】「魔剣、展開」

【むー】「援護入れます!」


 矢と魔法剣が岩の隙間を穿ち、ゆずの魂穿が、魔人の核を貫いた。


【ゆず】「月華一輪」


 岩魔人は、崩れるように倒れた。

 続いて現れるのは、レッドリザードの群れ。


【むー】「数、多いです!」

【みぃ子】「範囲回復、入れます!」


 炎を吐くリザードたちを、ハルトの槍が正面から押し止め、REBORNの魔法剣が薙ぎ払い、ゆずの魂穿が確実に仕留めていく。


 火山エリアは危険だったが、このチームには崩れない安定感があった。


 そして、戦利品。

 耐熱鉱石、溶岩苔、火山樹脂。


【ハルト】「悪くない素材だな」

【REBORN】「箱庭の暖炉や地熱演出に使えそうだ」

【むー】「温かい冬向けですね」


 さらに奥で、オークの群れを撃破したとき、ドロップしたのは分厚いオークの肉。


【ペンギン】「お、肉だ」

【ゆず】「焼いたら美味そう」


 ペンギンは少し残念そうに笑った。


【ペンギン】「料理長がいればなぁ……」


 その言葉に、みんなが少しだけ笑う。


【みぃ子】「確かに、あの人の料理なら……」

【ハルト】「帰ったら、頼むか」


 火山の熱の中、仲間の名前が、ほんのりと温かさを残していた。

 奈落組が死闘を繰り広げる一方で、火山組は、着実に素材を積み上げていく。


 それぞれの戦場で。

 それぞれのやり方で。

 温かい冬への道は、少しずつ形になり始めていた。

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