スカイの決断
スペシャルオーダーズとダークキングの激戦から、数日。
あの時、黒王が言った言葉が、ずっと頭の奥で鈍く鳴り続けていた。
『……無理矢理、配信をさせられてる可能性もある』
忘れようとしても、ゲームを起動するたびに思い出す。
ロビーで誰かの笑い声が聞こえても、景色のどこかに“あの言葉の影”が落ちていた。
オニッシュさん……
このゲームで最初に出会った友達。
スカイにとっては、誰よりも特別な存在だ。
トップアイドルの妹?
……そんな肩書き、正直どうでもいい。
困っているなら助けたい。それだけだ。
だけど、一プレイヤーのスカイがどう踏み込めばいいのかもわからなかった。
何度もパーティ申請を開いては閉じて、メッセージを打っては消した。
そんなスカイを前に進ませたのは、フローライトの仲間。
ココア、そる、そして長く一緒に走ってきたメンバーの顔だった。
ここにいれば、きっと今まで通り楽しく遊べる。
でも、それじゃ前に進めない。
その夜、スカイはギルドチャットで深く頭を下げた。
【スカイ】「……俺、しばらくフローライトを抜けます。オニッシュさんを助けに行きたい。必ず連れて戻る。絶対に」
沈黙。
けれど、誰も責めなかった。むしろ、優しかった。
【ココア】「スカイならできるよ」
【そる】「そうか…困ったらなんでも相談しろよ!」
【Gemini】「帰ってくる場所は残しておくから……帰る日を待ってる」
【White】「迷ったらいつでも言え」
胸が熱くなる。
けれど、甘えるわけにはいかない。
ギルドの紋章が消えたプロフィールを見ると、心がひやりとした。
それでも後悔は無い。
“オニッシュさん。必ず迎えに行く”
スカイはログアウトのボタンに手を伸ばしながら、静かに誓った。
そして、新しい一歩を踏み出す。
翌日、ダークキングに加入申請。
黒王は、何も言わずにスカイを迎え入れた。
ーーー 第二部 アップデートされた世界 完 ーーー




