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サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第八章 スペシャルオーダーズの物語

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第四十八話 エターナルの決着

 黒い炎が揺らめき、焦げた石畳には戦いの痕跡が刻まれている。


 その中心に、白と黒の双剣を携えた男が立っていた。


 ペイン。かつてエターナルを支え、そしてエターナルを崩壊させた男。

 対峙しているのは、ジェイ、マーリン、ノイス、リオンの四人。


 かつて同じギルドで笑い合い、肩を並べて戦った面々。その全員が、今はペインの前に剣を構えている。


【マーリン】「……くそ、Dr.D=eathのせいで、魔力が……!」


 先ほどの戦いで受けたデバフ。

 最大MP低下、回復効率ダウン、ランダム発動の魔法暴発。


 本来なら後方支援の要であるマーリンは、まともに詠唱すらできなくなっていた。


【ペイン】「それが、お前の限界か。情けないな」


 冷酷にそう呟き、ペインが一瞬で距離を詰める。

 双剣 イビル・イン・ライト が閃いた。


【ジェイ】「マーリン!! 下がれッ!」


 ジェイの叫びより早く、赤黒い軌跡がマーリンの胴を薙ぐ。


【マーリン】「ごめん、ジェイ……」


【システム】《マーリン 撃破》


 マーリンが光粒となって消えると、残った三人の怒気が爆ぜた。


【リオン】「ペイン!! お前は信じた仲間も平然と切りやがるのかよ!!」

【ノイス】「エターナル全盛期は、お前について行こうと思ってたのによ!!」

【ジェイ】「全部背負って、一人で背中向けて……それでいいと思ったのかよ!!」


 三人が一斉に踏み込み、怒りのままにスキルを連打する。


 だが――


【ペイン】「……弱い」


 一瞬。本当に一瞬で、ペインの双剣が画面から消えた。

 次の瞬間には、ノイスとリオンのHPバーが赤に染まっていた。


【リオン】「がっ……!? 速……っ!」

【ノイス】「クソッ、追えねぇ……ッ!」


 彼らの攻撃は、すべて空を切る。

 ペインはひとつも焦っていない。


 まるで“この程度では俺に届かない”と言わんばかりに。


【ペイン】「情は捨てた。仲間も捨てた。俺は、俺の道を行く」


 双剣が回転し、二人を同時に切り裂く。


【システム】《ノイス 撃破》

【システム】《リオン 撃破》


 残るは一人。


 瓦礫を踏みしめ、ジェイがゆっくりと前に歩き出した。

 怒りでもなく、悲しみでもなく。

 ただ、静かな覚悟だけをまとって。


【ジェイ】「ペイン。もう言い訳はいらねぇよ」

【ペイン】「……?」

【ジェイ】「お前が何を背負ってたかなんて、正直どうでもいい」


 剣を構え、ギルド崩壊の中で何度も自問した言葉を吐き出す。


【ジェイ】「ただ、俺は……仲間を傷つけたお前を許せねぇだけだ!!」


 その瞬間、ジェイの周囲に青白い光が噴き上がった。

 怒りでも、復讐でもない。


仲間のためだけに戦う意志。

それがジェイを極限まで引き上げる。


【ペイン】「来い、ジェイ……!!」


 二人のアバターが火花を散らし、凄まじい速度でぶつかり合う。


 ペインの双剣が閃く。

ジェイの剣が受け止める。


 斬り結ぶ度に、石畳が砕け、火花が散り、戦場に雷鳴のような衝撃が響く。


【ジェイ】「てめぇの剣、何度見ても腹立つんだよ!!」

【ペイン】「剣に腹を立てるとは……相変わらず単純だな、ジェイ!!」


 双剣 イビル・イン・ライト が再び消える。

 光と闇が線となり、ジェイの肩を掠める。


【ジェイ】「ぐっ……! だけどよ……」


 ジェイは踏み込む。

 痛みを力に変え、剣を振り抜いた。


【ジェイ】「今の俺は、もう負けねぇ!!」


 怒号とともに連撃を叩き込む。

 ペインは全て受け流す。


【ペイン】「勢いだけでは俺は倒せない!」

【ジェイ】「勢いじゃねぇよ……これが俺と、仲間の力だ!!」


 その瞬間、ペインの目がわずかに見開かれる。


(仲間……?)


 かつて自分も信じ、そして切り捨てたもの。

 その“重さ”がジェイの剣に宿っている。


 ペインの集中が、一瞬だけ揺らいだ。


【ジェイ】「もらったぁぁぁッ!!」


 渾身の回転斬りがペインのガードをねじ伏せ、肩口から深く斬り裂く。


【ペイン】「……っ!!」


 初めて、ペインの双剣が大きく弾かれた。


 膝が沈む。

 体勢が崩れる。


 ペインは理解する。


 ――ジェイは本物だ。


【ジェイ】「終わりだ、ペイン!!」


 青白い光がジェイの剣に集束する。


【ジェイ】「エターナルの意地ってやつを、見せてやるよ!!!」


 光の奔流がペインを飲み込んだ。


【ペイン】「……あぁ……そうか……これが……」


 ペインの瞳がかすかに穏やかになり、光の粒へと崩れていく。


【システム】《ペイン 撃破》


 静寂。


 燃え残る黒炎が、崩れた石畳を照らす。


 瓦礫の上で、ジェイはゆっくりと剣を下ろす。


【ジェイ】「……終わったぜ。マーリン、ノイス、リオン」


 だがその目には、涙より強い光が宿っていた。


【ジェイ】「次は……大将(ランスロット)たちを助けに行かねぇと……!」


 ジェイは振り返らない。

 仲間の願いを背負い、炎の向こうの前線へ歩き出す。


 戦場は、まだ終わらない。

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