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サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第八章 スペシャルオーダーズの物語

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第四十五話 黒の破壊神

 アリスが倒れた戦場に、沈むように闇色の魔力が揺らめいていた。

その中心に立つのは、静かに息を吐くnocturne。

彼の周囲は光を拒むように黒く落ち込み、足元の影が蠢いている。


 そこへ、重騎士ガレスが盾を構えて踏み込む。

背後には、リデルが杖を抱えて控えている。

ヒーラーとは思えないほど強い意志を宿した瞳だ。


【ガレス】「アリスをやったのはお前か」

【nocturne】「倒すべき相手を倒しただけ。それだけだよ」


 言葉が終わるより早く、闇の槍が地面から噴き上がる。ガレスが盾で受け止めるが、影の魔力は盾を食い破るように染み込んでくる。


【ガレス】「ぐッ…!重い…!」

【リデル】「ガレスさん、後ろ下がって!《クレンズ・オーロラ》!」


 柔らかな光が降り注ぎ、影の侵蝕が霧のように剥がれていく。

nocturneの攻撃が初めて押し返された瞬間だった。


【nocturne】「へぇ……ヒーラーで、この闇を解除するのか」


 闇の魔力がざわつき、nocturneの瞳が鋭く細められる。


 一方その頃、烈火とパーシバルは、リュートの幻惑に苦しんでいた。

攻撃は空を切り、リュートの足取りは影のように掴めない。


【リュート】「ほらほら、当たらないって言ったでしょ?」

【烈火】「……クソ野郎がッ!」

【パーシヴァル】「落ち着け烈火、まず動きを読む!」


 しかし、リュートは読みの一手先を滑るように回避する。

幻像が三つに分かれ、笑い声が反響する。


【リュート】「本物はど〜こだ♪」


 烈火はついに堪忍袋の緒を切った。

刀に炎を纏わせ、幻影ごと薙ぎ払うように突撃する。


【烈火】「まとめて燃えろォッ!!」


 広範囲の火柱がリュートを包む。幻影は焼け落ち、本体だけが後方に大きく跳んで避難したが、そこへパーシバルが、まるで待ち構えていたかのように回り込む。


【パーシヴァル】「さっきから散々やってくれたな、終わりだ」


 紫電を纏った刺突がリュートの胸を貫く。


【リュート】「っ……は、はは……読んでたんじゃなくて……待ってた……のか……」


 光が弾けるように、リュートの体が崩れ落ちた。


【システム】《リュート 撃破》


 リュートの光が消えた瞬間、nocturneの顔がわずかに揺れた。仲間の撃破に反応して、影が不安定に波打つ。


【nocturne】「そう、来るか」


 nocturneは腕を広げ、影を凝縮させて放つ。

闇が波のように戦場を飲み込むが……


【リデル】「ガレスさん、今です!サンライト・ブレス!」


 純白の光が闇の奔流を切り裂く。

その隙にガレスが地面を蹴る。


【ガレス】「アリスの分だッ!!」


 渾身のタックルがnocturneの身体を押し潰すように叩きつけた。影が砕け、黒い靄が散る。


【nocturne】「……まぶしい、光だ」


 そのまま、影法師のように崩れ落ちる。


【システム】《nocturne 撃破》


 影の支配が消え、戦場に澄んだ空気が戻る。

リデルは深く息を吐き、ガレスの肩を支える。


【リデル】「終わりましたね、ガレスさん」

【ガレス】「ああ。ここから……巻き返すぞ」


 nocturneの影が消えた戦場に、しばしの静寂が訪れた。だがその静けさは、次の地獄の幕開けに過ぎなかった。


【システム】《エクター 撃破》

【システム】《オルウェン 撃破》


 短い電子音が、まるで死を告げる鐘のように響く。


【リデル】「……え?エクターさんまで?」

【ガレス】「Dr.D=eathのデバフ、やっぱり相当だったんだ…!」

【烈火】「くそ、あいつらまで落ちたのかよ」

【パーシヴァル】「このタイミングで…嫌な予感しかしないな」


 四人がログの方向へ視線を向けた、そのときだった。


 風が揺らぐ。


 いや、違う。“存在そのものが空気を歪ませている” のだ。暗い裂け目の向こうから、ひとりの重騎士のシルエットが現れる。


 纏う圧だけで背筋が凍る。紅の瞳は静かで、感情を感じさせない。新月のような漆黒の鎧が、戦場の光を飲み込んでいた。


【烈火】「オニッシュ……ッ!」


 “漆黒の破壊神”。


 一対多を最も得意とする超級の火力と瞬発力を持つ、孤高のアタッカー。


 nocturneを倒した直後なのに、ガレスの喉が音を失った。リデルは明らかに口元が震えている。


【オニッシュ】「邪魔だ」


 その一言と同時に、地面が割れるような衝撃が弾けた。


【烈火】「全員で行くぞッ!!」


 烈火が先陣を切り、炎をまとった刃を横薙ぎに放つ。


【リデル】「パワーブースト!みんな、今だよ!」

【パーシヴァル】「バフナイス!右取る、挟むぞ烈火!」


 パーシヴァルが刹那の隙を突いて側面から穿つ。


【ガレス】「止まれェッ!」


 ガレスがヘイトを引きつけ、盾で進路を塞ぐ。


 四人の総攻撃が、確かにオニッシュに命中した。

シールドが弾け、HPバーがわずかに削れる。


【ガレス】「……効いた!?」

【リデル】「四人がかりで押し切る!」


 オニッシュの姿が、ふっと掻き消えた。


【烈火】「どこだ!?」


 次の瞬間、烈火の背後で黒い閃光が走る。


【烈火】「ックソ、やっぱ強ぇな」

【システム】《烈火 撃破》


 体勢を立て直す暇もなく、パーシヴァルの眼前にオニッシュが落ちてくる。


【パーシヴァル】「速い!」

【オニッシュ】「遅い」


 巨槌がパーシヴァルを鎧ごと叩き潰した。


【システム】《パーシヴァル 撃破》


 ガレスは盾を構え直すが、その盾が意味を成す前にオニッシュの巨鎚が直撃。


【ガレス】「……っぐ!!」


 鎧が砕け、巨体が地面を転がる。


【システム】《ガレス 撃破》


 残るはリデルのみ。震えながらも杖を構えるその姿は、逆に勇敢だった。


 残るはリデルのみ。

震えながらも杖を構える姿は、逆に勇敢だった。


【オニッシュ】「もう……終わり」

【リデル】「私が倒れても……ココアさんと、そるさんと……スカイ君があなたを止めるッ!!」


 一瞬、オニッシュの動きが止まる。


「無課金のスカイ君が? なにを――」


【リデル】「うぉぉおおお!!」


 全魔力を解き放ち、戦場全体へ光の治癒が広がる。


【オニッシュ】「しまった。――消えろ」


 黒い閃光が走る。


【システム】《リデル 撃破》


 四人が倒れ、再び静寂が落ちた。

戦場の中心に立つのは、漆黒の破壊神オニッシュ。

周囲の空気は、ただ一人の存在だけで震えていた。

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