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サンドボックスウォーズ  作者: 黒瀬雷牙
第八章 スペシャルオーダーズの物語

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第四十四話 混沌の坩堝

 ヴァルターと狼牙に続き、ダークキングのヒーラー・ケリーを倒した勢いを背に、スペシャルオーダーズは攻勢を続けていた。しかし、その隙をつくかのように、戦場の端から冷たい視線が飛んだ。


 暗い森のような戦場の背後。遠距離の射線を確保したアークラインが弓を構える。


【アークライン】「見える…全て。遠くからでも、逃さない」


 矢が空を裂き、地面の石畳をかすめる。前衛で戦っていたらいおんと黒鉄に直撃。反応する間もなく、HPが削られる。


【システム】《黒鉄 撃破》

【Miley】「え!!?」


【牙】「おい、大丈夫かよらいおん!」

【らいおん】「くそ…まだ…耐えられるか…!」


 だが、連続射撃の前にらいおんも崩れ落ちる。


【システム】《らいおん 撃破》


 牙はひとり、ザン・シャオと対峙する。双剣の暴風に翻弄されながらも、回避と反撃を試みる。


【牙】「俺が止める…!」

【ザン・シャオ】「悪いが、君1人では無理だ」


 高速連撃に押され、牙も倒れる。


【システム】《牙 撃破》


 アークラインはそのまま後衛全体を視界に収め、遠距離射撃で後衛を翻弄。スペシャルオーダーズの支援役たちは、落ち着いて動くことすらできない。


 牙とらいおんの敗北に呼応するかのように、暗黒の魔紋が戦場を包む。


【nocturne】「闇に沈め……逃げ場などない」


 闇が広がり、DoTの影が味方後衛を蝕む。アリスは竜巻から立ち上がり、戦線に合流するが――


【アリス】「くっ……視界が消える…」


 暗黒魔法により、味方の位置はおろか自分の足元すら見えない。混乱の中、アリスは致命傷を受け、倒れる。


【システム】《アリス 撃破》


 中央で烈火とパーシヴァルが攻撃を仕掛けるが、リュートの幻惑術が冴え渡る。


【リュート】「あはは、当たらないのは仕様です」


 二人が同時に連撃を放つも、攻撃はかすりもせず空を斬るだけ。ヘイト操作と幻惑で、戦場の秩序はさらに崩壊する。


【烈火】「くそっ、何で当たらない!!」

【パーシヴァル】「こいつ…読んでる…!?」


 リュートの錯乱と幻影により、攻撃はことごとく空振り。二人の苛立ちが画面を通じて伝わる。


 アークラインの無慈悲な射撃が戦場を穿ち、黒鉄が崩れ落ちた瞬間、隣で戦っていたMileyの動きが止まった。


【Miley】「黒鉄……っ、ウソでしょ……!」


 しかし、悲嘆する暇はなかった。


 死角から滑り込む影。地を蹴る音すら聞こえない速さで、双剣の鬼ペインが迫る。


【ペイン】「集中が途切れたな。悪いが、ここで終わりだ」


 刹那、銀光が走る。Mileyの短剣が反射的に構えられるが、押し返す力はない。


【Miley】「ま、まって……っ!」

【ペイン】「甘い」


 双剣が交差し、鮮やかに血飛沫のようなエフェクトが散った。


【システム】《Miley 撃破》


 Mileyが地に伏したことで、牙・らいおん・黒鉄、そして彼女。同じレーンの前衛帯は完全に壊滅した。


 ペインは血煙の中で双剣を払った。

 その背中を照らすシステムエフェクトは、まるで彼自身が死神であるかのようだ。


【ペイン】「次はどいつだ?」


 挑発でも怒号でもない。

 ただ静かに、当然のように語られる宣告。


 だが、ペインの前に、四つの影が立ちはだかった。


 黒鉄の倒れた位置を踏み越え、彼らは迷いなく進み出る。


 ノイス

 リオン

 ジェイ

 マーリン


 四人の名が、同時にログの左下へ流れた瞬間、配信チャットが爆発する。


 彼らはかつて、ペインがギルドマスターを務めていたギルド《エターナル》の生き残り。


 裏切られた側でも、捨てられた側でもない。

 終わったギルドの続きを、自分たちで背負った者たち。


【ノイス】「……ペイン。あんたがどれだけ強くても、今日だけは譲れねぇ」

【リオン】「逃げたままで終わると思うなよ。エターナルギルマスとしての、ケジメつけろ」

【ジェイ】「あの日の続きを、ここで返す」

【マーリン】「ペイン……あなただけは勝ちたい。ずっと、それだけだよ」


 ペインは四人を見渡す。

 懐かしさも、感傷もない。

 あるのは、ただ痛みに似た静寂。


【ペイン】「……そうか。なら相手してやるよ。過去(エターナル)の亡霊ども」


 双剣が、音もなく下段に構えられる。


 これはただのバトルではない。ギルド戦の一幕でもない。


 “過去”と“決着”が正面からぶつかる、因縁の渦中。


 四人 VS ペイン。

 幕が上がる。


 一方その頃、戦場を荒らしていたアークラインの背後へ、三つの影が迫る。


 ガラハッド。

 ガウェイン。

 レオネル。


【レオネル】「遠距離から好き放題やってくれたな……!」

【ガウェイン】「前衛を射抜くとは、武人の風上にも置けぬ!」

【ガラハッド】「アークライン、覚悟!」


【アークライン】「……しまっ――」


 三者三様の怒涛の攻撃が重なり、アークラインは回避の暇もなく粉砕された。


【システム】《アークライン 撃破》


 戦場が一瞬だけ静まり返る。


 竜巻に巻き込まれ、孤立していたDr.D=eathの前に、オルウェンとエクターが駆け込む。すでに毒霧と衰弱のデバフで周囲の空気さえ淀んでいた。


【オルウェン】「見つけた……! 奴のデバフ、ここで終わらせる!」


 聖光のバフが仲間へ重なると同時に、

 エクターの大剣が雷鳴をまとって跳ぶ。


【エクター】「仕留めるッ!」

【Dr.D=eath】「クッ……! ただでは、終わらんぞ!」


 轟音と閃光が交錯し、エクターの一撃が敵の胸を貫く。しかしDr.D=eathも、渾身の意地で術式を展開していた。


 黒い魔紋が爆ぜ、周囲に呪波のように広がる。

 Dr.D=eathの最大デバフ・グレイヴサクリファイス発動。


 エクターとオルウェンの身体が一瞬にして重く沈む。


【エクター】「……ちっ、最後にこれかよ」

【オルウェン】「本当に……最後の最後まで嫌な奴!」


【システム】《Dr.D=eath 撃破》


 黒い霧が薄れ、戦場に静寂が戻る。

 弱体化しつつも二人は踏みとどまり、仲間の合流で戦線が再び整えられた。

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