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元海軍少尉の受付嬢  作者: 影光
二章 狩場へ
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赤火竜 アララガル

 赤を基調に塗られた大きな櫓を建築する音がコンコンと響く。

 工兵隊が目標を誘い出す罠を立てている間、私は迷彩服をまとって茂みに隠れながら、クリカラから渡されたおにぎりを食べる。

 そばには装填された使い捨ての携行式対竜砲と爆撃地点を修正する際に使えと言われた、先の尖った発煙筒。

 トーチカからは重機関銃と射手が顔を覗かせ、ハンターたちはその時に備えて刃を研いでいる他、他の陸軍兵士やハンターたちは私と同様に茂みに身を潜ませている。

「緊張しているか?」

 同じ場所に配置された人狼族のハンターであるムーラがそう話しかける。

「いえ、戦いには慣れていますので」

「そうか」

 他愛ない話をしていた時、一帯に大きな羽音がバサバサと響き、ついにそれが現れた。

 赤い体色の四肢と翼を持った飛空竜、アララガルが姿を現した。

「退避だ、急げ!」

 工兵が急いで櫓から飛び降りた直後、一発のブレスが放たれる。

 赤々と燃え上がる櫓を巨体でそれを潰すと、大地に降り立ち、アララガルは周りを見渡す。

「…」

 静かに砲の照準を合わせ、安全装置を解除する。

「撃て!」

 直後、一帯は轟音に包まれた。

 パトラの号令の下、無数の砲火がアララガルに向けて放たれる。

 携行式対竜砲、重機関銃、牽引式対竜砲…

 四方八方から放たれたあらゆる砲弾が赤火竜の翼に向けて飛翔、爆炎に包まれる。

「グオォォォォォォ!!!!!」

 轟く竜の絶叫。

 砲弾は命中し、翼を破ることに成功。

 隠れていたハンターが徒党を組んで強襲する。

 響く剣戟の音を耳にしながらトーチカに移動、内部に設置されたアンカー射出装置につく。

バリスタのような形の兵器を動かし、照準を合わせる。

 後ろでは大佐が爆撃の要請を行っているらしく、規則的な打電の音が聞こえる。

「今だ、撃て!」

 トリガーを引き、射出。

 四方八方から放たれたアンカーボルトが鱗のない腹部に深く突き刺さる。

 しかし相手は飛空竜。

 持ち前の膂力で抵抗し、ワイヤーが引っ張られる度に射出装置が音を立てて軋む。

 このままでは拘束が解かれる。

 そう判断した刹那、私は発煙筒を持ってトーチカを飛び出す。

「何を考えて―」

 大佐が制止する間もなく、アララガルの背中に飛び乗る。

 直後、ワイヤーを引っ張られる形で射出装置が一つ破壊されるも、発煙筒を目標の背中に力いっぱいに突き刺す。

 点火して赤い煙を立ち上らせる。

 空を見上げれば彼方に編隊を組んだ爆撃隊がイスカから発艦した艦上戦闘機に守られながら飛来する。

 四肢を動かしてエリアから逃げようとするアララガル。

 しかし背中に刺さった発煙筒の煙を爆撃隊が見逃すはずもなく、攻撃態勢に入る。

「こっちだ、はやく!」

 トーチカ内に避難を促すパトラ。

 投下された無数の爆弾の風切り音を耳に、ひた走る。

 山地に響き渡る轟音。

 要塞が振動し、天井からコンクリートの欠片がパラパラと落ちる。

 爆炎が晴れればそこには赤火竜の骸。

 堅牢な鱗や立派な角は砕け、無残な姿と化していた。

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