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なろうモノ嫌いの異世界記  作者: 不連続がと
なろうモノ嫌いの異世界記

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17/28

エピローグ

 ──目を覚ました瞬間、頬にひんやりとした感覚が広がっていた。


 柔らかい布団の感触。見慣れた天井。静かな、いつもの朝。


 彼は、無意識にスマホを手に取った。

 時刻は、土曜日の朝5時──。


「……戻ってきたのか」


 そう、異世界の熱と戦いの余韻をまだ感じていたのに、気がつけば、ここは自分の家だった。

 まるで夢から醒めたように、しかし、記憶はあまりにも鮮明すぎる。


 ゆっくりと布団を抜け出し、寝室を出る。

 和室には、彼の家族──、妻と、まだ小さい息子が静かに寝息を立てていた。


 ──まずは、良かった。


 率直に、安心する。でも、どこか別の感情も胸に広がる。


 ──本当に、帰ってきたんだな。


 異世界での戦いの痕跡は、どこにもない。

 魔法も、もう使えない。

 でも、彼が過ごしたあの日々は、確かにあった。


 そう思いながら、彼は隣の部屋に向かう。


 デスクの上には、いつものPC。

 電源を入れ、デスクトップが表示されると──

 見慣れないtextファイルが、一つだけそこにあった。

 

 ……


 クリックして開く。


 そこに記されていたのは──

 彼が過ごした、異世界での物語。


 召喚屋のポタル、黒曜岩龍オン、<<薔薇と月>>、ハピサキの面々、カーロウ、リトル・ウィンター達、フギリ。


 彼が出会い、戦い、笑い、そして最後に消えたあの世界が、


 まるで”彼自身”が記したかのように綴られていた。


「……マジかよ」


 言葉が漏れる。


 女神ギムの言葉を思い出す。


 ──あなたのPCに、あなた自身の感受性と能力で記した“なろう小説”として、今回の冒険譚を記録してあります


「はぁ……」


(まさか、本当にこんな形で残っているとは。)


 PCのブラウザを開き、検索バーに打ち込んだ。

「小説家になろう」公式サイトが表示される。


 会員登録を済ませ、アップロードの方法を確認する。


 プロローグをアップロード。

 章の設定。

 投稿の流れ。


「……誰かに、届くかな」


 独り言のように呟く。


 ──いや、そんなことは関係ないのかもしれない。


『楽しんで、やるべきことを、やりなさいっ!』


 今度は、あのポタルの元気な声が、頭の中で蘇った。


 ここから先は、彼の人生。誰に読んでもらえる物語でもない。


 だが。



 ──物語は、終わらない。



 なろうモノ嫌いの異世界記 <完>

最後までお読み頂き、ありがとうございました!


サイドストーリーは、本編で省略した、大会編へと続きます!

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― 新着の感想 ―
無事に戻ってこれてよかったです! 異世界の熱を握りしめて末永く幸せに暮らせ
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