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幼馴染が魔王/勇者でした。  作者: 夕藤さわな
10.団円編

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10-01 ネコ型ゴーレムだ!

「〝女神の鉄槌〟!」


 そう叫んでリカが振り下ろした剣先が指し示す先には弓矢を構えた兵士がいた。ジーの無防備な背中を狙う兵士だ。


「〝我が命に従い、出でよ。自動泥人形ゴーレム〟!」


 リカを真っ直ぐに見据えたまま、ジーは右手をスッとあげる。一撃目の〝女神の鉄槌〟で開いた大穴の奥からゴポ、ゴポゴポ……と不気味な音が響いた。

 かと思うと――。


「〝くまのパン屋さん 幽霊屋敷編〟! 口裂け令嬢が〝私、キレイ?〟と尋ねていた巨大鏡!」


 ズバーン! と穴から吹き上がった泥が空中でひとかたまりになり、すぐさま鏡へと姿を変えた。重厚な銀細工に縁どられ、見事に磨き上げられた鏡だ。その鏡面部分が真っ直ぐに落ちてくる光の柱を――〝女神の鉄槌〟を受け止め――。


「……!」


 反射した。真っ白な光の柱は夜空を一直線に昇っていき、雲にでもあたったのだろうか。爆ぜて花火のように消えた。

 そして兵士がジーに向かって放った矢は――。


『私、キレ……イィ……イタァ……イ……』


「ぎゃぁぁぁあああーーー! 口が裂けてるし肌は腐ってズルけで目玉も落ちかかってるご令嬢の額に俺の放った矢が刺さったぁぁぁあああーーー!!!」


 たまたまか、計算か。巨大鏡といっしょに召喚されていた〝口裂け令嬢〟の額に刺さってジー的には難を逃れた。


『イタァ……ィィィイイイ……!!!』


「ごめんなさぁぁぁあああーーーい!」


 ご令嬢らしい身動きのしにくそうなドレスを着て、高くて細いヒールの靴を履いているとは思えない速さで走る〝口裂け令嬢〟に追いかけられていずこかへと走っていく兵士的にはどうだからわからないけれど、何はともあれジー的には難を逃れた。

 でも、ほっと息をついている暇はない。


「〝女神の槍雨そうう〟」


 静かな声で言ってリカが再び神剣を振り下ろした。剣先が指し示す先には剣や槍を構える兵士、逃げまどい、あるいはジーに襲いかかろうとする群衆がいる。


「〝くまのパン屋さん 来襲☆予約なし大宴会編〟。寿司屋のゲンさん一家・踊り切りバージョン」


 ジーはあいかわらずの淡々とした表情で、しかし、よく見れば緊張で震える手でスッと兵士や群衆を指し示した。

 瞬間――。


「二足歩行するネコ!?」


「違う、ゴーレムだ! ねじり鉢巻きして両手に包丁を持ったネコ型ゴーレムだ!」


 兵士や群衆の太ももくらいの背丈の二足歩行するネコ型ゴーレムが大量発生した。百匹以上いるだろうネコ型ゴーレムは両手に持った包丁を構え、空を見上げて不敵に笑った。見上げるのは雨のように降り注ぐ光の槍。リカが放った〝女神の槍雨そうう〟だ。

 幾千幾万の光の槍に恐れをなすことなく華麗な身のこなしでジャンプしたネコ型ゴーレムたちは――。


『うにゃ!』


『うにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ……!』


『うにゃーーー!!!』


 華麗なステップで地上も空中も関係なく縦横無尽に飛びまわり、これまた華麗な包丁さばきですべての光の槍を三枚におろしてみせた。


『うにゃ!』


 二本の包丁を構えてポーズを決める大量のネコ型ゴーレムたちをはさみ――。


「……リカ」


「ジー君……」


 リカとジーは――幼馴染で親友の二人は静かににらみ合ったのだった。

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