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幼馴染が魔王/勇者でした。  作者: 夕藤さわな
07.王都編

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07-09 ……〝女神の小人さん〟?

「〝女神の小人さん〟」


「……〝女神の小人さん〟?」


 神剣を抜いたリカがぼそりと呟いた言葉をオウム返しにしてラレンは身構えた。神剣が淡く白く光っているということは女神アルマリアに授けられた力を使った、あるいは使っているということだろう。


「どんな力なんですか、〝女神の小人さん〟って」


「探し物や落とし物を見つけることができる力だよ」


「探し物や落とし物を見つけるために使ったんですか? 女神の力を? 女神の力を軽々しく使い過ぎじゃないですか、勇者様!?」


 なんて叫ぶラレンをよそにリカはジーの母親の形見である銅貨を探すために神剣片手にフラフラと来た道を戻っていく。怯えてジーの背中に隠れていたアルヴィとヴァレッドもリカの姿が見えなくなるとようやく顔を出した。


「親の形見だなんて知らなかったんだ。……ごめん」


 そう言ってアルヴィは上目遣いにジーを見た。

 殺気ダダ洩れで剣を向けてきたリカを止めてくれたジーにほんのちょっとの恩義と信頼を感じているのかもしれない。アルヴィもヴァレッドも取っ捕まった直後とは打って変わって殊勝な態度だ。

 アルヴィもヴァレッドも黒い髪に濃い茶色の瞳、褐色の肌をしている。アルマリア神聖帝国の国民はほとんどが白い肌。恐らく二人は南方の国からやってきた移民か、その二世だろう。

 見上げるアルヴィに雄牛のような黒い角と赤い瞳が見えないようにとフードを押さえ、もう一方の手で少年たちの頭をくしゃりとなでながらジーは首を横に振った。


「さっきも言ったが串焼きを買うのに使うつもりだったんだ。気にしなくていい。ただ、形見であるかどうかに関わらず人の物を奪うのは良くない」


 ジーの言葉にアルヴィもヴァレッドもうなだれはしたけれど、あやまることも二度としないと反省を口にすることもしない。ただ、唇を引き結ぶだけだ。

 二人の態度をオリーとバラハも不審に思ったらしい。ジーたち三人は顔を見合わせ――。


「なあ、お前ら。どうしてあんなこと……」


 事情を聞こうとオリーがアルヴィとヴァレッドの顔をのぞきこんだ瞬間――。


「ジーくぅぅぅーーーん! ジー君のお母さんの形見の銅貨、見つかったよぉぉぉーーー!!!」


「……ぐふっ」


 女神アルマリアの力〝女神の小人さん〟を使って速攻でジーの母親の形見である銅貨を見つけてきたリカがジーにタックルをかました。リカ本人はジーの腰にしがみついたつもりだろうけど勢いが良すぎて二人そろって吹っ飛び、地面をころころと転がっていく。


「ゆ、勇者様!」


「ジー!」


「リカ!」


 リカよりもずいぶんと遅れてゼェゼェハァハァ言いながら戻ってきたラレンも、オリーもバラハも、青ざめたのは吹っ飛んで地面を転がった拍子にジーとリカが被っていたフードが取れてしまったから。


「銀色の髪に金色の瞳って……勇者、様?」


「黒い角に赤い瞳って……コイツ、魔族じゃねえか……!」


 深々とフードを被って隠したかった髪やら瞳やら角やらがあらわになってしまったから。

 そして――。


「コイツらの……魔族の、せいで……!」


「……!? ジ、ジー君……!」


 ヴァレッドが体当たりでリカを突き飛ばし――。


「俺の家族も、ヴァレッドの家族も……みんな……!」


「……っ」


 馬乗りになったアルヴィがジーの喉に木製の串を振り下ろしたからだった。

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