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幼馴染が魔王/勇者でした。  作者: 夕藤さわな
07.王都編

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07-07 お前、魔王だよな!?

 オリーに奢ってもらった大切な串焼きだ。死んだ母が残してくれた大切な形見の銅貨だ。のんきで執着心のないジーでも盗られてしまったなら仕方がない、あきらめようと言うことはできない。

 だからこそ、広場から放射線状に伸びる大きな通りから横道に入り、細道を行き、見るからに治安の悪そうな地域に入ってもジーは小さな影が駆けて行った方向へと走り続けた。昼間なのにどんよりと薄暗くて、悪臭がただよっていて、ボロボロで薄汚れていてガリガリにやせ細った子供たちがうつろな目でこちらを見ているのが不気味だし気になるけど、とにかく一生懸命に走り続けた。

 あいかわらず淡々とした表情だし、そもそもフードで顔を隠しているから表情も見えないのだけどすっかり涙目だ。心の中ではギャン泣きだ。ギャン泣きで小さな影と、それを追いかけて行ったリカとオリーとバラハを必死になって追いかけていた。

 ヘロヘロの足取りで、だ。


「白魔導士の僕や魔法使いのバラハより体力がないってどういうこと!? お前、魔王だよな!? 魔族の長で、勇者様の前に最強にして最後の敵として立ちふさがるはずだった魔王だよな!?」


 ヘロヘロのヘロンヘロンな走り方のせいで一向に追いついて来ないジーにラレンは地団駄を踏んで叫んだ。先を行くオリーとバラハ、さらにもっと先を行くリカのことを気にしてキョロキョロとしているけれどきちんとジーが追い付くのを待っている。


「優しい、な……ラレン、は……っ」


「こ、こんなところに魔王一人を置いてって、もし、このあたりの子供たちに何かあったら大変だって思ってるだけだよ! 第三王子として当然のことをしてるだけ! 別に魔王おまえのことを心配して待ってやってるわけじゃないからな!」


「あり、がとう……ラレン……っ」


「いや、だから……!」


 なんてやり取りをしているあいだにどうにかこうにかラレンのところまではたどり着いたジーだけどひざに手をついてゼーハーと肩で息をしている。


「ヒール、全能力強化」


 杖を一振り。ラレンが呪文を唱えるとジーの体が淡く白い光に包まれた。白魔導士としての能力を使ってジーを回復したのだけれど――。


「ありがとう、ラレン」


「これで何度目だよ。回復魔法を使ってもすぐにゼーハー言い出すし。体力なさすぎだろ、魔王のクセに!」


 というわけなのだ。

 と――。


「おーい、ラレン、ジーーー! 魔王こと強奪犯をとっ捕まえたぞー!」


 あまりの体力のなさにブチギレ気味なラレンと、しょんぼりと肩を落としていたジーはオリーの声にほっと息をついて顔を上げた。

 そして――。


「ジー君の敵は僕の敵。ジー君のお母さんの形見の銅貨と串焼きをジー君から強奪する者がいるなら僕は全力で取り返すし、全力で排除する。……排除するぅぅぅーーー!!!」


「落ち着いてください、リカ! 魔王こと強奪犯ではありますが、まだ子供ですから!! 二人とも子供ですからぁぁぁーーー!!!」


「勇者様ぁぁぁーーー!!?」


「……!?」


 リカのダダ洩れまくりな殺気とバラハの絶叫に目をむいて青ざめた。

 リカが飢餓状態のゾンビのような勢いで腕を伸ばす先にはオリーの極太の腕に捕まった十才になるかならないかの男の子二人がブラブラしている。


「……」


「…………」


 リカに殺気を向けられ、オリーにえり首をつかまれて無の表情でブラブラしている少年たちは母猫に首をくわえられて運ばれていく子猫の体勢と表情そのものだった。

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