01-03 距離感が。
「一体、お前と魔王ってどういう関係なんだ、リカ」
「顔見知りという以上に仲が良いことはわかりますけど」
オリーとバラハに尋ねられてリカは顔をあげた。
ニッコニコの笑顔だ。神剣をおっぽり出して駆け寄ったかと思ったら、ジーの首に両腕をまわして抱き着き、その体勢のままニッコニコの笑顔を二人に向けた。
「ジー君は僕の幼馴染で親友だよ。大切な、幼馴染で親友!」
「魔王に抱きついたままニッコニコの笑顔で答えないでください、勇者様!」
勇者崇拝過激派のラレンはリカの行動に真っ青になった。
「九才の頃、短い期間ではあったがリカが住んでいた人族の村で暮らしたことがあってな。そこで仲良くなったんだ」
「勇者様に抱きつかれたまま平然と答えるな、魔王!」
そんでもってリカの行動を当たり前のように受け入れているジーに目をつりあげた。
「ジー君も僕も魔族と人族のハーフだからシンパシーを抱いたというか意気投合したというか。ねー!」
「ねー、じゃないです! もう、やめてください! 勇者様ぁぁぁあああーーー!!!」
魔王であるジーにベッタリくっついて離れる様子のないリカを見て、金色の髪をかきむしって絶叫というか発狂しているラレンを見て、オリーとバラハはため息をついた。
「ラレンー、そんなに勢いよくかきむしるとハゲるぞー」
「大切な幼馴染で親友だというのはわかりましたが……それにしても距離感おかしいんですよね、今日のリカ」