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幼馴染が魔王/勇者でした。  作者: 夕藤さわな
04.星空編

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29/94

04-01 大人しく受け入れなきゃ。

「なぜ、キミたちは魔族が人族を滅ぼそうとしていると思っているんだ」


 いつも通りの淡々とした表情だが心の中ではいつも以上に真剣で深刻な表情をしているのだろうジーに聞かれ、オリーとバラハは顔を見合わせて眉を寄せた。

 そして、長い長い沈黙のあと――。


「……は?」


「なぜって……まるで濡れ衣だとでも言わんばかりの物言いですね」


 怒りといらだちがにじむ声でそう言った。


「……」


「……リカ」


 オリーとバラハの殺気に反応して神剣の柄に手をかけるリカをジーは短く名前を呼んで制する。

 これまでのオリーならリカが剣に手をかけたところで慌てつつもお道化て降参のポーズを取って見せただろう。でも、今は少しも引くことなくジーとリカをにらみつけている。

 そんなオリーを前にジーはあごに手をあてた。


「先々代の魔王――私の祖父の代に一度、人族とのあいだに大きな戦争があったと父や家庭教師から教わっている。三百年ほど前の話だ。だが、それ以降、小競り合いも含めて人族とのあいだに争いが起こったという記録はないのだ。私が魔王になってからの五年のあいだも、魔王領に連れて来られてからの十五年のあいだも、父が魔王だった二百年ほどのあいだもだ」


 表情は変わらないがどうやら心の中は困り顔らしい。ジーがあごをなでながらうつむくのを見て、オリーとバラハはますます眉間のしわを深くする。

 祖父の代や父親の代の話ならジーが知らないだけ、知らされていないだけと言えるかもしれない。

 でも――。


「俺たちが子供の頃から何度も魔族とのあいだで戦争が起こってる。そのたびに食料や税を徴収されて貧乏な俺たちの村はきつい思いをしてきたんだ」


「私たちの村が襲われたのだって十五年ほど前の話です。そのあとも魔王領に近い人族の村や町が何度も襲われています」


「僕たちが王都を発った三年前も指揮官を任じられた騎士の出立式があった。三百年前から一度も、小競り合いすら起こってないなんて大うそもいいところだよ」


 ジーが魔王領で暮らすようになってからも、魔王になってからも――となれば話は変わってくる。

 三人の話を聞いてますます首をかしげるジーにオリーとバラハは再び顔を見合わせ、ラレンは鼻で笑って一蹴した。


「ジーのあずかり知らぬところで事が起こっている、ということでしょうか」


「まあ、王様が国のすべてを知ってるかって言ったらそういうわけじゃないだろうが」


「たしかに国王が国のすべてを把握できてるわけじゃない。でも、戦争をしているのに知らない、把握してないなんてこと、ある?」


 オリーとバラハの話を聞いて目をつりあげたのはアルマリア神聖帝国現国王の息子で第三王子でもあるラレンだ。


「絶対、コイツがうそをついてるんだって! 知ってるのに知らないふりして勇者様やバカでお人好しのオリーやバラハを騙そうとしてるんだって! 丸め込もうとしてるんだって! んで、油断したすきに魔族や魔王にとって脅威である勇者様や僕たちを殺そうとしてるんだって!」


 ビシッ! と指さして叫ぶラレンにジーはあいかわらずの淡々とした表情のまま肩を落とした。恐らく心の中はギャン泣きなジーの様子を見た瞬間――。


「ラレン、ジー君はそんなことしないよ。騙そうだとか丸め込もうだとか、ましてや油断したすきに僕たちを殺そうだなんてしないよ」


「うわぁぁぁあああーーー! ごめんなさい、勇者様ぁぁぁあああーーー!!!」


 ジーに制止されてからずっと大人しく成り行きを見守っていたリカがすらりと神剣を鞘から抜いた。


「それに万が一、油断したすきに僕たちを殺そうとしているんだとしても、ジー君がそれを望んでいるのなら大人しく受け入れなきゃ」


「そこは受け入れないでください、勇者様! それは多分、ちょっと、完全に、重くてゆがんでるタイプの愛です、勇者様ぁぁぁあああーーー!!!」


「……うむ。望んでないし受け入れないでくれ、リカ」


 ニッコニコの笑顔と殺気ダダ洩れの声で言うリカにラレンは表情も心の中もギャン泣きで叫び、ジーは表情は淡々としてるけど心の中はギャン泣きでつぶやいたのだった。

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