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幼馴染が魔王/勇者でした。  作者: 夕藤さわな
03.空気編

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03-07 同志よ!

「そんなわけでジラウザ様の魔力量が多く、魔法への造詣が深いのは幼い頃からのたゆまぬ努力、日々の鍛錬のたまものなのでございます」


「なるほど」


「よくわかりました」


「ジーキルさんがただの孫を溺愛するおじいちゃんポジションだってことはよくわかった」


 後ろ手を組んでフフン! と胸を張る老紳士ジーキルを見つめてオリーとバラハ、ラレンは深々とうなずいた。

 と――。

 

「ジーキル、なぜリカたちの前に出て来たんだ。人族が怖いのだろう?」


 ジーはジーキルの肩をつかんで今更のように尋ねた。表情は変わらないものの、恐らく心配しているのだろうジーの手にジーキルはそっと自身の手を重ねる。


「はい、人族は怖ろしいです。今も、戦場に立っていた昔も怖ろしい」


 その言葉の通り、ジーに重ねたジーキルの手は小刻みに震えていた。


「ですが……」


 しかし、顔をあげたジーキルはすっかり大きくなったジーを見つめ、ぐるりと勇者パーティの面々を見まわし、穏やかな微笑みを浮かべて言った。


「隙あらばジラウザ様の自慢話をしようと様子をうかがっていたところ、チャンスの気配を感じましたもので」


「前言撤回。すべての魔族を滅ぼすのはやめよう。ジーキルさんの自慢話は――ジー君の子供時代の記憶のアレコレは無形文化遺産として保護しなくては……!」


「じいはいつでもジラウザ様の自慢話をする隙をうかがっているのでございます」


「魔族なんかに隙を見せてしまったことが悔やまれる……!」


 胸に手を当ててうやうやしく一礼すると老紳士にリカは目をキラキラと輝かせ、ラレンは盛大に舌打ちした。


「あれは完全に孫を猫かわいがりするおじいちゃんだな」


「本当のお祖父さんなんですか、ジー」


「いや、違う。ジーキルは私の祖父である先々代の魔王にも仕えた古くからの重臣だ」


 バラハの質問に首を横に振ったジーは目を伏せた。表情は変わらないがどうやら心の中では自嘲気味に笑っているらしい。


「魔族と人族のハーフである私の世話係を引き受けてくれる者は誰もいなくてな。私が魔王城に連れて来られたときにはすでに隠居して第一線を退いていたジーキルが引きずり出される羽目になってしまったというわけだ」


 肩を落とすジーを見て、オリーとバラハ、ラレンは顔を見合わせた。


「隠居してたところを引きずり出された直後はどう思っていたかはわからんが」


「少なくとも今のジーキルさんを見るかぎり、ジーが気に病む必要は少しもないと思いますよ」


「あそこにいるのは先々代魔王の元腹心でも元重臣でも隠居し損ねたご老体でもなく、じじバカ全開のジジイだ」


 オリーとバラハに肩を叩かれてジーはゆっくりと顔をあげた。ラレンはと言えばジーと目が合うなりフン! と鼻を鳴らしてそっぽを向く。そんな三人の顔を見ているうちに表情こそ変わらないものの、どうやら元気が出たらしい。


「ジジイ呼ばわりはやめてやってくれ、ラレン」


 恐らく、心の中では微笑みながらそう言ってジーはジーキルを見つめた。

 と――。


「ジーキルさん、ジーキルさん」


 リカが手をすりすり、ゴマをすりすり、ジーキルにすり寄っていく。


「僕とお友達になってください。僕の知らないジー君のあれやこれやを教えてください」


「魔族に害なす勇者と仲良くするつもりはありません」


「ジーキルさん……!」


 すげなく断られて半泣きになったリカだったが、ジーキルの表情が和らぐのを見て、ジーキルの次の言葉を聞いて、キラッキラの笑顔を取り戻した。


「しかし、ジラウザ様の幼い頃を知る同志との連絡先交換はやぶさかではありません。……こちらをどうぞ、同志リカルドよ」


「ジーキルさん……いや、同志ジーキル! 感謝します!」


 ジーキルがリカの手のひらに刻み込み、すぐさま消えた魔法陣を見て、バラハとラレンは杖を握りしめて絶叫した。


「それは失われた技術とされる古代魔法〝個体直通伝達魔法〟!? 私の師匠が見たら狂喜乱舞する魔法ですよ! 魔王領ではいまだに使われていたんですか!?」


「勇者なのに魔族と個人的に連絡先を交換しないでください、勇者様ぁぁぁあああ!!!」

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