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虚言癖は、意外と教祖が向いてるかも

北野「はあ…俺ってなんでこんなスゴイんだろ…」


杉本「すごいでござる」


森田「…………………」


北野「格闘技最強、スポーツ万能、イケメン、そしてIQも高い。俺すごすぎん??」


杉本「すごいでござる」


森田「…………………」


北野「しかも超モテモテ。女に困ったことはない。コミュニケーション能力も高い。陽キャの友達も大勢いる。すごすぎん??」


杉本「すごいでござる」


森田「…………………」


北野「さらに親も大金持ちで、政治家で社長で、エリート一家の生まれって…マジすごすぎん??」


杉本「すごいでござる」


森田「…………………」


北野「極めつけに、ゲームもうまいし、面白いし、才能あるし、努力家だし、えーと、うーん…」


森田「もういいわ!!無理して自分のスゴイところをひねり出さなくていいから!!しかも全部嘘じゃねーか!!」


北野「嘘じゃねーし!!」


森田「もういいからこのくだり!!何回同じツッコミさせんだよ!!もう飽きたわ読者も!!」


北野「で、俺が今日言いたいのはさ、こんなスゴイ俺が、何もしなくていいのかって話。」


森田「は??」


北野「だからさ、ここまで色んなことをして、色んなことを経験してきた俺が、みんなに何も伝えなくていいのかって話よ!!」


森田「いや、君が何を伝えるの??」


北野「だから、どーすれば最強になれるとか、どーすれば才能が芽生えるとか、どーすれば俺みたいなスゴイ人になれるのか、とか」


森田「まず、誰もお前のことなんて知らねーよ!!」


北野「もっとさ、みんなを助けたいよね!!絶望の淵にいるみんなを、俺が救ってあげたい!!」


森田「急にカッコいいな!!どうした!?」


北野「いやさ、杉本とかは俺と出会えたおかげで救われたとこもあるじゃん??」


森田「微塵もないわ!!」


杉本「えーと…うん、まあ、そうでござるな(笑)」


森田「流石の肯定神・杉本君でも困惑してるじゃないか!!大体、彼は君よりよっぽどすごいからな!?普通にガチで社長の息子だからな!?」


北野「そんな絶望の淵にいる色んな奴を、この俺様が救ってやるというわけだ!!」


森田「絶望の淵にいる奴も、君に救われるくらいなら死んだ方がマシだわ!!」


北野「というわけで、早速セミナーを開こうと思う」


森田「相変わらず、行動力だけはバケモンだな!!」


杉本「拙者の会社に関係している場所で、空いてる会場がないか探してみるでござる!!」


北野「流石は俺の右腕だ!!」


森田「スゴすぎる!!「拙者の会社」とかマジでカッコよすぎ!!」


~1週間後~


北野「さてと。ようやくセミナー当日だな」


森田「まさか本当に会場を借りられちゃうなんて…杉本君の一声で…恐るべし社長息子…」


北野「よし!!今日から絶望の淵にいる奴らを救って救って救いまくるぜ!!」


森田「絶望の淵ってワード、言いたいだけだろ!!」


北野「杉本!!どうだ参加者の状況は!?」


杉本「0人でござる!!」


北野「はあ!?なんでだよ!!」


森田「当たり前だろうが!!胡散臭い奴の胡散臭いセミナーなんて、誰が参加するんだよ!!」


北野「無料だぞ!?」


森田「無料でもだ!!」


北野「頭おかしいんじゃねえのか!?無料で俺の話が聞けるんだから、みんなこいよ!!」


森田「だからお前誰だよ!?ってみんな思ってんだよ!!」


杉本「団体客が来たでござる!!」


森田「マジで!?何人!?」


杉本「30人でござる!!」


森田「ガチで!?」


北野「よっしゃあ!!ようやく来たか、俺の時代!!」


森田「ちなみに、どういう団体??」


杉本「なんかホームレスの集団でござる。外が暑くて寝れないから来たと言っていたでござる」


森田「完全に寝床扱いしてるじゃねーか!!」


ホームレス1「ふいー。あー、やっぱ室内は涼しー…」


ホームレス2「すまねえな兄ちゃんたち。ちょっと横にならせてくれや(笑)」


森田「ハナから聞く気ねえ!!まあ、知ってたけども!!」


ホームレス3「じゃ、一杯やろうや」


ホームレス4「そやな。ツマミも買ってきたぜ」


北野「おい!!宴会場じゃねえんだぞ!?」


ホームレス1「え??じゃあ何なんだ??」


北野「えーと…俺の演説場だ!!」


ホームレス1「いーよいーよ。俺達聞いとくから」


ホームレス2「いくらでもしゃべってくれや(笑)」


北野「言ったな!?ちゃんと聞けよ!?」


ホームレス1「おー聞く聞く」


ホームレス2「任せとけ」


ホームレス3「かんぱーい」


森田「100%聞かない!!」


北野「クソ…マトモな客はいねえのか!?」


志村「無料でセミナー聞かせてくれるって言うから来てみたら…何だこれ??ホームレスの巣窟??」


森田「ええ!?志村君!?」


北野「大親友じゃないか!!何してんだ!?」


志村「げ!?北野!?なんでテメエがここに…」


北野「そりゃ、この俺様がこのセミナーをやるからに決まってんだろ(笑)」


志村「は…??」


森田「表の看板見なかったの??(笑) 今からみんなの前でセミナーするの、この人だよ??(笑)」


志村「…帰ろ。」


北野「おい!!せっかく来たんだから、帰るなよ!!」


志村「話すのがお前なら、聞く価値がないことがはっきりわかる。だから帰る」


北野「せっかくここまで来たんだろ!?聞けよ!!」


志村「俺はたまたま寄って、無料だから入っただけだ。お前の話なら金をもらっても帰る」


北野「じゃあ、100円やるよ」


志村「仕方ねえな。聞いてやる」


森田「今の話、何だったの!?」


〜セミナー開始〜


北野「えーそれでは皆さん。大変長らくお待たせしました」


志村「待ってねーわ」


ホームレス1「よっ!!いいね!!」


ホームレス2「頑張れ少年!!」


ホームレス3「ちなみに、何のセミナーなんだこれ??」


ホームレス4「さあ??(笑)」


北野「突然ですが皆さん。私が誰だかわかりますか??」


志村「知らん。誰だお前」 


ホームレス1「見たことも聞いたこともねえよなあ…」


ホームレス2「ワシも知らん」


志村「ゴミ北野」


森田「嘘つきバカ」


北野「大親友志村。もう100円やる」


志村「最高の天才大親友、日本が生み出した稀代の天才」


森田「なんか買収された!?」


北野「そうだろうそうだろう。杉本は??」


杉本「最強最高の大天才、超イケメン最強最高のモテモテ男、異次元の最強最高の人類でござる!!」


森田「なっっが!!何回最強最高って言うんだよ!!」


北野「その通りだ。みんなわかったか??まず俺はすごい。とてつもなくすごい。」


ホームレス1「はあ??」


ホームレス2「何コイツ、キッショ」


ホームレス3「なんだ、ただの自慢大会か…」


北野「だけど、今日俺が言いたいのはそんな話ではない」


森田「え??」


志村「は??」


北野「俺はこの、最強最高の力を使って、世の中をもっと良くしたいと考えている」


志村「え!?」


森田「ま、まさか…」


北野「ああ。この俺が、絶望の淵にいるお前らみたいな奴らを、全員救ってやる!!」


ホームレス達「「「「おおおおおお!!」」」」


ホームレス1「すごい!!なんだあの自信に満ち溢れた若者は!!」


ホームレス2「なんだか、説得力があるぞ!?」


ホームレス3「見ろ!!あの嘘偽りなんて1つもないと言わんばかりの、あの輝かしい目を!!」


森田「残念ながら、嘘だらけです!!みんな騙されないで!!」


ホームレス4「いやいや。こんな堂々と自信満々に目を輝かせて嘘つける人なんていないでしょ!!」


森田「いるんです!!この人は特殊なんです!!」


北野「おい大親友」


志村「はい。何でしょうか」


北野「あの森田とかいう奴、黙らせてくれ」


志村「いくらでしょうか?」


北野「え??」


志村「いくらで処分いたしますか??」


北野「えーと、もう100円」


志村「無理です。安すぎます」


北野「なら110円」


志村「刻まないでください。もっと上げてください」


北野「なら200円」


志村「さっさともっと上げろ。殺すぞ」


北野「口わっる!!なら300円だ!!これ以上は出せん!!」


志村「は??マジで殺すわ。1万円以上出せ。じゃないとお前の命はない」


北野「もう脅迫じゃん!!お巡りさん助けてください!!」


志村「で、払うの??払わないの??」


北野「払います!!1万円払います!!」


志村「なんでも言うことをお聞きします」


北野「…よかろう。すぐにあの森田の口を封じたまえ」


志村「らじゃ。悪いな森田」


森田「え、ちょ、ま」


ドカバキボカスカ


森田「ギャアアアアア!!」


北野「おいお前ら。俺はすごいよな??」


志村「スゴイ!!超すごい!!神的にすごい!!」


杉本「天才的最強的神的にスゴイでござる!!」


北野「フッフッフ。そうだろうそうだろう。ではなぜ、この俺がここまでスゴイと言われてるのか、その理由を語ってやろう。心して聞くがいい」


北野「まずは少し、俺の壮絶な人生の話をさせてもらう。俺は最初はプロ野球選手を目指していて、強豪の中学校でキャプテンをしながらエースで四番を」

〜1時間後〜


ホームレス1「スゴイ!!北野くんはスゴイ!!」


ホームレス2「北野君、カッコイイ!!」


ホームレス3「だからモテモテなのか!!全てに合点がいったよ!!」


北野「でしょでしょ??(ドヤ顔)」


ホームレス1「こんなに壮絶な人生を歩んでいる若者が…不屈の精神で人生を歩んでいるというのに…」


ホームレス2「俺は、一体何をしてるんだ…??日々食って寝てるだけじゃないか!!」


ホームレス3「そーだそーだ!!北野君を見習おう!!」


北野「おい大親友」


志村「なに??」


北野「「北野君じゃない。北野様だ」と言ってくれ」


志村「何円??」


北野「100円」


志村「1000円」


北野「…払います」


志村「いいだろう。」


志村「おいアンタ達、「北野君」じゃない。この方は「北野様」と呼べ」


ホームレス1「ははあ!!北野様!!」


ホームレス2「北野様!!北野様!!」


ホームレス3「北野様、バンザーイ!!バンザーイ!!」


森田「うう…志村君、力強すぎるって…イテテ」


森田「…なんだ??ずいぶん騒がしいな」


ホームレス4「北野様、バンザーイ!!バンザーイ!!」


ホームレス達「バンザーイ!!バンザーイ!!」


森田「ええ!?どういう状況!?」


志村「北野が、教祖みたいになった(笑)」


森田「なんで!?」


志村「いやまあ、実際あの話を聞かされたら、北野を尊敬せざるを得ないよなあ…」


森田「え??どの話??」


志村「中学校でエースで四番でキャプテンだったけど、最後の試合で200球投げて肩を壊して、プロになる夢を諦めた話」


森田「もう何回聞いたことか、その嘘話!!てかそれ、君も前に聞いただろ!?」


志村「あれ??そーだっけ(笑)」


森田「ダメだよ、こんな詐欺まがいのことしたら。あのホームレスの人達を騙してることになる!!」


杉本「あれはホントの話でござる。北野大明神様が嘘をつくわけないでござる」


森田「もうすでに、洗脳されてるやつがいた!!」


北野「いやーどーもどーも。超天才、人類か生んだ奇跡、現人神と呼ばれし神童とはまさに俺のことです。いやーどーもどーも」


森田「おい!!いい加減にしろ!!」


北野「は??」


森田「ゴミみたいな嘘話で、人を惑わすな!!」


北野「おいおい。この俺様に、そんな口を効いていいのかな??(笑)」


森田「は??」


ホームレス1「おいなんだこのガキ」


ホームレス2「北野様に向かってなんて口の利き方だ」


ホームレス3「しかも嘘話だと…??」


ホームレス4「北野様、コイツどーします??」


ホームレス5「やっちまいますか??」


森田「完全に洗脳されてる!!ホームレスの皆さん、目を覚ましてください!!これまでの話、全部嘘ですから!!」


ホームレス1「あんなに壮大な話が、嘘なわけねえだろ!!」


ホームレス2「そーだそーだ!!2時間もあるストーリーだぞ!?」


ホームレス3「それが全部嘘だったら、ただのヤバイ奴じゃねえか!!」


森田「だから、ただのヤバイ奴なんだって!!」


ホームレス4「絶対に信じない!!北野様は、俺達の救世主だ!!」


ホームレス1「北野様、バンザーイ!!バンザーイ!!」


ホームレス2「バンザーイ!!バンザーイ!!」


森田「志村君!!なんとかしてよ!!」


志村「いやなんとかしてよって、俺元々こっち(北野)側だし(笑)」


森田「え…??」


北野「いつから志村が、味方だと錯覚していた??」


森田「なん…だと…??」


森田「ちょっと!!志村くん!!なんでそっち側につくのさ!!嘘だとわかってるでしょ!?」


志村「金がめっちゃもらえるから」


森田「単純かつ明解な答え!!」


北野「諦めろ。俺は今日から、北野最強無敵無敗天才モテモテ教をここに新興する」


森田「やめろそのダサい宗教名!!聞いてるこっちが恥ずかしくなる!!」


北野「それから俺のことは今後、「世界の北野」と呼べ」


森田「本物の「世界のキタノ」に謝れ!!」


ホームレス1「キーターノ!!キーターノ!!」


ホームレス2「キーターノ!!キーターノ!!」


森田「はあ…もう付き合ってらんない。好きにすればいいよ…」


志村「キーターノ!!キーターノ!!」


森田「本当に君は、金さえもらえれば何でもするんだな!!」


〜1週間後〜


森田「そういえば最近、北野君も杉本君も全然学校で見ないな…何してんだろ(笑)」


森田「まさかまだ宗教ごっことかしてないよね…?(笑)」


ホームレス達「「「キーターノ!!キーターノ!!」」」


森田「あれ…?なんだろう。悪寒がする…」


ホームレス達「「「キーターノ!!キーターノ!!」」」


森田「幻聴かな??何か不快な声が聞こえる…」


がラララ


北野「ようお前ら。元気だったか??(笑)」


ホームレス「「キーターノ!!キーターノ!!」」


森田「うわ!!なんなのこの大序隊は!?」


北野「俺を神と崇めるホームレス達だ」


森田「ホームレス、騙されやすすぎ!!」


北野「見ろ。今じゃ500人のホームレスが、この俺様に従っているのさ!!」


森田「騙してるだけだろうが!!」


北野「そのおかげが知らんが、俺様は今度テレビに出ることになった」


森田「なんで!?」


北野「500人のホームレスを従える教祖として、テレビが注目したらしい」


森田「そりゃまあ、500人もホームレスを引き連れてたら嫌でも目に留まるわな…(笑)」


ホームレス「「キーターノ!!キーターノ!!」」


森田「しかも超うるさいし…学校に連れてこないでよ。不法侵入になるよ?」


北野「心配ない。許可は取った」


森田「許可とったの!?てか取れたの!?」


北野「ああ。教頭に「俺テレビ出るんすよ。超有名人になるんすよ」って言ったら、ノリノリで「是非我が校にテレビマンを連れて来てください」って言ってきてさ」


森田「大人の悪いところが出てる!!完全に北野君を利用しにきてる!!」


北野「まあ実際超絶有名人だし。このクソ学校も宣伝してやろうと思ってさ(ドヤ顔)」


北野「おそらく来年から死ぬほど倍率上がるだろうな。いやーホント教頭は感謝しろよって感じ」


森田「めちゃくちゃ調子乗ってんな。早くテレビの前で失神して大爆死すればいいのに…(笑)」


北野「バカか。この俺様が、そんな惨めな結果になるわけないだろーが(笑)」


森田「お前、前回テレビに映った時の惨劇を忘れたのか!?」(※前作27話参照)


〜さらに1週間後〜


アナウンサー「それでは本日のスペシャルゲストの紹介です!!北野さん、どうぞ!!」


北野「…………………」


志村「はーい。どーもどーも」


アナウンサー「えっと…失礼ですが、あなたは誰ですか??」


志村「私、北野の秘書をしております。志村です」


アナウンサー「あ、どーもどーも。秘書の方がいらっしゃるんですね。それでは北野さん。質問よろしいですか??」


志村「はい。私が全て答えます」


アナウンサー「いえ、あの、今北野さんに聞いてるんですけど…(笑)」


志村「北野様が答えるまでもありません。私が代わりに北野様の気持ちを代弁いたします」


アナウンサー「あの、なぜ北野さんはさっきからしゃべらないのでしょうか??」


志村「北野様ほどの徳の高いお方が、このような私利私欲にまみれた場所でしゃべる必要がないと感じております。そのため、私が代わりにしゃべらせていただきます」


アナウンサー「はあ…でも私は、北野さんにお話をお伺いしたいのですが…(笑)」


志村「北野様は、現在瞑想(失神)中です。邪魔をしないでください!!私は北野様のホクロの数まで熟知した、いわば影武者のような存在です!!北野様のことで、私に知らないことはありません!!なんでもお聞きください!!」


アナウンサー「めちゃくちゃグイグイ来る!!なんなのこの人!?てか普通に気持ち悪!!」


北野「…………………(失神中)」


〜テレビ放送、1時間前〜


志村「おい。もうすぐ本番だぞ??大丈夫か??」


北野「あ、あ、あああああ。だ、だ、だだだだだ大丈夫だ。もももももも問題ない」


志村「キタノック。めちゃくちゃ問題ありそうだぞ??(笑)」


北野「バ、バカ言うな!!こ、この俺が、この程度の番組で緊張するわけないだろうが!!」


志村「あーそう。じゃあ1人でいけるよな??(笑)」


北野「嘘です!!マジで俺を助けてください!!」


志村「いくら払う??」


北野「いくらでも払う!!だから、俺のプライドが傷つかないなおかつ俺の名誉を守れて、なおかつ俺の人気がバク上がりするように応対してくれ!!」


志村「いや超絶欲張り!!人にあらゆることをやらせといて、都合良すぎだろ!!」


北野「金は、いくらでも払うから!!」


志村「…マジ!?」


北野「ああ。俺の全財産をお前に渡す」


志村「それって何円??」


北野「俺の、全財産だ…お前に託す」


志村「だから、それって何円??」


北野「全財産だ」


志村「だから何円??」


北野「…………………」


志村「何円??」


北野「…………………」


志村「おいコラ」


北野「まあ、金の話は後でするとして…」


志村「しねーよ。今すぐしろ。最低10万円な」


北野「たっか!!絶対無理!!」


志村「じゃあ契約終了で。おつかれした」


北野「わかったわかった!!とりあえず今のこの番組は、3万円で手を打とう!!」


志村「まあ、いーだろう。テキトーなこと言うぞ??」


北野「いや、テキトーなことでは困る。しっかりやってくれ」


志村「お前、失神する分際で何を偉そうに…(笑)」


北野「この本を、本番までに熟読してくれ」


志村「は…??お前これ、あの時のクソ気持ち悪い自慢本じゃん…(笑)」(※4話参照)


北野「自慢本じゃない。自伝だ」


志村「似たようなもんだわ!!こんな吐き気のする本、二度と読みたくねえ!!」


北野「これを最低5周は読んで欲しい」


志村「今から!?1時間で!?正気か!?」


北野「これをしてくれないと、報酬の3万円は得られないぞ??」


志村「なんでちょいちょい上から来るんだよ!!これをやらなくて困るのはテメエだからな!?」


北野「だからマジで頼む!!この本の内容を覚えてくれ!!土下座する!!」


志村「絶対に嫌だ!!俺は帰る!!」


北野「わかった…!!これの内容を覚えて、なおかつインタビューに対応してくれたら、合計5万円あげよう!!」


志村「マジで!?それならやるわ!!」


北野「ちなみに本当に覚えたかどうかは、北野検定1級を取得して証明してもらう」


志村「は??北野検定1級??」


北野「試験用紙は俺がもっている」


志村「常に持ち歩いてんの!?」


北野「じゃあさっさと覚えてくれ。テストするから」


志村「任せろ!!5万円5万円5万円!!」


志村「…てかそもそも、しゃべれないならインタビューなんて引き受けるんじゃねーよ!!」


北野「それとこれとは話が別だ」


志村「どこが!?」


北野「カメラの前だと確かに緊張して失神するが、テレビには出たいし、有名人になりたい!!」


志村「欲張りだなこのクズ!!」


北野「じゃあ、俺はもうすぐ緊張で失神するから。後は頼んだ」


志村「自分が失神するタイミングわかんの!?少しは耐えろよ!!」


北野「ちゃんと俺のスゴイ所カッコイイ所、全部完璧に伝えろよ!?ちゃんと爪痕残せよ!?俺の名前をテレビを見てる奴らに刻みつけt」

志村「うるせええええええんだよ!!さっさと失神しろ!!そして死ね!!」


〜そして、今に至る〜


北野「…………………(失神中)」


アナウンサー「では、質問させていただきます。なぜ北野さんは、ホームレス500人を引き連れて歩かれているんですか??」


志村「違うな」


アナウンサー「え??」


志村「引き連れてるんじゃない。教祖様のカリスマに惹きつけられて、勝手についてきてるんだ」


アナウンサー「あ、そうなんですね…(苦笑) そしたら、いつも何をされてるんですか?」


志村「いつも??日々鍛錬だよ。毎日死ぬ気で努力することこそが、強さを得る第一歩だ。と北野様はおっしゃっていた」


アナウンサー「おー!!なんかカッコイイです!!」


志村「そうだろう。北野様は毎日腕立て3000回、腹筋5000回、スクワット10000回やっている。ちなみにだが、これを怠った日はない」


アナウンサー「本当ですか!?見た感じ、あまりガタイがよくは見えないのですが…(笑)」


志村「今話題の、細マッチョってやつです」


アナウンサー「だいぶ昔の話題のような…」


志村「ちなみに、彼の腹筋は1000個に割れている」


アナウンサー「それはちょっと、普通に気持ち悪いですね!!」


志村「冗談冗談。究極の肉体美ですよ」


アナウンサー「では早速、見せていただけますか??」


志村「え??」


アナウンサー「え??」


志村「え??今ここで??」


アナウンサー「はい。何か問題が??」


志村「…………………」


アナウンサー「………………?」


志村「それは、セクハラだ!!」


アナウンサー「は??」


志村「人を脱がせて、テレビで晒すなんて最低だ!!」


アナウンサー「いや、筋肉を見るだけだろうが!!」


志村「人の裸を堂々とテレビで映すなんて…とんでもない番組だ!!訴えるぞ!?」


アナウンサー「裸って、上半身な!?しかも男性ですよ!?」


志村「関係ない。今の世の中男女平等。誰であろうが裸をテレビに晒すなんて絶対許さない!!人権団体にチクってやる!!裁判にもかけてやる!!」


アナウンサー「いやめんどくさ!!わかった、わかりましたよ!!もうやめますやめます!!」


志村「わかればよろしい」


アナウンサー「なんだコイツ…(ドン引き)」


志村「それで??他にも聞きたいことはありますか??申し訳ないですけどね、こちとら超忙しいんで。やるならさっさと終わらせたいんですわ」


アナウンサー「ウッザ…なんで上から…」


アナウンサー「いやしかしですね、北野さんは本当に素晴らしい経歴をお持ちですね!!」


志村「なんですか??もしかして、彼の自伝を読んだんですか??」


アナウンサー「もちろんです」


志村「5周しましたか??」


アナウンサー「ええ!?いや、それは流石にしてないですけど…(笑)」


志村「信じられませんね…あの神本を、たったの一周しかしていないなんて…」


アナウンサー「いや、あんな(イカれた)本を5周してる方が信じられんわ!!正気か!?」


志村「正気じゃねーわ!!死ぬかと思ったわ!!」


アナウンサー「え??」


志村「え??」


志村「ゴホン…失礼。当然正気です。あんな素晴らしい本を読まないなんてありえない」


アナウンサー「まあその話はどーでもよくて」


志村「よくねえ!!」


アナウンサー「その本の話で、中学時代はエースで4番でキャプテンだったとか、格闘技ではこれまで負けたことがないとかスゴそうなことがいっぱい書いてありますが…」


志村「全部まるっとすべて、嘘偽りない真実です」


アナウンサー「それを証明するために、今回はプロの格闘家の方をこちらに呼んでおきました!!」


北野「ダニィ!?」


アナウンサー「では早速、戦っていただきましょう!!」


プロ「ふう…腕がなるぜ。どこだ?その自称「最強の格闘家」さんはよ(笑)」


志村「あ、あの!!今日はですね、教祖様は腕が痛いと申しております!!」


プロ「腕くらい動かなくても多少はできるだろ」


志村「全身動かないみたいです!!昨日ついうっかり筋トレしすぎちゃって、筋肉痛らしいっす!!」


プロ「筋肉痛くらいどーてことないって」


志村「いーやもう全身打撲!!全身脱臼!!指も一本も動かない状態です!!」


プロ「そんな状態で、よくここまで来たな!?」


志村「いやー、彼の実力を知ってもらいたいのは山々なんですが、この状態じゃあね…」


プロ「とか言って、ホントはただビビってるだけだろ?(笑)」


志村「いいえ。教祖様は最強です。俺が保証します」


プロ「じゃあ証明しろよ。戦え」


志村「だから、今は筋肉痛で戦えないんだって」


プロ「なんだ、やっぱ噓か(笑)」


志村「あ??」


プロ「俺さー、口ばっかの奴、マジ嫌いなんだよね(笑)」


志村「あーそう。上等だよこのクソハゲ野郎」


プロ「どこがクソハゲ!?フサフサやん!!」


志村「まず俺がやってやんよ。あーやってやんよ。かかってこいやゴルァ!!この俺様が相手だ」


プロ「今更だけど、誰なんだお前!?なんでお前が戦うの!?」


志村「俺は、先生の秘書兼一番弟子だ!!この俺様に勝てなければ、まずこのゴミクズチキン野郎には手を出せないと思え!!」


アナウンサー「先生のことをゴミクズチキン野郎とか言っちゃったよこの人!?」


プロ「…まあ、そこまで言うならいいだろう。この俺がボコボコにわからせてやろう」


志村「上等だ!!返り討ちにしてくれるわ!!5万円のためだ!!」


プロ「いや何の話!?」


アナウンサー「なんか、秘書と格闘家の壮絶なバトルが始まってしまいました!!これは間違いなく放送事故です!!どーしましょ!!…って、え?視聴率が過去最高!?引き続き、2人のバトルをお届けします!!」


〜1時間後〜


志村「ゼエ…ゼエ…」


プロ「ハア…ハア…」


志村「やるなテメエ…」


プロ「そういうテメエこそ…」


アナウンサー「ちょっと飽きてきましたね…視聴者からも、「いつ決着つくんだよ。あくしろよ」とか「なにこのヤラセ延長試合」などの批判が殺到しています」


志村・プロ「「いや知らねーよ!!」」


アナウンサー「というわけなんで、早く決着つけてくださいね」


志村「やかましい!!」


志村「…てかお前、俺にこんな苦戦しているようじゃ、到底この北野…様には勝てないぞ!?」


プロ「フン。今に見てろ。すぐに潰してやる」


北野「うーーーーん……あれ??どーなった??」


志村「げ!?!?ちょ、ちょっとタンマ!!」


プロ「はあ??まあいいが…」


志村「おい!!ようやく失神から目覚めたかこのクソバカ!!」


北野「え…??まだ終わってないの??この番組…」


志村「それがよお、厄介なことになって、今このプロの格闘家と戦ってる最中なんだよ」


北野「いや、どういう状況!?」


志村「俺が聞きたいわ!!…そういうことだから、追加手当として、もう5万円よこせ」


北野「無茶を言うな!!」


志村「こんな無茶な依頼をしてるお前が言うな!!」


北野「ま、まあとりあえず、ソイツに勝ってから考えよ。いけ!!志村チュウ!!」


志村「うるせえ殺すぞ!?さっさと財布を出せ!!」


北野「やめろ!!強盗じゃねえか!!」


志村「オラア!!」


バキィ!!


北野「ひでぶ!!」


プロ「なんだなんだ??仲間割れか??」


志村「よし!!ゴミ北野の財布をゲット!!どれどれ…」


チャリーン


志村「…………………」


志村「5円玉!?」


スカッスカッ


志村「おい!!どういうことだ!!財布の中、5円玉1枚しか入ってねえぞ!?」


北野「ああ…お前のせいで…俺は金欠になったんだよ!!お前がいつもいつも、何かある度に高額な金を請求してくるから!!」


志村「お前がゴミみたいな仕事を依頼してくるからだろうが!!嫌なら依頼すんなボケ!!」


北野「うるせえ!!でも待て!!必ず、必ず1か月、いや2か月、やっぱ3、4、8、9か月後には必ず金を渡す!!」


志村「どんだけ幅取るんだよ!!」


北野「だから、俺を信じて戦ってくれ!!」


志村「普通に断る。金のない北野に用はない」


北野「ナチュラルにひでえ!!それでも大親友か!?」


志村「だから、大親友じゃねえ!!じゃあな(笑)」


北野「おい!!俺を見捨てるな!!」


志村「あ、待てよ…??」


北野「うん??」


志村「しょーがねーな。お前のために、戦ってやるよ(笑)」


北野「え!?マジで!?」


志村「ああ。金の亡者に二言はない」


北野「三言も四言もありそう!!」


志村「よし、再開すっか。かかってこいよゴミクズ筋肉ゴリラ野郎(笑)」


北野「よしいけ志村!!ぶっ飛ばせ!!」


プロ「なんだとテメエ!?マジでぶっ殺す!!」


ビュン

バキィ!!


プロ「え??」


アナウンサー「ええ!?」


北野「お、おい志村!!何してんだ!!」


アナウンサー「な、なんと!!ついに決着がつきました!!」


志村「うわーー!!やーらーれーたー!!」


北野「いや棒演技!!おい、アイツ絶対ピンピンしてるぞ!!絶対元気だぞアイツ!!」


志村「というわけなんで、俺はもうここまでだ…」


北野「は??」


志村「北野様、後は頼みます…頑張ってください(笑)」


北野「いや、は??」


プロ「さて、と…これで念願の、北野って奴とやれるわけか…腕がなるぜ…」


志村「じゃ、俺は帰ります。お疲れした(笑)」


北野「おい!!やっぱアイツ、めちゃくちゃ元気じゃねえか!!みんな、アイツを見ろ!!逃がすな連れ戻せ!!」


プロ「さてと、準備はいいか??北野さんよお…随分ボロクソ言ってくれちゃって…(笑)」


北野「いや、俺は何も言ってねえけど!?」


プロ「あの志村とかいう秘書に、あんだけ代弁させといて、そりゃねーんじゃねえの北野さん(笑)」


北野「あ、あのクズ…俺が気絶してる中で、とんでもないこと言いやがったのか…絶対許さん!!」


プロ「覚悟はいいか??」


北野「い、いやちが…」


プロ「問答無用!!八つ裂きにしてくれるわ!!」


北野「ヒイイイイイイイイイイ!!」


おしっこジョボボボボボボ


プロ「うわ!!このゴミ、失禁しやがった!!」


アナウンサー「きったね!!スタジオが汚れた!!清掃係!!」


志村「うわくっさ!!」


プロ「ふざけんなテメエ!!バカにしてんのか!?」


ガシイ


北野「ギャアアアアアこわいいいいいいい!!」


プロ「え??」


北野「オロロロロロロロ!!」


ドバーーン


プロ「……………………」ゲロマミレー


北野「……………………」


プロ「ギャアアアアアアアア!!汚えええええええ!!てかくっっさ!!死ぬ!!オエエエ」


バタンキュー


北野・プロ「「…………………」」


アナウンサー「マジくっさ…」


カメラマン「キッショ…」


志村「こっちまでゲロ吐きそう…」


ディレクター「放送中止!!」


〜完~

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