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「カワイイ」は、超スーパーウルトラ大正義

~バイト先にて~


店長「志村君。ちょっといいかい?」


志村「はい??」


店長「今日から新しく、このファミレスで働くことになった不破ちゃんだ。高校1年生だから、同級生だよね?よろしく頼むよ」


志村「えーと…俺が面倒を見るってことですか??」


店長「そういうこと。ファミレスでの勤務は初めてらしいから、優しく丁寧に教えてあげてね」


志村「はーい…わかりました」


志村「じゃあ、今お客さん少ないから色々説明するわ。こっちに来て」


不破「命令すんな豚野郎」


志村「え??」


不破「なにか??」


志村「幻聴かな??今なんか、スゴイ言葉が聞こえた気が…??」


~休憩室にて~


志村「じゃ、この店で働く上でのルールとかマナーとか色々教えるわ」


不破「さっさとしろよ豚野郎」


志村「うん??さっきからなんか、幻聴が聞こえるな??誰の声だろう??」


不破「うるせーな。トロいんだよさっさと説明しろ」


志村「おかしいな?かわいい顔からは想像できないような罵声が飛んできてるんだけど…これは本当に彼女が言っているのかな??」


不破「早くしろよ。ぶっ殺すぞ??」


志村「マジだ!!マジでコイツが言ってやがる!!なんだコイツ!?」


不破「マジおせえなあ。早く話せよ豚野郎」


志村「なんだテメエ!?それが人にモノを頼む態度か!?ぶっ殺すぞ!?」


不破「え??」


志村「え??」


不破「悪口言われた…」


志村「はあ!?」


不破「店長。ちょっといいですか?」


店長「はい?どうしたの?」


不破「店長。志村さんに悪口言われました…」


志村「いや、お前も散々言ってたからな!?何回も言われたからな!?」


店長「ふざけんなテメエおいコラ志村!!」


志村「いや店長、急に口悪!!」


店長「うちの看板娘によお、何してくれてんだゴルア!!」


志村「いや、コイツ今日来たばっかの新人店員だろうが!!」


店長「彼女は、ここに来た瞬間から看板娘なんだ。なにせ超絶カワイイからね!!」


志村「はあ、そうですか…(呆れ)」


志村「まあでも、せめて注意くらいはしましょうよ。口が悪いのは問題ですよ??」


店長「え??どこが??」


志村「え??」


店長「逆に何を注意するの??」


志村「は??いやだから、口が悪いところ」


店長「口が悪いと、何が問題なの??」


志村「は??いやそりゃ、接客業なんですから、態度とか言葉遣いとかは大問題かと…」


店長「それで??」


志村「それで!?だから、彼女をしっかりと注意した方がいいと思うんです!!」


店長「こんなカワイイ女の子を、注意するとかできるわけないじゃん。君はさっきから、一体何を言っているんだ??」


志村「アンタこそ何を言っているんだ!?正気か!?」


店長「カワイイ子はね、何してもいいんだよ。何しても許されるんだ」


志村「令和の時代に明らかな差別!!クソ店長だ!!」


不破「それは間違いない。ホントこの店長はキモい。死んだ方がいい」


店長「グヘヘヘヘヘヘ…やめてよフワちゃーん(笑) デュフフフフフフ…」


不破「マジでキモい。ガチで死ね」


店長「ありがとうございます!!「死ね」いただきました!!ご馳走様です!!」


志村「うわキッモ!!ガチドMじゃん(笑)」


店長「は??」


志村「え??」


店長「お前今、なんつった??」


志村「え??キモいって言いましたけど…」


店長「店長に向かって、キモいとか言うなんて、どういう神経してんだ!?クビにするぞゴルア!!」


志村「超絶差別!!なんなのコイツ!?」


店長「本当にありえないな。なんなんだこの激キモ従業員は…」


志村「いや、アンタにだけはキモいと言われたくないんですけど!?」


志村「てゆーか俺だけにキレてんじゃねえ!!こっちにもちゃんと怒れ!!」


店長「なんで彼女に怒らなきゃいけないんだ。彼女が何をしたって言うんだ」


志村「俺以上の罵詈雑言を吐いていただろうが!!」


店長「彼女はいいんだよ」


志村「なんでだよ!!」


店長「見ればわかるだろ??」


志村「は??」


店長「彼女はカワイイ。超絶カワイイ」


志村「うん、まあ、容姿は本当に女優クラスですね。容姿だけは(強調)」


店長「つまり、そういうことだ」


志村「どういうことだってばよ!?」


店長「なんでも許されるってことだよ。こんなカワイイくてカワイすぎる子は」


志村「そういうことにはならねえよ!!ふざけんな!!」


不破「ギャーギャーやかましいんですけど。理解しろよバカだな」


志村「ああん!?なんだコイツ!?マジでコイツ、態度おかしいっすよ店長!!」


店長「無視」


志村「おい!!」


不破「そんなことより店長」


店長「はーーーい??♡」


志村「キモ!!」


不破「店長。このバカにさっき「ぶっ殺すぞ!?」って言われたんですけど」


志村「誰がバカだ!!いやバカだけども!!」


店長「は??」


店長「志村君。本当かね??今のは…」


志村「え??」


店長「「ぶっ殺すぞ!?」と言ったのは本当かね??」


志村「それはそうですけど、その前に初対面のこの女がいきなり俺に「死ね」とか「豚野郎」とか言ってきたんですよ!?ひどくないですか!?」


店長「ちょっと待て。「豚野郎」と言われただと!?」


志村「そうですよ!!マジで最低っすよね!?」


店長「ああ。本当に最低のクズ野郎だな…」


志村「ですよね!?ガチクズっすよね!!」


店長「お前だよ。志村」


志村「え??」


店長「最低のクズはお前だ。志村」


志村「いや、なんで!?」


店長「せっかく彼女が「豚野郎」なんて素晴らしい罵声を吐いてくださったのに…」


志村「素晴らしい罵声って何!?ただの悪口だろうが!!」


店長「ハア…これだから常識を知らないゴミは…」


志村「なんだコイツ!?」


店長「「豚野郎」というのは、ドM界隈において非常に価値の高い罵声なんだ」


志村「価値の高い罵声って何!?だから、罵声に価値なんてねえっつーの!!」


店長「ドM界隈の中ではかなりハイレベルな罵倒だ。これを受けられたお前は超ラッキーだ」


志村「いやアンラッキーだわ!!てゆーか、さっきからドM界隈って何!?」


店長「それを受けておきながら、感謝もしないし、喜びもしないなんて…お前、本当に人間か??」


志村「アンタこそ、本当にさっきから何を言ってんの!?」


店長「本当に羨ましいわ…俺も言われたかった!!」


志村「あ、ダメだコイツ。早くなんとかしないと…」


店長「「豚野郎」なんてセリフ、まだ人生で一度も言われたことがない!!いいなあ!!」


志村「一生言われなくていいわ!!」


店長「いいか??「ゴミ」とか「カス」とか「クズ」「死ね」とかがノーマルカードだとすれば、「豚野郎」はスーパーレアカードなんだ!!」


志村「トレーディングカードで例えるな!!」


不破「あのさ、豚店長」


店長「ブヒブヒ!!」


志村「豚店長!?アンタ人権なくなったの!?」


不破「どーでもいいから、さっさとこのゴミクズに制裁を与えてくんね?」


店長「ブヒブヒ!!」


店長「というわけで志村君。君はクビだ」


志村「いやなんで!?納得いくか!!」


店長「女王様、詳細な状況説明をお願いします」


志村「いつの間に主従関係に!?」


不破「だから、私がアドバイスを聞いてたら、いきなり「ぶっ殺すぞ!?」って言わたんだよ」


店長「そう彼女は言っているが??」


志村「いやいやいや!!そもそも彼女から「死ね」とか言ってきたんですよ!?それで「ぶっ殺すぞ!?」って言い返しただけですよ!?」


店長「ヤバいねえ…それは」


志村「ええ!?なんで!?」


店長「彼女は後輩なんだよ??それは明らかなパワハラだねえ…」


志村「どこがやねん!!」


店長「後輩だから、先輩には逆らえないんだよ…これはよくないねえ…」


志村「いや俺も高1だから、同級生だっつーの!!さっきアンタが言ってただろうが!!」


店長「いやもう、先に働いてる時点で先輩だから。絶対逆らえないから」


志村「そんなに厳しい上下関係の職場だったの!?ココ!!」


店長「そりゃそうだよ。だって、目上の人には敬語使ってるじゃん」


志村「そんなもんは常識だろうが!!どの職場でもそうですよ!!」


店長「とりあえず後輩に「死ね」はヤバいね。裁判だねこりゃ…」


志村「噓でしょ!?なら後輩や部下は何を言ってもいいんですか!?」


店長「当たり前だろ??それを優しく受け止めるのが上の役目でしょうが」


志村「あっそう。じゃあそんな店長に一言。」


店長「ん??」


志村「若い女の子大好きのバカキモセクハラクソキモハゲデブジジイ、さっさと死ね」


店長「…………………」


志村「こういうのも許すんですよね??後輩の言うことですもんね??(笑)」


店長「志村君。君はクビだ。今すぐ出ていけ」


志村「全然許されねえじゃん!!」


~裁判所~


志村「また俺、裁判にかけられるの!?」


加藤「頑張れ志村(笑)」


高木「今度こそ逮捕されろ(笑)」


志村「なんでテメエらがいるんだよ!!」


加藤「今日は暇だったから見に来た(笑)」


高木「てかお前、何回訴えられてんだよ(笑)」


志村「知らねーよ!!俺が聞きたいわ!!俺が何したってんだよ!?」


加藤「ま、逮捕されたらたまには面会に行くわ」


志村「されねーわ!!」


高木「あ、俺友人としてインタビューされた時のこと考えとかないと。えーと…「彼はいつかやりそうだと思ってました」的な」


志村「思ってたのかよ!!」


加藤「で、今度は何??また痴漢??」


志村「またって、あの時も違うわ!!」


加藤「で、今度は何??」


高木「パワハラだってさ」


加藤「パワハラ??お前が??」


志村「向こうがいきなり「死ね」って言ってきたから、こっちも反射的に「ぶっ殺すぞ!?」って言っただけ」


加藤「まあ、俺達の会話の大半が「死ね」だからなあ…」


高木「まったく俺らの中では違和感ないが、世間的に見れば確かにヤバいか(笑)」


志村「でも向こうがいきなり「死ね」を連呼してきたんだぞ!?しかも罵詈雑言をプラスしてだぞ!?普通の人間なら耐えられねえわ!!」


加藤「お前、普通の人間じゃねえじゃん(笑)」


高木「確かに。」


志村「ぶっ殺すぞ!?」


加藤「なるほど。この流れで訴えられたわけか」


志村「いやマジでそう。瞬発的に出た」


高木「ま、とりあえず裁判中は抑えることだな」


志村「任せろ。俺はもう勝つ気しかない。俺が弁護士としてコテンパンに言い負かして、あの女を泣かせて土下座させて、慰謝料もふんだくる!!」


加藤「こええよ(笑)」


〜裁判スタート〜


裁判長「ではこれより裁判を始めます。被告人は前へ」


志村「はい」


裁判長「被告人はパワハラをしたとありますが、これに間違いはないですか??」


志村「いいえ。100%間違いですね。そんなことはしておりません」


裁判長「原告は「ぶっ殺すぞ!?」と言われたそうですが、それは間違いありませんか??」


志村「それに関しては間違いないですね。ただ、先に「死ね」を言ってきたのはそっちですけどね!?」


検察官「お嬢様は「記憶にございません」と申しています」


志村「噓ですね。俺ははっきり覚えているんで」


検察官「でも証拠がないんで」


志村「そっちもねえだろ!?」


検察官「たとえあったとしても、こちらは後輩ですよ??後輩である彼女に対して「ぶっ殺すぞ!?」というのはほとんど脅迫ですね」


志村「そんなこと言ったら、こっちは罵詈雑言を浴びせられているので、これは名誉棄損ですね」


検察官「どうやらアナタは、前提から間違えているようだ…」


志村「は??」


検察官「お嬢様のような超絶カワイイ完璧美少女からの罵詈雑言。これは「ご褒美」と言う」


志村「は??」


加藤・高木「「え??」」


志村「えーと、ちょっと何を言っているのか…」


検察官「つまり君は、お嬢様から「ご褒美」をもらったのだ。それに対して貴様は何故かブチギレて、「ぶっ殺すぞ!?」などと言った。これは万死に値する」


志村「何故か!?わかるだろ!?ムカついたからだよ!!」


検察官「は??こんなに超絶可愛くて完璧なお嬢様に罵られて、喜んでいない男がいるだと…??」


志村「いるわ!!普通にいっぱいいるわ!!男をなんだと思ってんだコイツ!?」


不破「そうなのよ。あの男おかしいのよ」


志村「おかしいのはテメエらだ!!ねえ裁判長!?」


裁判長「君が全部悪いな。志村君は有罪」


志村「なんでだよ!?」


裁判長「こんなカワイイ子に罵詈雑言のご褒美をもらったというのに、何を考えているんだ君は??」


志村「おいアンタもかよ!?もう別の裁判長に代わってくれ!!」


検察官「困ったな…ここまで頭がおかしいと、会話も大変だ…」


志村「おかしいのはアンタらなんだよ!!」


裁判長「とりあえず判定は死刑かな」


検察官「それでいいと思います」


志村「待て待て待て!!軽すぎるだろ!?そんなノリで死刑にされてたまるか!!」


加藤「俺も死刑でいいと思う」


志村「外野は黙ってろ!!」


「「「死っ刑!!死っ刑!!死っ刑!!死っ刑フォーーーー!!」」」


志村「いや、なんかライブのコールみたいになってる!!こえーよ!!」


裁判長「では賛成多数で、死刑に決定で」


志村「ちょっと待て待て待て!!いいわけねえだろ!?」


裁判長「何か問題が??」


志村「問題しかねえわ!!」


不破「いいからさっさと死ねよこの豚野郎」


志村「おいおいおい!!聞いたか今の!?おかしいだろこれは!!コイツこそ死刑だ!!」


検察官「ああ…羨ましい…」


志村「は??」


検察官「フワ女王様に、豚野郎と罵倒してもらえるなんて…なんて羨ましい…」


志村「何を言ってんのコイツはさっきから!?」


検察官「ハアハア…俺も豚とか死ねとか言われたい…」


志村「どうぞどうぞ!!是非とも言われてください俺の代わりに!!」


検察官「バカか君は。ご褒美をそう簡単にもらえたら、嬉しさが半減してしまうだろう。たまにもらえるからこそ、ご褒美には価値がある」


志村「言ってることはマトモだけど、そもそも罵倒がご褒美じゃねえんだよ!!」


不破「しつけえしなげえんだよクソ豚どもが。死刑でも何でもいいからさっさとしろや」


裁判長・検察官・裁判官(♂)「「「はいいいいいい!!!」」」


裁判長「もっとください!!」


検察官「もっともっと!!」


不破「きっしょ。気安く話しかけんな」


裁判長「もっとお願いします!!」


検察官「もっと罵倒お願いします!!」


不破「マジで◯ね。さっさとしろ豚野郎ども」


裁判長・検察官・裁判官(♂)「「「うひょおおおおおおお!!!」」」


バタンキュー


志村「いや、なんか裁判官が全員倒れた!?」


裁判官(♀)「どうやみなさん、興奮しすぎて倒れてしまったようですね…」


志村「もう裁判官今すぐやめろコイツら!!」


裁判官(♀)「では、一旦中止して、彼らの興奮が冷めた1週間後に再開しましょう」


志村「こんなクソ裁判、もう一生やらんでいいわ!!」


〜完〜

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