自伝とかよく売ってるけど、買う奴いんの? その2
~1週間後~
杉本「北野君!!本が完成したでござる!!」
森田「マジで!?もうできたの!?」
杉本「そうでござる。タイトルもそのままでござる」
森田「そこは変えてもよかったのに…」
杉本「全国の書店で、絶賛販売中でござる!!」
森田「なんてことを!!」
北野「よくやったぜ杉本!!流石は親友だ!!」
森田「絶対、大量に売れ残るって…」
北野「いーや。ベストセラーは間違いない」
森田「だから、ベストセラーナメんな!!」
北野「さてと、早速だが…」
森田「??」
北野「サイン会を開こう!!」
森田「はああ!?」
北野「俺は本を全国に出したんだ。つまり、超有名作家の仲間入りという訳だ!!そんな俺のサインが欲しい奴らが山程いるはずに違いない!!」
森田「それは、ちゃんと本が売れてからやれ!!無名作家がイキるな!!」
北野「おいおい。口の利き方に気をつけろ」
森田「…は??」
北野「この俺様は、全国に本を出している超有名作家様だぞ??一般庶民が気安く俺にツッコミを入れてくるんじゃない(ドヤ顔)」
森田「杉本君のおかげで本を出版してもらっただけだろうが!!」
北野「さて杉本よ。早速サイン会の準備だ」
杉本「北野大先生!!了解でござる!!」
森田「ハア…もう付き合ってられん…」
北野「第1秘書の森田。お前も来るんだ」
森田「作家に秘書いらねーだろ!!」
杉本「えー、それでは皆様。これより奇跡のベストセラー大作家、北野様のサイン会をこれより始めるでござる。サインが欲しい方は、是非こちらにお並びくださいでござる」
北野「いやーどーもどーも。ベストセラー大作家の北野です」
森田「マジで恥ずかしい…一瞬でも早くここから去りたい…」
北野「ほらほら第1秘書の森田君。君も人を集めたまえ」
森田「絶対嫌だ!!死んでも嫌だ!!」
「え??何あれ…」
「なんかやってる…」
「こわ…近寄らんとこ…」
森田「案の定、ドン引きされてるじゃん…」
北野「どいつもこいつも、ベストセラー作家の価値がわかっていないバカばっかりだな」
森田「だ、か、ら!!お前はまだベストセラー作家じゃねえだろうが!!」
~1時間後~
森田「…………………」
杉本「…………………」
北野「…………………」
森田「あのさ、もうやめない??(笑)」
北野「おかしい…なぜ誰も来ないんだ…」
森田「来るわけねえだろ!!だって本が売れてねんだから!!」
北野「俺は超有名人だぞ!?そんな俺のサインがいらないなんて…」
森田「だから、まだ有名じゃねえんだよ!!売れてから有名になるんだよ!!」
北野「まあみんなあれだな、俺がすごすぎて嫉妬してんだな。」
森田「超ポジティブ!!てか話を聞け!!」
加藤「よお。何してんだお前ら」
森田「あ、加藤君に高木君に志村君。」
高木「何してんのこれ??」
志村「サイン会??誰の??」
森田「北野君が本を出版して、そのサイン会をやってる(笑)」
加藤「は??北野のサイン会??(笑)」
高木「お前のサインなんていらねーよ(笑)」
北野「ああん!?俺は大ベストセラー作家だぞ!?」
志村「え!?マジで!?」
森田「いや全然違うけど(笑)」
高木「なんだコイツ!?」
加藤「相変わらず噓ばっかだな(笑)」
志村「どうせゴミみたいな本だろ(笑) ちょっと読んでやるよ」
加藤「俺も。なんか面白そうだから読も」
北野「読め読め。絶対感動するから」
加藤「…………………」
高木「…………………」
森田「…………………」
北野「ワクワク」
加藤「…なんか、読んでてイライラしてきた」
高木「それな。自慢ばっかのクソ本やん」
北野「なんてこと言うんだ!!俺の全人生を描いた本だぞ!?」
加藤「でも、全部噓だろ??(笑)」
高木「それな。100%フィクションだろ(笑)」
北野「そんなわけあるか!!」
森田「そんなわけあるわ!!てか同じこと言われてるじゃん!!(笑)」
高木「森田もこんなバカに付き合わされて大変だな(笑)」
森田「いやホントそれだよ(笑) マジでまいっちゃう(笑)」
加藤・高木・森田「「「あはははははは!!」」」
北野「テメエら…この俺様をバカにしやがって…!!」
志村「…………………」
加藤「なあ志村。お前もそう思うだろ??(笑)」
志村「…………………」
高木「志村??どーした??」
志村「感動した…」
加藤「は??」
高木「なんだって??」
志村「マジで感動した…この本…」
加藤「えっと…感動したって言った??」
志村「うん。マジで涙出そう」
高木「正気か??お前(笑)」
志村「ああ…この200球投げて肩壊して、超名門高校への入学を諦めることになったって…本当に可哀想だ…北野、マジでつらかったんだな!!」
北野「志村!!流石は大親友だ!!わかってくれるか!!」
志村「当たり前よ!!しかもお前が、空手10段柔道10段テコンドー10段でプロボクサーのライセンスも持ってるなんて…めちゃくちゃスゲエじゃん!!北野が、ここまですごい奴だとは思ってなかった!!今までバカにしててマジでゴメン!!」
北野「志村…わかってくれるのは大親友のお前だけだ!!」
加藤「この世に、こんなバカみたいな噓を信じる奴がいるなんてな…」
高木「アイツが、ここまでドバカだったなんて…」
森田「えっと…志村君、マジで信じてるの??(笑)」
加藤「ああ…恥ずかしながらそうだ…」
高木「アイツも頭ぶっ飛んでるからな…」
加藤「おい。いい加減気づけ。それはどう考えても噓だ」
高木「1回読んだだけで、大体わかるだろうが(笑)」
志村「え!?マジで!?」
北野「違う!!断じて違う!!」
志村「テメエ、俺を騙したのか…??」
北野「いや待て待て!!大親友の俺より、コイツらのことを信じるのか!?」
志村「当たり前だろ。それにお前は大親友じゃない」
北野「信じろ!!俺はこれまでの人生で噓をついたことがない!!」
森田「その発言をする奴で、噓つきじゃない人を見たことがない!!」
志村「お前ほど信じるに値しない奴も珍しい…」
高木「いや。いーんじゃない?志村。北野を信じても(笑)」
志村「え??」
加藤「そうそう。ひょっとしたら本当に10段かもよ(笑)」
北野「お、お前ら…信じてくれるか!!」
加藤「だから、今ここで試してみればいいんだよ(笑)」
高木「そうそう。志村がボコボコにしてさ(笑)」
志村「なるほど!!本当に10段なら、俺が勝てるわけねえもんな。よし覚悟しろ!!」
北野「え、ちょ、そんなジャイアンみたいな…」
志村「オラアアアアアア!!死ねええええええええ!!」
北野「いや、ちょ、そんな全力d」
ドカバキボカスカ
北野「ギャアアアアアアアアアア!!」
北野「チーーーーン…」
志村「なんだ。ゲロクソ弱いじゃん。やっぱり噓か」
加藤「だろうな(笑)」
志村「一瞬でも信じた俺がバカだったぜ」
高木「それはホントにそう。マジでバカ(笑)」
志村「うっせえ!!」
森田「…………………」
杉本「…………………」
森田「あの、大丈夫??(笑)」
北野「畜生…俺は今、怪我してるって言うのによ…」
森田「え??そんなこと言ってたっけ!?」
北野「今、手と足を痛めてんだ…それが無ければ、あんな奴ら秒殺できたのに…俺が10段だと、一瞬で認めさせることができたのに…クソ!!」
森田「北野君さ、もう俳優でも目指したら??演技だけは上手いから(笑)」
~1週間後~
杉本「大変でござる!!北野君!!」
北野「ん??どーした杉本」
杉本「北野君の自伝が…」
森田「あ、大赤字??(笑)」
杉本「ば、爆売れしてるでござる!!」
北野「え??」
森田「え??」
杉本「だから、全国各地で爆売れしてるでござる!!売り切れ続出でござる!!」
北野・森田「「えええええええええええ!?!?」」
北野「え??マジで大ベストセラー作家になったの!?俺!!」
杉本「そうでござる!!スゴイでござる!!」
森田「どうなってんだ…??この世の中…」
北野「ヒャッハー!!これで俺は大金持ちだ!!」
杉本「最高でござる!!パーリナイでござる!!」
北野「よっしゃあ!!もっともっと増刷しろ!!目指せ100万部!!」
~さらに1週間後~
杉本「北野君…報告でござる…」
北野「どうした!?100万部超えたか!?」
杉本「それが、先週から売上がガタンと落ちて、超絶売れ残ってるでござる…」
北野「ダニィ!?」
森田「原因は??」
杉本「おそらく、レビューのせいだと思うでござる…」
北野「レビュー??」
杉本「ネットや通販での、北野君の本の感想・レビューが悲惨でござった。5点満点中、マイナス
1.5点でござる…」
森田「マイナス1.5点!?見たことねえぞ!?」
北野「てかどうやったらそうなる!?」
杉本「おそらくクレームが入りまくったでござる…「レビューを0点以下にしないと会社を爆破するぞ」という趣旨の電話が何件も来たでござる…」
森田「普通にめちゃくちゃ脅迫じゃん!!警察警察!!」
杉本「でも、うちの従業員も納得したみたいで…OKしたらしいでござる(笑)」
森田「納得したんかい!!でもまあそうだよね!!」
杉本「しかも、なんならクレーマーと仲良くなったそうでござる。「あの本ゴミなんですけど!!」「マジそうですよね!!あんなゴミを世に放ってしまってすいません(笑)」「いやいやわかってくださればいーんすよ(笑) 焚火に使いました(笑)」みたいな…」
森田「最悪のコミュニケーション!!でも納得!!」
北野「なんでだよ!!なんで、俺の本の素晴らしさがわからねえんだ!!」
森田「わかるか!!ただの自慢本じゃねえか!!しかも全部噓だし!!」
杉本「で、そのせいで売上がまったく伸びなかったでござるな…」
北野「まったく…嫉妬に狂う非リアの雑魚どもには困ったもんだぜ…(笑)」
森田「よくそんなことが言えるな!!一応買ってくれたんだぞ!?君のゴミ本を!!」
杉本「だから、北野君の本の売上は、実質0でござる…」
北野「え…??」
杉本「北野君の受け取れるお金は、原価を差し引いて0でござる…」
北野「はああああああああああ!?ふざけんな!!」
森田「いや全然マシだから!!大赤字にならなかっただけマシ!!」
~完~