春休み、バカどもと旅したってロクなことない
加藤「せっかくの春休みだし、俺達3人でどっか出かけようぜ」
高木「そうだな」
志村「でもどこ行く?」
高木「温泉とか??(笑)」
志村「オッサンか!!」
高木「バカお前。今は若い奴でも温泉行くんだよ。実際日々の部活で疲れてるしね」
志村「まあ、そうだけどよ…(笑)」
加藤「しかし、男3人で温泉っていうのもどうなんだ…??(笑)」
高木「あら残念。ちょうど草津温泉の1泊2日の無料券が3人分あったんだけど」
加藤・志村「「行く行く行く行く行く行く!!」」
高木「切り替えはや!!」
~旅行当日~
志村「なんだよ。交通費は出ねえのかよ…」
高木「文句言うんじゃねえ。無料で泊まれるだけありがたいと思いやがれ」
加藤「よくそんなもん手に入ったな」
高木「うちの親父とお袋の分も取ってたんだけど、行けなくなったからな」
加藤「なるほど」
志村「後で請求されても、絶対払わんぞ!?」
高木「しねえわ!!お前じゃねえんだから(笑)」
加藤「確かに(笑)」
〜移動中〜
高木「よし、着いたみたいだ」
加藤「…ってここどこだ??」
高木「え??草津温泉じゃねーの??」
加藤「なんか、ドブ川が流れてるぞ…??」
志村「草津温泉のクリーンなイメージとは離れた場所だな…」
高木「あ、降りる場所間違えた。臭津温泉前だった(笑)」
加藤・志村「「まぎらわし!!」」
加藤「なんだその名前!?」
志村「なんか臭そう!!」
高木「実際、なんかめっちゃ臭いな(笑)」
??「よく来たな君達!!ここが草津名物「激臭温泉」だ!!」(※そんなものはありません)
加藤「なんだそれ!?」
高木「聞いたことねえぞ!?」
志村「てか誰だアンタ!?」
??「よくぞ聞いてくれた。ワシはこの激臭温泉の案内人「超激 臭太」だ」
加藤「相変わらずひでえ名前…」
高木「で、なんなのここ??」
超激「ここは激臭温泉。悶絶するほど臭く汚く、誰も近寄らない場所として忌み嫌われてきた…」
加藤「じゃあ名物でもなんでもねえじゃん!!」
超激「ここ数年、誰も足を踏み入れていない…」
高木「ダメじゃん!!さっさと店を畳め!!」
志村「こんな臭くて汚い場所、そりゃ誰も来ねえわ!!」
超激「いやー、体には良いはずなんだけどなあ…」
加藤「こんな臭くて汚い温泉が、体に良いわけないだろうが!!」
超激「いやいや。汚い・臭い物に普段から触れている方が、体は免疫がつき、細胞もより強くたくましくなるのだ!!」(※限度があります)
志村「そういうもんかね??」
超激「いいか??子供の頃から泥まみれになって遊んでいた方が、しっかりと菌に対する耐性や免疫がつくため、病気にもなりにくいと言われている」
加藤「まあ、一理なくもないけど…」
高木「それでも嫌だわ(笑)」
志村「諦めて、さっさと店を閉めろ(笑)」
超激「そんなこと言わずに!!一回入ってみてよ!!お願いしますだ!!」
加藤・高木・志村「「「絶対嫌だ!!!」」」
超激「入っているところをブログに投稿すれば、きっと他の人も興味を示すはずだ!!」
加藤「そんなに世の中甘くねえわ!!」
高木「商売ナメんな!!」
超激「…わかった!!それなら1000円払う!!是非この温泉に入ってくれ!!」
加藤「絶対嫌だわ!!誰がこんなドブ温泉n」
志村「入る入る入る入る入る!!」
加藤・高木「「おい!!」」
超激「そーかそーか!!入ってくれるか!!」
加藤「正気か!?お前!!」
高木「絶対に、ニオイ取れねえぞ!?」
志村「いーや。草津温泉に5時間くらい入ってれば、きっとドブのニオイも取れる!!」
高木「草津温泉、いい迷惑!!」
志村「それに、たかだか温泉に入るだけで金もらえるんだぞ!?こんないい手はない!!」
加藤「他人のフリしよ…」
高木「俺達、先に草津温泉向かってるぞ??」
志村「おい!!正気かお前ら!?」
加藤・高木「「お前が言うな!!」」
超激「じゃあ志村さん。アナタだけでも入っていただいて…」
志村「だが、その前に条件がある」
超激「え??」
志村「もらう金額は1000円じゃない。5000円なら考えよう!!」
加藤「流石は金の亡者!!」
高木「やることがえげつない!!」
超激「ええ…??」
志村「こんな汚いドブ温泉に俺を入れるんだ。それなりの対価は払ってもらう(笑)」
超激「畜生…わかりました。5000円でお願いします!!」
志村「よし考えよう!!そして考えた結果、やはり1万円に値上げすることにした!!」
加藤「クズ中のクズ!!」
高木「人間の最底辺!!」
超激「か弱いお年寄りをいじめて何が楽しいんだ!!」
志村「そのお年寄りが、貧乏な学生を金にモノを言わせてドブ温泉に入れようとしてんじゃねえ!!」
超激「グヌヌヌヌヌヌ…」
加藤「まあ、それはその通り(笑)」
超激「わかった…なら1万円にしよう…」
志村「だけど、やっぱ考えて2万円にしy」
超激「あ、ならもう入らなくて結構です♨」
志村「噓です噓!!入ります入らせていただきます!!」
~志村準備中…~
志村「よし、入るぞ…」
加藤「既にマジで臭い…」
高木「吐きそう…オエエ」
超激「どうぞ。いつでもOKです」
志村「いくぞ…」
チャプン…
志村「きたな!!そしてくっさあああああああ!!オエエエエエエ!!」
加藤「吐いた!?温泉で吐いた!?」
高木「いいのか!?あんな粗相して!?」
超激「いいんです。このドブ温泉は、本来のドブに加えて、皆さんのゲロなどの汚物でできていますから。さらに汚さが上がっただけです」
加藤「そりゃ人気出ねえわ!!」
高木「早く潰れろこんな店!!」
志村「くっさ!!マジできたな!!オエエエエエエ!!」
加藤「もう見てられんな…」
高木「志村…お元気で…」
志村「あ、でも、なんか慣れてきたわ」
加藤・高木「「適応力ヤッバ!!」」
超激「ありがとうございましたー」
志村「フウ。これで1万円ゲットだぜ」
加藤「あ、ひゃあ俺達はこへで…」鼻つまみ
高木「まひゃ温泉へ会おう…」鼻つまみ
志村「いやいや!!何言ってんだよ!!一緒に行こうぜ!?」
加藤「死んでも嫌だ…」
高木「修学旅行の二の舞は勘弁してくれ…」
志村「あ、でもそうか。お前らはここからバスで行くのか。じゃ、俺は金を浮かせるために歩いていくわ。また後でな」
ダダダダダダダダダダダダ
加藤・高木「「助かったーー。」」
加藤「どちらにせよ、あのニオイじゃバス乗れねえけどな(笑)」
高木「それな。絶対降ろされる(笑)」
LINE加藤「じゃあ、温泉の中で集合で。絶対に温泉入る前に部屋に入ってくるな。あと絶対に替えの服を着る事。さっき着てた服は捨てろ」
LINE高木「あとマジで臭いから、絶対に湯船につかる前に死ぬほど体を洗え。周りの人達に死ぬほど迷惑がかかる。そして着てた服は捨てろ」
志村「ハイハイわかってるって…まったくやかましい奴らだ。近頃の若者はこれだから…」
ヒュポ
志村「うん??追加でメッセージが来た」
LINE加藤「テメエも近頃の若者だろうが!!」
志村「なにコイツ!?盗聴でもしてんの!?」
~温泉にて~
志村「フイイイイイイ…気持ちいい!!これが本物の温泉だ!!最高!!」
志村「しかしアイツらの姿が見えないな…アイツら、俺を避けてやがるな??本当に、友情の欠片も見当たらないクズ共だ!!」
志村「ハアアアアアア…しかし気持ちいいな…日々の疲れが消し飛ぶぜ…(笑)」
志村「…………………」
ジジイ「…………………」ススス…
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村(なんかこの隣のジジイ、距離が近いな…(笑) 気のせいか??)
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村(ちょっと、移動しよ。あっちの方に行こう)
スイーーーー
志村「フウ…落ち着くぜ…」
スイーーーー
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村(なんかついてきた!?はああ!?なにこのジジイ!?怖!!)
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
スイーーーー
スイーーーー
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
スイーーーー
スイーーーー
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村「あの、なんですか??」
ジジイ「はい??」
志村「なんでついてくるんですか??」
ジジイ「えっと…何の話ですじゃ??」
志村「とぼけるんじゃねえ!!さっきからずっと俺に付きまとってるだろうが!!」
ジジイ「ちょっと何言ってるのかさっぱりですじゃ…ワシはただ、こっちに座った方が景色が良くて落ち着くってだけですじゃ」
志村「この温泉、室内なんだけど!?どこでも景色変わらんわ!!」
ジジイ「いやいや。座る場所によって落ち着きは変わるんですじゃ」
志村「じゃあわかった。アンタはずっとここにいろ。わかったな??」
ジジイ「その時々で気分は変わるんですじゃ。だから移動するですじゃ」
志村「そのしゃべり方やめろ!!めちゃくちゃ腹立つ!!」
ジジイ「仕方ないですじゃ。昔からこうですじゃ」
志村「もうわかった!!わかったからついてくんな!!」
ジジイ「ついて行ってるつもりはないですじゃ」
志村「ウッゼー!!」
スイーーーー
スイーーーー
志村「言ったそばから来るなよ!!」
ジジイ「そっちの方が景色が良さそうですじゃ」
志村「キモすぎる!!もういい!!露天風呂に行く!!」
ガララララ
志村「まったく。本当にムカつくジジイだ…」
ジジイ「そんな悪口言わんでくれですじゃ」
志村「うわあああああ!!いつの間に隣に!?」
ジジイ「お主は隙だらけですじゃ」
志村「温泉なんて、誰でも隙だらけだろうが!!」
ジジイ「まあまあ。ワシのことは気にせずゆっくりするですじゃ」
志村「できねーよ!!気になってしょうがねえわ!!」
ジジイ「何が気になるんですじゃ??」
志村「すぐ隣に誰かがずっといたら気になるだろ!?」
ジジイ「別に?ですじゃ」
志村「もういい!!変人には常識が通じねえ!!」
志村(よし。サウナだ!!サウナに行こう!!)
ガララララ
志村「よし。サウナなら、ジジイじゃ長くは耐えられないだろう。安心だ…」
ジジイ「世間の若者は、ジジイをナメすぎですじゃ。ワシらはまだまだ若いもんには負けないですじゃ」
志村「ギャアアアアアアアアア!!」
ジジイ「騒ぎすぎですじゃ。静かにするですじゃ」
志村「いつ入ってきたんだよ!?」
ジジイ「今さっきですじゃ」
志村「あ、そう…」
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
スススススス…(移動する音)
スススススス…
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
スススススス…
スススススス…
志村「だから、なんでついてくるんだよ!!サウナこそ、どこでも景色変わらねえだろ!?」
ジジイ「あそこ、めっちゃ暑かったですじゃ。だから移動したですじゃ」
志村「あっそう!!じゃあそこにいろ!!」
スススススス…
スススススス…
志村「…………………」
ジジイ「…………………」
志村「だから何でくんだよ!!」
ジジイ「あそこも暑かったですじゃ。だからこっち来たですじゃ」
スススススス…
スススススス…
志村「ついてくるな!!気持ち悪いんだよ!!」
ジジイ「ワシの行きたい方向に君がいるだけですじゃ」
志村「そんなわけあるか!!どこにいても暑さなんて変わらねえよ!!」
ジジイ「いいや。暑さは違うですじゃ。こっちの方が涼しいですじゃ」
志村「変わんねえわ!!マジでこっちくんな!!」
ジジイ「追いかけてるつもりはないですじゃ」
志村「あーもういい!!埒が明かん!!勝手にしろ!!」
志村(こうなったら、このジジイと暑さ我慢勝負だ!!コイツが耐え切れなくなるまでこのサウナにいれば、結果的に俺はコイツと離れられる!!)
志村(しかも、もしこのジジイがこのサウナで力尽きれば、俺はこの巨大温泉で、初めて自由になれるんだ!!よし、ジジイが倒れるまでここで粘ってやる!!)
~5分後~
志村「やるじゃねえかジジイ…」
ジジイ「うん??何がですじゃ??」
志村「イライライライライラ」
~10分後~
志村「フヌヌヌヌヌヌ…」
ジジイ「若いの。そろそろ出た方がいいですじゃ。倒れてしまいますぞ」
志村「やかましい!!出たければテメエがさっさと出ろ!!」
ジジイ「ワシはまだまだ余裕ですじゃ」
志村「イライライライライラ」
~15分後~
志村「グヌヌヌヌヌヌ…」
ジジイ「若いの。顔色が悪いですじゃ」
志村「うるせえええええ!!もう無理いいいいいい!!出る!!」
バタン!!
志村「ゼエ…ゼエ…ハア…ハア…水風呂だ水風呂!!」
ドボン!!
志村「ギャアアアアアアアアア!!つめた!!」
志村「…だけど、水風呂超気持ちいいいいいい!!最高!!」
ジジイ「ホントですじゃー、生き返るですじゃー」
志村「ヒイイイイイイ!!いつの間に!?まだサウナ余裕だったんだろ!?」
ジジイ「いや??流石にこの老体に、あれ以上の暑さは無理ですじゃ」
志村「ついてくんなっつってんだろーが!!クソキモジジイ!!」
ジジイ「だから、そんなつもりはないですじゃ」
志村(だが水風呂に入ればこっちのもんだ!!俺は水風呂1時間でも耐えられる男だ!!いくら超人ジジイでも、これは流石についてこれまい!!ジジイなんて全員寒がりだからな。所詮若者とは体温のレベルが違うのだよ!!ギャハハハハハハ!!)
~30分後~
志村「…………………」ガクガクブルブル
ジジイ「…………………」
志村「…………………」ガクガクブルブル
ジジイ「…………………」
志村「お、おいジジイ…そろそろ出たいだろ??」
ジジイ「なんの話ですじゃ??」
志村「つ、つ、つつつ冷たいだろ!?早く出ていいぞ!?」
ジジイ「まだまだいけるですじゃ。冷たいのは好きですじゃ」
志村「ああああああそそそそそうかいいいいいい」ガクガクブルブル
ジジイ「大丈夫ですじゃ??震えてるですじゃ」
志村「ナメんじゃねーよクソジジイ…ぜってえ負けねえから…」
志村(水風呂勝負だけは、絶対に負けるわけにはいかねえ!!若者代表として!!)
(※絶対にマネしないでください)
~1時間後~
志村「あああああああしぬううううううう」ガクガクブルブル
ジジイ「大丈夫ですじゃ??顔色が悪いですじゃ」
志村「うううううううるせえええええええ…」ガクガクブルブル
ジジイ「そろそろ上がった方がいいですじゃ」
志村「おおおおおお前にはままままけねえええええ…」ガクガクブルブル
ジジイ「大丈夫ですじゃ??」
志村「…………………」ブクブクブクブク
ジジイ「しっかりするですじゃ!!」
~2時間後~
志村「は!?!?」
志村「あれ…ここは…??」
清掃員「あ、気がつかれましたか??」
志村「あ、どうも…アナタは、お風呂の清掃員??」
清掃員「はい。アナタは1時間程、こちらで横になっていましたよ」
志村「あ、すいません…アナタが運んでくれたんですか??」
清掃員「いいえ??ご老人が倒れたアナタを担いで、こちらに運びましたよ」
志村「!?!?!?え、もしかして、あのジジイ!?」
清掃員「え??お知り合いなんですか!?」
志村「お尻!?俺、お尻に何かされましたか!?襲われましたか!?」
清掃員「はあ??何を言ってるのかわかりませんが、そのご老人は、アナタを運んだらすぐにお風呂を出て、去っていきましたよ??」
志村「ええ!?ホントですか!?」
清掃員「ええ。名乗るわけでもなく去っていきました。素晴らしいご老人ですね」
志村「は、はあ…」
志村「まさか、ホモジジイじゃなかったなんて…結局何がしたかったんだ??(笑)」
~完~