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自伝とかよく売ってるけど、買う奴いんの? その1

~放課後~


森田「あれ?北野君?」


北野「おう。森田」


森田「教室に残って何してんの??」


北野「ちょっとな。書かなきゃいけないものがあってな…(笑)」


森田「へー。一体何を書いてんの?」


北野「聞いて驚くなよ…?俺は、自伝を出す!!」


森田「は??自伝??」


北野「そうだ。俺の伝説を世に残そうと思ってな…」


森田「いや、伝説って…君はまだ何も成し遂げてないでしょ(笑)」


北野「は?本気で言ってんのかお前…」


森田「いや、それはこっちのセリフなんだけど!?」


(※ここから数行は読まなくていいです)


北野「お前、もう忘れたのか??俺は中学時代に強豪中学でキャプテンでエースで4番だったんだ。でも最後の試合で200球投げて肩を壊してしまい、推薦されてた超名門の高校にも行けなくなって、高校野球の夢を諦めることになったんだぞ!?」


北野「そこから別の道に進むことを余儀なくされて、武道やボクシングなどの格闘技に必死で打ち込んだ。悔しさをバネにして、全力で取り組んだんだ!!そして、空手10段、柔道10段、テコンドー10段、さらにプロボクサーのライセンスを取得した。こんなスゴすぎてヤバい経歴を持つ俺が、自伝を出さないで誰が出す!?」


森田「ハイハイ。妄想話はもういいから。全部噓なのわかってるから」


北野「はあ!?証拠はあんのか!?」


森田「え??」


北野「俺の話が噓だっていう証拠はあんのか!?」


森田「じゃあ、君の話がホントだっていう証拠はあるの??」


北野「…………………」


森田「…………………」


北野「ま、まあ、今そんなこと急に言われても…すぐに見せられる物じゃないからさ…」


森田「なんで!?僕に中学時代の写真を見せるとか、なんなら今ここで格闘技の技を見せてくれるとかでいいいんだけど…(笑)」


北野「いや、今は両手両足を怪我してるから…」


森田「なんで今、普通に歩けてんの!?」


北野「ま、まあ、その話はいったん置いといて…」


森田「あ、逃げた(笑) 口喧嘩弱すぎでしょ(笑)」


北野「と、とりあえず!!こんなすごい俺が自伝を出さなくてどーする!ってことなのよ」


森田「まあ確かに、ここまで堂々と噓をつけるのは能力かもね…(笑)」


杉本「間違いないでござる!!北野君こそ、自伝を世に出すべき人でござる!!」


森田「うわ、また出たよこのやり取り…」


北野「そうだろうそうだろう。俺よりスゴイ経歴を持つ人間なんて、そうそういないからな」


森田「普通の高校生が何言ってんだか…いや、それじゃ普通の高校生に失礼か(笑)」


北野「…ということで早速書いてみたんだ。読んでみてくれ」


森田「ハア…時間の無駄だな…」


杉本「任せるでござる!!」


森田「タイトル「俺はなぜすごいのか??」」


杉本「…………………」


森田「…………………」


北野「ワクワク」


パタン


森田「ごめん。タイトルで読む気なくなった(笑)」


北野「なんでだよ!?」


森田「いやキモすぎだろ!!何だこのタイトル!?」


北野「まずはタイトルで引き込まねえと!!誰も読んでくれねえだろ!?だからこうやって目立つタイトルにしたんだよ!!」


森田「引き込まれねえわ!!むしろドン引くわ!!」


北野「まあまあ。とりあえず中を読んでみろって。中身にも自信ありだ!!」


森田「あ、そう…とりあえずその気持ち悪い本、もう読みたくも触りたくもない(笑)」


北野「おい!!なんてこと言うんだ!!」


森田「だから、もし僕達に読ませたかったら、読み聞かせしてもらえる?(笑)」


北野「しょーがねーな…読んでやるよ」


森田「マジで!?どんだけ読ませたいんだよ!!」


北野「まず導入だ。「なぜこの俺、北野はここまで才能に溢れ、最強の人間となれたのか?」」


森田「うわキッツ…」


森田「あのさ、これ自分で書いてて恥ずかしくなかったの?(笑)」


北野「いいや?何を恥ずかしがるんだ?事実を書いただけだからな」


森田「噓つくな!!100%フィクションだろうが!!」


北野「続けるぞ。「この俺北野は、バレンタインチョコは毎年200個、告白された人数300人、陽キャの友人の数は1000人を超えている」」


森田「マジで聞くに堪えない…気持ち悪すぎる…」


北野「「これまでいた彼女の人数はもはや覚えていない…俺は過去を振り返らない男なのさ…」」


森田「ついさっきまでめちゃくちゃ振り返ってたじゃねえか!!」


杉本「スゴイでござる!!流石は北野君!!」


北野「ふっふっふ。そうだろうそうだろう。」


北野「「北野直伝、モテる秘訣とは。平常心でいることが大事ですね。付き合いたいとか、変にやましい気持ちを持ってるから、いつもの自分、素の自分を出すことができる。俺みたいにいつも通り友達としゃべるみたいにいけば全然余裕。マジで。これこそがモテる男の鉄則ってやつ(ドヤ顔)」」


森田「最後の(ドヤ顔)いるか!?本の中でもムカつくわ!!」


杉本「なるほどなるほど。勉強になるでござる。北野君はホントに流石でござるよ!!」


森田「……………」


北野「「ここからは、私の中学校時代を振り返っていこう」」


森田「やっぱり振り返ってるじゃん!!」


北野「「この俺、北野はエースで4番でキャプテンだったし、死ぬほどモテモテだった。しかも中学時代だけで彼女も30人以上いたことは確実」」


森田「もうその、モテモテ話はいいわ!!クラスでも全然女子としゃべれてないだろーが!!」


北野「それは前も言ったろ??うちのクラスの女子が全く魅力的じゃないだけだ(ドヤ顔)」


杉本「流石北野君でござる!マジカッコイイでござる!」


北野「「そして俺は中学校時代、強豪中学でキャプテンでエースで4番を任されていた。そして迎えた最後の試合、相手は超強豪中学。しかし俺の孤軍奮闘のピッチングで、超強力打線を無得点に抑えていた。相手は史上最強の打線であるにもかかわらず、全て3振に打ち取り、1塁も踏ませないパーフェクトピッチングだった。しかし延長12回で200球を投げて肩を壊してしまい、全てを託された試合も敗北し、推薦されてた超名門の高校にも行けなくなって、高校野球の夢を諦めることになってしまった…その日、絶望が俺を包み込んだ…」」


森田「なげえんだよ!!それにちょいちょい表現がウゼエ!!」


北野「「その後、絶望に打ちひしがれたこの俺北野は、週7で空手とテコンドーとボクシングなどの武道競技をやることを決断した。野球がとても好きだったため、あまりモチベは上がらなかったが、すぐにその才能を目覚めさせて、秘められた実力を発揮したため、あらゆる武道において、一瞬で1流選手に上り詰めた」」


北野「「武道競技選手会長の(ちから) (つよし)はこう語る。彼ほどの才能を持つ人間は見たことが無い。1000年に一度の逸材だ。今後の格闘技の世界を引っ張っていく人材だ」」


森田「あの、その人検索しても出てこないけど…あと君の名前も。そこまで有名なら北野君の名前も出てくるはずだけど??(笑)」


北野「…しかしこの俺、北野は格闘技の世界から突如姿を消した。そのためネットなどで検索しても出て来ないんだと思う」


森田「おい!!その言葉、絶対今考えただろ!?てか格闘技、いつの間に引退してたの!?(笑)」


北野「「周囲の制止も聞かず、才能を捨てて、再びスポットが当たる機会を逃した北野。彼は一体何を考えているのか!?」」


北野「「早速彼に尋ねてみた」」


森田「なにこれ!?自作自演!?」


北野「「俺が格闘技をやめた理由??そんなの簡単な話だよ。俺があまりにも強すぎたからだよ」」


森田「は??」


北野「「今の格闘技の世界には、俺の相手になる奴がいない。俺と戦って自信を無くす奴らしかいない。そんな強すぎる奴は、いない方がいいのさ…」」


北野「「なんと!!今後の格闘技界を考えて、強すぎる自分を目立たせるのではなく、他の人に配慮してやめていった!!なんて人間ができているんだ!!」」


森田「もうお前は、格闘技の世界に謝れ!!頑張ってる人達に土下座しろ!!」


北野「「こうしてこの俺北野は、元プロ野球選手で元政治家で今はどっかの企業の社長をしている親父の後を継ぐことに決めた。定められたレールの上を歩くことに決めた」」


森田「やかましい!!ならもっと勉強しろ!!」


森田「ハア…ハア…ツッコミ疲れた…」


北野「これで、第1章は終わりだ。まだ聞いてくか??」


森田「もう結構!!てかこれ何章あるの!?」


北野「全部で810章だな」


森田「正気の沙汰じゃねえ!!何をそんなに書くことがあるんだ!?」


北野「後は、俺の人生に基づいたアドバイスだな」


森田「はああ!?何を偉そうに!!」


北野「野球に関して、武道競技に関して、モテる秘訣とかその他色々だな」


森田「全部薄そう!!」


北野「そんなことないぞ??「頑張れ」とか「負けるな」とか、アドバイスは色々ある」


森田「激薄じゃねえか!!」


北野「杉本はどうだった??」


杉本「…………………」


森田「流石の杉本君も、呆れたか…??」


杉本「マジで流石でござる!!拙者、超感動したでござる!!」


森田「だよなあ…」


北野「そうだろうそうだろう。俺の人生の全てが詰まってる」


杉本「早速、全国に売り出すでござる!!ベストセラー間違いないでござる!!」


森田「ベストセラーナメんな!!」


森田「そもそも、こんな本、誰が出版してくれるんだよ!!」


杉本「拙者の父親がやってくれるでござる」


森田「え??」


北野「え??」


杉本「あれ?言ってなかったでござるか??拙者の父親は、出版会社の社長でござるよ??」


北野・森田「「えええええエエエエええええ!?!?!?」」


森田「北野君より、全然杉本君の方がスゴイじゃん!!」


北野「なんだと!?俺の方が全然すごいし!!」


杉本「いやいや。拙者なんて親がスゴイだけでござる。拙者自身は全然…」


森田「しかも超謙虚!!北野君と対極!!」


北野「まあ確かに、杉本自身はまだ何もなしてないからな。自慢するのは違うよな。」


森田「どの立場から言ってんねん!!お前こそ少しは謙虚になれ!!」


杉本「だから、お父さんにお願いすれば、本の1冊くらい出版できるでござる!!」


北野「おおおおおおおおおマジで!?それなら頼むわ!!」


森田「絶対やめときな!!確実に赤字出すから!!」


杉本「いーや。拙者がもう、この上なく感動したでござる。是非出版させてほしいでござる!!」


北野「よっしゃー!!流石は杉本だぜ!!頼む!!」


杉本「任せておくでござる!!」


森田「ああ…終わった…」


〜続く〜

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