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恩着せがましいとか言わないで

~部活の帰り~


加藤「はあ…今日もゴミみたいな1日だった…」 


加藤「なーんもいいことねえなー…彼女もいつまでたってもできねえし…」


??「あれー…どこに行っちゃたんだろう…」


加藤「ん??なんか探してるお姉さんがいる…」


加藤「あのー。どーかしましたか?」


??「ああすいません。耳につけていたイヤリングを落としてしまいまして…」


加藤「そうですか。そしたら俺も一緒に探しますよ」


??「ホントですか!?ありがとうございます!!」


加藤「どんな奴ですか??」


??「キレイな真珠みたいなのがついているやつです」


~1時間後~


??「ありがとうございました!!無事に見つかりました!!」


加藤「いえいえ。良かったです」


??「ありがとうございます!!」


加藤「ところで…」


??「はい??」


加藤「…いえ!!なんでもないです!!」


??「そうですか??ではこれで失礼します」


加藤「はい。お気をつけて」


加藤「…………………」


加藤「めっちゃカワイかったなー…(笑)」


~1週間後~


??「うわーーん。どこ行ったのー??」


加藤「うん?なんか、どっかで見覚えのあるお姉さんだな…?」


加藤「どうかしましたか?」


??「あの、私が飼っていた猫が、どこかに行ってしまいまして…」


加藤「それは大変だ。一緒に探しますよ!!」


??「ホントですか!?ありがとうございます!!」


加藤「ところで、前もどこかで会いませんでしたか…??」


??「え?そうですか??ごめんなさい、あんまり記憶力が良くなくて…」


加藤「あ、そうですか…ちなみにお名前を伺っても?」


矢口「矢口マリオットと申します」


加藤「矢口マリオット!?ハーフ!?」


矢口「失礼しました。あだ名です」


加藤「なんだビックリした…本名は矢口マリさんですか?」


矢口「いえ、矢口マリオです」


加藤「マリオ!?女性ですよね!?」


矢口「はい。そうですが、何か?」


加藤「あ、いえ…なんでもないです…」


~4時間後~


加藤「見つかりました!!コイツですか!?」


矢口「はい!!そうです!!ありがとうございます!!」


加藤「いえいえ。良かったです。」


矢口「本当に助かりました。ありがとうございます」


加藤「お役に立ててよかったです」


矢口「では、これで失礼いたします。」


加藤「あ、これで終わりかあ…」


矢口「何かおっしゃいましたか?」


加藤「い、いえ何も!!」


矢口「あ、そうでした!!」


加藤「はい?」


矢口「お礼するのを忘れていました。すいません本当に…」


加藤「いえいえ!!構いませんよお礼なんて!!ホントお食事とかいいですから!!」


矢口「あ、本当ですか?」


加藤「いやホント、マジ全然で構わないんですが、そこまで言うなら仕方ないですねー。いやーどこ行きますか?イタリアンとかですか?フレンチですか?」


矢口「では失礼しますね」


加藤「どこでも俺はいいですよ!!いやホント、奢りとかもしなくていいですから。ちゃんと自分の分は自分で出しますから。いうても大人なんで」


加藤「え?どうしても奢りたいって??いやー困っちゃうな、お礼なんていいって言ってるのに、そこまで言われちゃあ…って、あれ??」


加藤「…………………」


加藤「あの人、どこ行った??」


~さらに2週間後~


矢口「困りました…どっちの道に行けばいいんでしょう…?」


加藤「あれ?また見たことある女の人が…」


加藤「あの、どーしました…って」


加藤「ああああああああああああ!!この前の!!」


矢口「な、なんですか急に…大声だして…」


加藤「いや、大声だして…って、俺だよ俺!!覚えてないんですか!?」


矢口「オレオレ詐欺の方ですか??」


加藤「ちげーよ!!本当に覚えてないんですか!?」


矢口「はい??覚えてないですね…」


加藤「マジですか!?あんだけ色々あったのに!?」


矢口「ちょっとなんですか??ナンパですか!?警察呼びますよ??」


加藤「いや、ヒドすぎだろアンタ!!矢口マリオさんよお!!」


矢口「え?どうして私の名前を…」


加藤「前に会ってるからに決まってんだろうが!!」


矢口「え!?どこでですか?」


加藤「色んなところで!!猫も探して、イヤリングも探して、ほんで今回は、迷子??」


矢口「はい。道がわからなくなって…」


加藤「ハア…どこに行きたいんですか?」


矢口「はい。博多に行きたいです」


加藤「いや、東京から歩いていけるわけねえだろうが!!」


矢口「あら?そうでしたか」


加藤「そうでしたかじゃねえ!!少しは地理を勉強しろ!!今すぐ新幹線に乗れ!!」


矢口「しんかん…せん??」


加藤「新幹線を知らない!?外国の方ですか!?」


矢口「すいません。つい先月まで小笠原諸島に住んでいたもので…」


加藤「小笠原諸島人をナメんな!!新幹線ぐらいは誰でも知ってるわ!!」


矢口「で、どこにあるんですか?その時速200キロを超える乗り物は…」


加藤「知ってるじゃねえか!!」


矢口「しかしまあ、今の日本には馬車より速い乗り物があったんですね…」


加藤「いつの時代の人!?ついこの間まで山にでも住んでたのか!?」


矢口「えへへ(笑)」


加藤「えへへ(笑)じゃねーよ!!」


矢口「で、どこでチケット買えばいいんですか?」


加藤「みどりの窓口ってとこです!!」


矢口「みどりの…窓口?」


加藤「あーもう付いてきてください!!」


矢口「はい」


加藤「あそこに立ってる人から、チケットをもらってください」


矢口「はい。ありがとうございます」


~1時間後~


加藤「おっっそ!!」


矢口「すいません。中々話が通じなくて…」


加藤「通じてないのはおそらくアンタのせいだ!!」


加藤「…で、チケットは買えましたか?」


矢口「はい」


加藤「じゃあ東京駅に行きましょう!」


矢口「東京…?」


加藤「日本の首都くらい知っとけ!!」




加藤「ゼエゼエ…こ、この真っ白の電車の、この車両に乗れば、博多に行けます…途中で絶対に下りないでください…」


矢口「本当に、ありがとうございました。この御恩は一生忘れません」


加藤「マジで忘れんな!!一生覚えとけ!!」


矢口「はい。ありがとうございました」


加藤「あと、俺の名前は加藤です!!加藤!!次忘れてたらマジで張り倒しますから!!ゼエゼエ…ああ、もう無理…」


バタンキュー


~2週間後~


加藤「はあ…マジで最近疲れた…」


加藤「ん…??なんか嫌な予感が…」


矢口「あれー?コンタクトはどこでしょう…??」


加藤「げ…アンタは……」


矢口「え?えっと…どちら様でしたっけ?(笑)」


加藤「ふっざけんなテメエええええ!!」


矢口「キャアア!!」


加藤「まーた忘れたのか!!俺だよ俺!!」


矢口「オレオレ詐欺の方ですか?」


加藤「前回とまっったく同じくだり!!マジで忘れたのか!?」


矢口「えっと…??」


加藤「ヤバすぎるコイツ…(呆れ)」


矢口「失礼ですが、どちら様ですか??」


加藤「本当に失礼だな!!俺だよ俺!!アンタが道に迷った時は教えてあげて、アンタの猫がいなくなった時も、アンタがイヤリング落とした時も見つかるまで一緒に探してあげた男、加藤だよ!!」


矢口「えーと、ごめんなさい。記憶が無いです…(笑)」


加藤「ここまでしてて忘れる方がすげえな!いやマジですげえな!一体、どんな記憶力してんだよアンタは!!」


矢口「あ、ありがとうございますー(笑)」


加藤「褒めてねえよ!!」


加藤「あのさ、普通の人だったらまあまあの高評価だよ!?ここまでのことしたら!!」


矢口「はあ…そうですか…」


加藤「なのに、なんでたまたまめっちゃ助けたやつが、こんなに忘れっぽいんだよ!!ふざけんな!!普通の人だったら、絶対めっちゃ感謝されてた!!そしてもっと仲良くなれてた!!」


矢口「はあ…なんかすいません。」


加藤「しかも挙げ句、名前すら覚えてないって…もうどうなってんねん!!」


矢口「私、気づかないうちにいっぱい助けられていたのですね。本当にありがとうございました」


加藤「それ、何回も聞きました!!口での感謝は何度も聞きました!!」


矢口「本当にすいません。では、ぜひお礼させてください」


加藤「え?えーと、い、いやー、まあ、そんなねえ?お礼を強要してるわけじゃないんですよ。別にお礼とかは全然いらないんで!!それが欲しくて助けたわけじゃないですから!(笑)」


矢口「あ、そうですか。それじゃあまt」

加藤「でも少しは粘れよ!!」


矢口「え??」


加藤「それでも少しは粘ってくださいよ!!「いえいえ、お礼しないと私の気が済まないです!」とか言ってくださいよ!!」


矢口「え?本当はやっぱりお礼が欲しいんですか?」


加藤「欲しいです!!」


矢口「何がいいんですか??」


加藤「いや、えーと、そうですねえ…」


矢口「…………………」


加藤「…………………」


矢口「…………………」


加藤「い、い、一緒にご飯とか、いかがですか…?」


矢口「あ、ごめんなさい。私、彼氏がいるので、2人きりで食事とかはちょっと…」


加藤「えええええええええ!?!?」


矢口「えーと、なんかごめんなさい…」


加藤「あの、何者なんですか!?その彼氏は!!」


矢口「え??」


加藤「だって、こんだけのことをした俺が、名前すら覚えてもらえないんですよ!?だとしたらその彼氏は、一体あなたに何をしたんですか!?」


矢口「そうですね…話せば長くなりますが…」


加藤「構いません!!どうぞ!!」


矢口「彼氏は、何度も何度も私を助けてくれました。私が地雷を踏みそうになった時も、海でおぼれたときも、強盗に襲われたときも、ヤンキー100人に捕まった時も、必ず現れて私を助けてくれました。さらには私の両親を悪い宗教から救い出してくれたり、家が大火事になった時も、家族全員を1人で救い出してくれました」


加藤「彼氏さん、お疲れ様です!レベチでした!僕の手には負えません!!しゃしゃり出て本当にすいませんでした!!どうぞお幸せに!!」


~完~

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