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体育祭と書いて、「ころしあい」と読む

~体育祭2週間前~


碇矢先生「そろそろ体育祭の時期だな。みんな、体をしっかり鍛えておけよ」


加藤「そっか、そろそろ体育祭か」


高木「よっしゃ!!今年も体育祭の季節が来たぜ!!」


志村「それな。ようやくアイツにうっぷんが晴らせるぜ!!」


加藤「はあ??何の話??」


志村「そーかそーか、お前は転校してきたから知らねーのか(笑)」


加藤「え?何が??」


志村「うちの学校の体育祭、最高なんよ!!」


高木「そうそう。ストレス発散ができるのよ」


加藤「は??なんで??」


高木「うちの体育祭は別名「殴り合い祭」と言われててな」


志村「そうそう。暴力がOKだからさ(笑)」


加藤「は??」


高木「ほぼ全ての競技で、殴り合いがOKなんだよ(笑)」


加藤「はああ!?ヤバすぎだろ!?」


高木「みんなで日頃のうっぷんを、殴り合いで晴らそうというシステムだ」


志村「恨みがあるやつを、競技中に正当にボコボコにできるのさ(笑)」


加藤「いや(笑)じゃなくて、何だそのヤバい祭りは!!」


高木「最高だろ??この時のために部活頑張ってきたわー!!」


加藤「そうなの!?そんな理由だったの!?」


志村「ああ。帰宅部のウザい奴をボコボコにできるしな」


加藤「いや、大丈夫かお前ら!?言ってること頭おかしいぞ!?」


志村「まあ、他校とは違うから混乱する気持ちもわかるが、落ち着けよ」


加藤「お前らが落ち着け!!」


高木「お前もいるだろ??ウザい奴が1人や2人はさ」


加藤「いたとしてもやらねーよ!!」


志村「体育祭は、それが特別に許可されてんだよ」


加藤「されててもやらんわ!!」


志村「信じられねえなコイツ…」


高木「ああ。聖人ぶっててキモいな…」


加藤「なんで俺が引かれてんの!?」


加藤「おい古手川!!コイツらヤバすぎるぞ!?風紀委員として注意しとけ!!」


古手川「はあ??どーしたの??」


高木「なんかコイツ、体育祭のシステムが納得できないらしい」


古手川「はあ??なによ今更」


加藤「コイツら、体育祭で殴り合いするとか言ってんだよ!!頭おかしいだろ!?」


古手川「ええそうよ。1年で唯一、学校内でうっぷんを晴らせる日、それが体育祭よ」


加藤「は??」


古手川「競技と称して、普段ウザくて気に入らない奴をぶっ飛ばす。この瞬間を、長い間待ち焦がれていたわ!!」


加藤「おい、本気で言ってんのか…??」


古手川「当たり前でしょ??早く3年の(ちち) 出可子(でかこ)をぶっ飛ばしたいわー!!」

(※前作「文化祭は、チームプレイが大切デス。」参照)


加藤「あ、まだ恨んでたんだ(笑)」


古手川「そりゃそうでしょ。でもアンタ達は残念ね(笑)」


加藤「は??何が??」


古手川「だって、どんだけ恨んでても競技は男女別だもの。殴れないわよ」


加藤「いいわ殴らなくて!!」


高木「うわー!!悔しい!!マジでぶん殴りたかった!!」


志村「それな。文化祭の恨みを晴らしたかった!!」


加藤「ヤバすぎだろ!?大丈夫かうちの学校は!?」


志村「オイオイ。一体どーしたんだ?加藤。頭でも打ったか??」


加藤「それはこっちのセリフだ!!暴力が許可された祭なんて聞いたことねえ!!」


高木「そんな疑うなら、動画も残ってるぞ??」


加藤「マジで!?」


「オラ死ねー!!」


「ぶち殺す!!」


「マジで殴り殺す!!」


「アイツをボコボコにする!!」


「ストレス解放!!」


ドカバキボカスカ


加藤「想像の100倍過激で、ガチじゃん!!」


高木「だから言ったじゃん(笑) ガチの殴り合いだって」


加藤「体育祭からは想像できんわ!!」


志村「この体育祭に参加するために、遺書を残す奴もいるらしい」


加藤「今すぐやめろ!!こんなクソイベント!!」


「いけー!!アイツのガキぶち殺せ―!!」


「あの金持ちのガキぶち殺せー!!」


「いいぞいいぞ!!ぶん殴れ!!」


加藤「親も倫理観ゼロ!!めっちゃ盛り上がってる!!」


高木「ちなみに、先生も殴り合ってる(笑)」


加藤「はあ!?!?」


高木「先生同士も色々あるからなあ…(笑)」


志村「それな。日頃のうっぷんが特にすごそうだし(笑)」


古手川「体育祭がないと、ストレスで死んじゃいそうよね(笑)」


加藤「そんなことねーわ!!この学校は狂ってる!!」


高木「まあ落ち着けよ。みんなちゃんとルールにのっとって戦ってるだけだ」


志村「そうそう。競技のルールに「殴ってOK」が入ってるだけだ」


高木「そうそう。いたって普通の体育祭だよ」


加藤「体育祭ナメんな!!「殴ってOK」がおかしすぎんだよ!!」


高木「普通に競技やってもつまんねえよなあ??」


志村「間違いない。殴りOKがあるから楽しめる」


加藤「コイツら、どうかしてやがる!!」


高木「古手川、一応説明してあげたら??競技種目とか」


志村「そうそう。どうせ知らないで転校してきたんだろうし」


古手川「しょーがないわねー」


加藤「逆に、お前らはなんで体育祭にそこまで詳しいんだよ!?」


高木「そりゃだって、このためにこの学校に入学したまであるし」


志村「そうそう。この学校のイチオシは、この体育祭だからな」


加藤「はああ!?ヤバすぎだろお前ら!!てか体育祭を入学目的にすんな!!」


古手川「じゃあ、競技の説明をするわよ??」


加藤「はい…お願いします…」


古手川「まずはぶん殴り綱引きね」


加藤「ぶん殴り綱引き!?」


古手川「勝敗は綱を自分の陣に引き込んだ方が勝ちだけど、追加ルールとしては、相手のことをぶん殴って大丈夫なのよ」


加藤「マジかよ!?」


古手川「まず相手をボコボコにして、戦闘不能にする。その後で綱を引いて勝つ!!」


加藤「綱引きほとんど関係ねえ!!」


古手川「それからリレー。リレーは生き残り制よ」


加藤「生き残り制!?」


古手川「待機しているランナーをボコボコにして、生き残った人だけがバトンを受け取れる」


加藤「走りの速さ関係ねえ!!」


古手川「バトンを受け取るはずの人が戦闘不能になったら、その時点でそのチームは失格ね」


加藤「厳し!?そのリレー、ゴールできるチームいるのか!?」


古手川「去年は1チームもゴールできずに、全チームが失格になったわ(笑)」


加藤「もうやめちまえ、そんなクソリレー!!」


古手川「それから騎馬戦。上に乗ってる人がKOされたら失格」


加藤「帽子は!?」


古手川「帽子なんてないわ。邪魔だし。要するに上の人をボコボコにすればいいのよ」


加藤「野蛮人の騎馬戦!!」


古手川「あと下の人は、下の人同士で蹴りあうこともOK。それで騎馬が崩れ落ちればベストね」


加藤「怪我人続出!!」


古手川「大丈夫よ。保健室があるもの」


加藤「一瞬でキャパオーバー!!」


古手川「それから棒倒しだけど…」


加藤「ヤバそう…普通にめちゃくちゃケンカしてそう…」


古手川「手を出すことはNG。つまり暴力禁止よ」


加藤「逆に!?棒倒しが暴力禁止なの!?」


古手川「まあ休憩みたいなもんね。次の最終競技に向けての」


加藤「休憩!?棒倒しが!?」


古手川「だからみんなやる気が無くて、基本的には引き分けになるわ」


加藤「どんだけみんな、暴力ふるいたいんだよ!!」


古手川「そして待望の最終競技…」


加藤「なんだ…?」


古手川「殴り合いよ」


加藤「は??」


古手川「だから、殴り合い」


加藤「いやそれ、もはや競技じゃないじゃん!!」


古手川「いいえ立派な競技よ。これで生き残った人1人につき、10000ポイントがクラスに与えられるわ」


加藤「10000ポイント!?」


古手川「綱引きで勝てば50ポイント、リレーの1位が100ポイント、騎馬戦が200ポイント」


加藤「他全部ひっく!!ほとんどその殴り合いで勝敗が決まるじゃねえか!!」


古手川「そうよ。ぶっちゃけ他の競技は茶番ね(笑)」


加藤「体育祭をバカにすんな!!」


古手川「それから棒倒しは5ポイントね」


加藤「低すぎ!!そりゃみんなやる気なくすわ!!」


古手川「そうなのよ。だから殴り合いがめちゃくちゃ大事なのよ」


加藤「大事というか、それですべてが決まるわ!!」


高木「だからこうやって、俺達は体を鍛えてるってわけ」


志村「そうそう。北野とか出木杉をボコボコにするためにな」


加藤「同じクラスの奴じゃねえか!!」


古手川「殴り合いはもはや敵味方関係ないわ。ムカつく相手をボコるだけ」


加藤「せめてクラスでは協力しろや!!」


高木「まあこれで、競技はわかっただろ??」


志村「いやー本番が楽しみだな(笑)」


加藤「どこが!?ヒドイ目に合う自信しかねえわ!!」


高木「大丈夫だよ。お前鍛えてるじゃん」


志村「そのためにテニス部入ったんだろ?」


加藤「チゲえわ!!」


古手川「で、最後に先生同士のエキシビションマッチがあるわ」


加藤「先生同士!?何やってんの!?」


碇矢先生「いやー先生も楽しみだ。ムカつく社会教師の渡邊をボコボコにできるからな」


加藤「教師の言っていいセリフじゃねえ!!」


碇矢先生「ホント、体育祭のためにこれまでイライラを我慢してきたわー(笑)」


加藤「碇矢先生の口からこんな言葉聞きたくなかった!!」


高木「マジでそうですよね。うちの体育祭が唯一、イライラを解消できる場ですよ」


志村「ホントそれな。この日が無いとマジで生きていけん」


加藤「生きていけてんのよ!!他の学校の人達全員!!」


~次の日~


碇矢先生「みんな…誠に残念な報告がある…」


「「「え!?」」」


高木「なになに??」


志村「先生が…結婚したとか!?」


碇矢先生「それはいい報告だろうが!!」


志村「いや、先生というモテない残念な大人がいることで、俺は安心できていたので…」


碇矢先生「お前、マジで張り倒すぞ!?」


碇矢先生「ゴホン。体育祭が、中止になった…」


「「「えええええええええ!?!?!?」」」


加藤「でしょうね!!」


碇矢先生「毎年、怪我人が続出して危険なため、体育祭は中止になった…」


加藤「だと思った!!正しい判断!!」


碇矢先生「伝統ある、わが校の体育祭がこのようなことになるなんて…」


加藤「無くなって良かったわ!!そんなクソ伝統!!」


高木「うう…」


加藤「泣いてんの!?」


高木「アイツを…ぶち殺したかった…」


加藤「怖!!どんだけ恨みがあるんだよ!?」


古手川「私も…アイツをぶん殴りたかった…」


加藤「どんだけ他クラスに恨みがあんの!?大丈夫かコイツら!?」


碇矢先生「だがしかし!!」


加藤「え??」


碇矢先生「体育祭を楽しみにしていた奴らもいっぱいいるだろうから、俺達は対策を塾考し、見事に解決策を導きだした!!」


加藤「そんなことに頭を使うな!!」


碇矢先生「その結果、地下にコロシアムを新設し、自由に殴り合いができるようにした!!」


加藤「そんなもんに、俺達の学費を使うな!!」


「「「「イエエエエエエエエエエエエ!!!」」」」


加藤「「イエエエエエエエ!!!」じゃねえ!!あーもうめんどくせえ!!」


加藤「もう、俺がやるしかねえ…全員に呼びかけよう…」


加藤「みんな!!落ち着いて聞いてくれ!!目を覚ませ!!」


「え??」


「どうした??」


高木「なんだ??加藤の奴…」


志村「気でも狂ったか??」


加藤「それはお前らだ!!」


加藤「ゴホン。えー皆さんよく聞いてください。いいですか??絶対に人を殴ってはいけません。暴力なんてしてはいけない、悪いことなn」

碇矢先生「確かに。その通りだ…」


高木「加藤のおかげで目が覚めたわ…」


志村「俺が間違っていた…なんでこんなことを…」


古手川「あれ??私、何やってたんだろ…」


加藤「はや!!俺の想像の10倍早く洗脳がとけた!!それならもっと早く気づけや!!」


「加藤の演説、マジで感動した…」


「ホントに、素晴らしすぎる…」


「俺達の心に、グッと響いた…」


「すごいよ、加藤…マジで感動した…」


加藤「小学校低学年の道徳レベルのことしか言ってねえわ!!」


碇矢先生「畜生…俺が、間違えていた…」


加藤「ホントにな!!全員小学校からやり直せ!!」


~完~

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