お年玉によって、親戚のありがたみを知る その1
~12月28日、志村家にて~
父「おいケンジ」
志村「何だよ親父」
父「今日から1週間、飯を抜け」
志村「は??」
父「今日から1週間、家でも何も出さないから。俺も母さんも姉貴も、一切食べ物を口に入れん。絶食状態にする」
志村「はあ!?なんでだよ!?」
姉「え!?てかなんで私も勝手に巻き込まれてんの!?」
父「1週間後、親戚の会合があるだろ??1月3日に」
姉「そうだけど…」
志村「それがどうした??」
父「どうやら今年は、超高級バイキングをするらしいんだ。親戚全員で集まって」
志村・姉「「マジで!?!?」」
志村「いつもいつも、悲惨な年末年始だったからな…」
父「あー、それはまあ、俺の方の爺さん婆さんだったからな。今年は母方、つまりは母さんの親父さんとお袋さんの親戚の会合なのよ」
姉「え??確か母さんって…」
父「そうだ。大富豪の娘だ(笑)」
志村・姉「「おおおおおおおおおおお!!」」
父「だからお前ら、1週間心して飯を抜けよ??」
志村・姉「「押忍!!」」
母「押忍じゃないわよ(笑) まったく…またお父さんとケンカしないでよね??(笑)」
志村「え?そんなことあったの??」
母「この人ったら、会うたびにあの人とケンカして…」
父「だってあのおっさん、発想が金持ち過ぎて俺と合わねえんだもん(笑)」
母「まあ、それはそうだけど…」
姉「てゆうか、逆になんでそんな金持ちの母さんが、こんな貧乏金なしの残念なアホお父さんと結婚したわけ!?」
父「おい。張り倒すぞ」
母「それはまあ、生き様がカッコよかったから…❤」
志村・姉「「どこが!?」」
父「流石は母さんだ。人を見る目しかない」
志村「見る目ねーわ!!」
姉「こんなドケチ親父、絶対嫌だ!!」
父「良かったな。俺の遺伝子のおかげで、お前もすっかりドケチ娘だ(笑)」
姉「いやだあアアアアアアア!!マジ最悪!!」
母「まあまあ。ドケチの代償に、お父さんの「たくましさ」もついてきてるから!!」
姉「たくましさというか、「飢餓」に耐えうる能力がついただけなんだけど…」
父「それが大事なんだ。いいか?もしこれから、食べ物を一切買えない世の中が来たとしても、お前達だけは生き残ることができる」
姉「いつの時代の話!?」
志村「そんなこと起こらねえよ!!」
父「だが、1週間抜いた後の飯は、確実にうまいぞ…??」
姉「結構だわ!!味わわなくて!!ねえ、ケンジ」
志村「確かに、あのうまさは、レベルが違うわ…」
姉「え??」
父「流石はケンジだ。もう既に経験していたか」
志村「当たり前だ。バイト代を全て遊びに使い果たす、この俺をナメるな」
姉「なにもカッコよくないけど!?」
志村「まあ1週間何も食わないって言ったって、どうせ雑草が無くなるだけだしな(笑)」
母「そうよ。それに1週間我慢した後の高級料理は、超格別に違いないわ!!」
父「その通り。空腹こそが最高のスパイスだ!!そして極限まで空腹にして、必ず高級食べ放題の元を取るぞ!!」
志村・父・母「「「エイエイ、オーーー!!!」」」
姉「マジなんなのこの家族…」
(※もう何度も注意してますが、絶対にマネしないでくださいね??)
母「でも、そしたら年末の年越しそばはどうする??」
父「確かに。例年はちゃんと豪華な「年越しもやしそば」食べてたしなあ…」
志村「どこが豪華!?」
姉「ただのもやしが入ったそばじゃねえか!!」
志村「「そば」ですらなかっただろ!?ただの「もやしをスープに浸したものだろ!?」
姉「そばなんて高級品、この家でほとんど食べた記憶が無いわ!!」
父「あのなあ、もやしもそばも似たようなもんだろ??」
志村・姉「「どこが!?」」
父「細長いじゃん」
姉「そばに謝れ!!」
志村「大体それ、年越しもやしじゃねえか!!」
父「でも確かに、縁起を担ぐのは大事だしな…そうだ母さん。そば1本だけ食べようか(笑)」
志村・姉「「1本!?」」
母「そうね。乾麵なら長持ちするし、1本だけつまんで湯がいて食べましょ」
志村「もう大人しく1玉ゆがけよ!!」
姉「逆にめんどくさいわ!!」
父「でも今年はお腹を空かせるために。モヤシは抜きな」
志村「もはやそれ、スープだけやん!!」
父「いやだから、そばが1本だけあるってば」
志村・姉「「何もないようなもんだろうが!!」」
~1月2日~
祖父「やあやあ。どーもどーも。いつもお世話になってるね。どーもどーも」
「いえ、こちらこそいつもお世話になっております!!」
「あけましておめでとうございます!!」
「今年も、何卒よろしくお願いいたします!!」
ペコペコペコペコペコ
祖母「もうお父さんたら。新年早々、みんなをペコペコさせすぎよ(笑)」
祖父「ガッハッハッハ。ワシくらいになると、いつもこうなってしまうんよな(笑)」
祖母「まあ、社長ですからね(笑)」
祖父「ガッハッハッハ!!その通り(笑)」
祖母「今年はホテルを貸し切って…まあ盛大ですこと」
祖父「大企業の社長として、みっともない真似はできんからな。しかしまあ、偉くなり過ぎた。もはやワシに意見できる者は、日本にもほとんどいn」
父「よっしゃあああああああ!!ここまでよく我慢した!!爆食いするぞお前ら!!」
志村「ガッテン!!もう、この匂いだけで倒れそうだ!!うまそう!!全部マジでうまそう!!」
姉「もうインスタ映えとかどうでもいい!!腹減った!!食べる!!無限に食べる!!」
志村・父・姉「「「うおおおおおおおお!!!」」」
母「あらまあ。元気になってくれて本当に良かったわ(笑)」
祖父「カンナ…なぜアイツらまで連れて来てしまったんだ…」
母「なんでって…そりゃ私の家族だもの(笑)」
祖父「私は、お前だけに招待状を送ったつもりだったのに…」
母「あーそうだったんですか。ケンタさんが手紙を発見しちゃったからですよ(笑)」
祖父「あのクソ男め!!絶対に、このホテル料理目当てで来たに決まっている!!」
母「そんなことないわよ。お父さんに会いに来たのよ」
祖父「あんな下品に食べ物をあさっている奴が、私に会いに来てるわけがないだろう!!」
父「うめえうめえ!!超うめえ!!」
ガツガツムシャムシャバクバク
ガツガツムシャムシャバリバリゴクン
祖父「なんという、空気の読めなさだ…」
母「じゃ、私も食べるわね。いただきます」
祖父「ちょ、おいカンナ…」
ガツガツムシャムシャバクバク
母「うめえええええ!!」
祖父「おいいいいいいい!!なんてことだ!!私の可愛い娘まで、こんな下品な食べ方をするようになってしまった!!うわああああああ!!」
父「あ、どうみょお義父さん。ご無沙汰してましゅ」モグモグ
祖父「お前にだけは、お義父さんとは呼ばれたくないねえ!!結婚した今でもな!!」
父「なんででふか??俺、お義父はん好きでふよ」モグモグ
祖父「俺は大っ嫌いだけどな!!」
父「だって、こんにゃに美味ひいものいっぱい、しかも無料で食べさせてくれるんでふもん。こんなに気前のいいおお義父はんは、いまへんよ」モグモグ
祖父「やかましいわ!!君に娘を渡したことを死ぬほど後悔しているよ!!」
父「でも、おるえはぜっちゃいにかのじょをしあわしぇにしましゅかりゃ」モグモグ(訳:でも俺は絶対に彼女を幸せにしますから)
モグモグモグモグ
祖父「全然何言ってるかわかんねーよ!!」
母「あはひもよ。こるえからもよろひくね」モグモグ(訳:アタシもよ。これからもよろしくね)
祖父「おいいいいいいい!!お前まで下品な真似するな!!」
父「そういうわへで、これからもよろひくお願いひまふね」(訳:そういう訳で、これからもよろしくお願いしますね)
祖父「てかさっきから、食べながらしゃべんじゃねえ!!マジでぶっ殺すぞ!?」
母「お父はん落ひ着いて」モグモグ
祖父「落ち着けるか!!まったく、とんでもない奴だ…」
祖母「まあまあお父さん。こんな下品な連中と、関わるだけ損ですよ。離れましょ」
祖父「あ、ああ…少し取り乱してしまった。すまない…ハア…」
祖母「まったく。私の子供の中で、どうしてアナタだけこうなってしまったのかしら…」
母「簡単な話よ。お金より大事なものを得てしまったからよ」
祖母「箱入り娘のアナタが、こんな貧乏家族に嫁いで、いつか絶対に後悔するわ!!」
母「今のところ、全くしてませーん!!(笑)」
祖母「ウッッザ!!このクソ娘!!」
母「なんだとこのクソババア!!」
祖母「親に向かってなんて口の利き方だゴルア!!」
父「まあまあそこのオバハン。ひょっと落ひ着きなよ」モグモグ
祖母「ああん!?」
母「ちょっとお父さん。この人、一応アタシの母親よ??(笑)」
父「げ!?やっべ、しばらく会ってないから忘れてた!!」
祖母「だ、だ、誰が、オバハンだって…??」
父「い、いやー!!お久しぶりですーお義母さん(笑) 相も変わらず、ウザくて嫌味ったらしくて、安心しました(笑)」
祖母「褒めてんのかそれ!?大体アンタはねえ、結婚式の時かr」
父「あ、やべ!!そんなことしてるより、もっと食べねえと!!」
志村「親父!!こっちにフォアグラあるぞ!!」
姉「こっちにはキャビアあるわよ!!」
父「よっしゃあ!!今向かうぜ!!」
祖母「今すぐ出てけ!!このアホ家族!!」
母「みゃあみゃあ。おひつきなよおかあひゃん」モグモグ(訳:まあまあ。落ち着きなよお母さん)
祖母「アンタも黙らっしゃい!!」
~続く~