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美容院の人のコミュ力はヤバい

~土曜日、部活帰り~


加藤「あー、今日もモテない♪明日もモテない♪こうして俺は、1人寂しく死んでゆく~♪」


加藤「ハア…どうすればモテるんだろ…」


加藤「うん…??なんだこのポスター??」


『君のカッコよさは、髪型で決まる!!来たれ!!イケメン志望の若者達!!この美容院に来れば、君のカッコよさは100倍に!!』


加藤「なん…だと…??」


「髪型で君はイケメンになれる!!女子からモテモテ間違いなし!!」


加藤「行く行く行く行く行く!!」


カランコロンカラン


店員「いらっしゃいまs」

加藤「表のポスター、本当ですか!?」


店員「はい??」


加藤「髪型で、俺のカッコよさが変わるって、本当ですか!?」


店員「はい」


加藤「ここで髪切れば、イケメンになるって本当ですか!?」


店員「はい。ここで髪を切ることで、アナタはイケメンに生まれ変わります」


加藤「じゃあモテモテになれますか!?」


店員「はい。ここで髪を切れば、アナタはモテモテですよ」


加藤「切ります切ります!!お願いします!!」


店員「では、そちらでお待ちください。現在5時間待ちです」


加藤「5時間!?美容院で!?」


店員「すいません。イケメンになりたいお客様で溢れておりまして…」


加藤「まったく…どいつもこいつも髪型に頼ってんじゃねえよ。まずは中身を磨け、中身を」


店員「いや、アンタが言うな!!」


加藤「え??」


~5時間後~


加藤「ZZZZZZZZZZ…」


店員「お待たせしました。加藤様??」


加藤「ZZZZZZZZZZ…」


店員「加藤様ー??いらっしゃいませんかー??」


加藤「ZZZZZZZZZZ…」


店員「加藤様ー??イケメンになってモテモテになるチャンスを逃しますよー??」


加藤「はいはいはいはいはいはーーーい!!俺はここにいます!!」


店員「お待たせしました。どうぞ」


加藤「…って外くっら!?マジで5時間待ってたの!?」


店員「はい。うちは超人気店ですから」


加藤「これは期待できる!!俺をイケメンにしてください!!お願いします!!」


店員「お任せください」


加藤「じゃ、お願いします!!」


店員「はい。それではどのような髪型にしたいか教えてください」


加藤「はい??」


店員「はい??」


加藤「え??なんですか??」


店員「あの、ご要望の髪型はありますか??」


加藤「イケメンな髪型にしてください!!」


店員「えーーと……それはどのような髪型でしょうか…??」


加藤「え??俺をイケメンにしてくれるんじゃないんですか??」


店員「あのですね、美容院は基本的に、お客様からの注文通りに切るんです。ですから、どんな髪型にしたいのかぼんやりでいいので教えて下さると助かります」


加藤「なら、モテる髪型にしてください!!」


店員「話が通じねえ!!なんだこの客!?」


加藤「えっと…俺、正直言って何もわからないんで、お任せしちゃダメですかね…??」


店員「わかりました。それでは、お客様に合う髪型を一緒に探していきましょう」


加藤「ありがとうございます!!」


店員「こちらが髪型のカタログになります」


加藤「どうも」


店員「お客様に合うのは、やはりオラオラ系の髪型かと思います」


加藤「オラオラ系の髪型!?なんだそれ!?」


店員「ズバリ、ボンバーモヒカンですね」


加藤「ボンバーモヒカン!?」


店員「ええ。ぶっ飛んだモヒカンです。男らしさの塊ですね」


加藤「本当か!?本当にボンバーモヒカンでイケメンになるのか!?」


店員「それか、ボンバーリーゼントもいいですね…」


加藤「だから何それ!?なんなのボンバーって!?」


店員「ぶっ飛んだリーゼントです」


加藤「イケメンにならねえだろ!!ヤバい目で見られるだけだろ!!」


店員「そうですか??お客様のような、男くさい顔には似合うと思いますけどね…」


加藤「男くさい顔!?それ褒めてんの!?」


店員「ではボンバーアフロはいかがですか??」


加藤「却下!!」


店員「ではボンバーロン毛は??」


加藤「却下!!てかもうボンバーから離れろや!!」


店員「そうですか。ではモヒカンとリーゼントにロン毛とアフロを加えて、最後にパーマをかけたような髪型にしましょう」


加藤「いやどんな髪型!?俺でもわかる、絶対ヤバい髪型になるって!!」


店員「ハア…ではもう、丸刈りでいいっすか??」


加藤「急にめっちゃ投げやり!?なんなの!?普通の髪形は、選択肢にないの!?」


店員「ありません。当店はド派手な髪型しか認めてませんので」


加藤「ダッル!?なんだこの店!?帰るわ!!」


店員「あのですねお客様。文句ばかり言ってても始まりません。新しい扉は挑戦してこそ開かれるのです」


加藤「別に、新しい扉を開きたいわけではないんだけど!?」


店員「違います。お客様が勇気をもって挑戦しなければ、イケメンになってモテモテになるなんて、ありえないと言っているのです」


加藤「なん…だと…??」


店員「いいですか??このままではアナタは、一生挑戦しない、ありきたりで量産型の髪型のまま、誰にも見られることなく、一生を終えるのです」


加藤「…………………」


店員「当店のオススメする「ボンバーアフロ」であれば、間違いなくアナタのその、ダンディでジジ臭い顔に似合います!!イケメンに生まれ変わるんです!!」


加藤「おおおおおおおおおおおお!!」


店員「そしてモテモテにもなります!!だから挑戦しましょう!!加藤さん!!」


加藤「なるほどお!!感動した!!是非、ボンバーアフロをお願いします!!」


店員「承知しました。では5万円いただきます」


加藤「まさかの先払い!?しかもたっか!!」


~支払い後~


加藤「俺の全財産が…消えた」


店員「では散髪を始めていきますね」


加藤「はい…」


店員「そう言えばお客様、出身はどこなんですか??」


加藤(げ…そうだった、美容院ってめっちゃ店員が話しかけてくるんだよな…)


加藤「一応東京っすね…」


店員「へえ!!じゃあこの辺に住んでるんですか??」


加藤「まあ、そうですね。家の近くで探してました」


店員「家どこですか!?最寄りは何駅ですか!?」


店員「駅からどう行けば家に着きますか!?」


加藤「めっちゃ住所を深堀りしてくる!!怖いんですけど!?」


~10分後~


店員「で、僕の友達が言ったんですよ。「おでんにはからしよりワサビでしょ!!」って」


加藤「……………………」


店員「それで、ワサビをつけすぎて緑色になった大根を食べたら辛すぎて吐きやがってソイツ」


加藤「……………………」


加藤「あの、そろそろ髪を切っていただいてもいいですか??(笑)」


店員「え??」


加藤「え??」


店員「あーすいません。僕、話し出すと全然作業が手につかないんですよね。あれっすよ、マルチタスクが苦手って奴です(笑)」


加藤「いや、だったらしゃべんじゃねえ!!髪を切れ!!」


店員「いやそれはちょっと…僕おしゃべりなんで」


加藤「知らねーよ!!」


店員「大丈夫っすよ。いうても僕なれてるんで。大ベテランですから。あ、ベテランと言えば」


ザシュ


店員「…あ、ヤベ、ミスった」


加藤「おい!!お前マジでもうしゃべんな!!」


~帰宅後~


父「ギャハハハハハハ!!ダッサ!!wwwww」


妹「兄貴、マジでその頭超ウケル!!ギャハハハハハハ!!(笑)」


母「プププ…何その髪型…(笑)」


加藤「…………………」


加藤「まあ、家族はセンスの欠片もないからな。明日になれば、みんなが俺を見てベタ惚れするはずだ」


~次の日~


高木「ギャハハハハハハ!!ダッサ!!wwwww」


志村「キッモ!!なんだその髪型wwww」


高木「マジでウケるわ!!加藤、俺達を笑わせに来てんのか!?」


新垣「加藤君…その髪型…プププ…」


加藤「ふっざけんじゃねえええええええええ!!」


バアン!!


店員「あ、いらっしゃいませー」


加藤「いらっしゃいませーじゃねえ!!どういうことだテメエ!!」


店員「どういうこと??とは」


加藤「めっちゃ爆笑されたじゃねえか!!家族にもクラスメイトにも!!カッコよさの欠片もねえ!!何がイケメンになれるだ!!殺すぞ!?」


店員「違います。加藤様」


加藤「は??」


店員「彼らが、本当のイケメンとは何かをわかっていないのです。加藤様は、我々から見て、とてもイケメンです…プププ…よ」


加藤「おい。今笑いかけてなかったか??」


店員「いえ。あまりのイケメンっぷりに噴き出しそうになりました」


加藤「やっぱ笑いかけてるじゃねえか!!殺すぞ!?」


店員「落ち着いてください。加藤様はとてもカッコいいですよ??世間が、このオシャレイケメンにまだ付いてこれてないだけです」


加藤「俺は、「今」の世間からイケメンと認められたいんだわ!!」


店員「それは困りましたね…私達は最先端のイケメンを追及してるので、ひょっとしたら世間とのズレがあったのかもしれませんね…」


加藤「最先端のイケメンってなんだよ!?どう考えてもこれはカッコよくねえわ!!」


店員「お似合いのボンバーアフロですよ??プププ…」


加藤「うるせえ!!金を返せ!!そして髪を戻せ!!」


店員「それは少々無理な相談ですね…」


加藤「だったら、俺の要望でもう一回髪を切れ!!恥をかかせた罰だ!!」


店員「仕方ありませんね…お客様は神様ですから」


加藤「よく言うわ!!お客の髪で笑ってたくせに!!」


店員「で、いかがいたしますか??」


加藤「もう何も任せねえ!!俺の指示で髪を切ってもらう!!」


店員「はい。わかりました」


加藤「まずは前髪を切ってくれ!!あーそこもう少し短めで。あーやっぱ、なんかそこ変ですわ、もっとバサッと切ってください!!」


店員「はい」


加藤「あ、これじゃあバランスが悪いな…そっちもバサッと切ってください」


店員「はい」


加藤「何だこの変な髪型!?後ろもっと切って!!あー今度は前がおかしい!!もっと切って」


店員「はい」


加藤「横もなんか変だ!!あーもうめんどくせえ!!横は刈り上げてください!!」


店員「はい」


加藤「バランスが悪い!!前も後ろもめっちゃ短めに!!そこちょっと刈り上げて!!」


~30分後~


加藤「おいテメエ!!丸刈りになっちまったじゃねえか!!」


店員「それは知らねーよ!!」


~完~

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