出された意味のある皿
よろしくお願いします。
寂れた洋館が昔からある。蔦の絡まる白くまるでひび割れた漆喰の壁はまるで幽霊屋敷で恐ろしい。
近くを通る度に、足を速めて通り過ぎる。そんな気持ちの悪い外観の洋館がずっとずっと昔からあった。
実はそこは喫茶店なのだが、これまた奇妙な店内サービスがある。
二人入れば、三名様ですね。と案内され、一人座れば、四人席に案内され、ナイフやフォークも、行った人数より多く出される、不気味な接客のサービスがあった。
だか、おかしな事にその洋館、今にも倒れ潰れそうなのに一向に潰れない。客もまばらで、儲けがあるようには誰からも見えない。
客が大金持ちなのか、というとそうでもない、普通の客だ。何を売っていたらそれほど潰れそうな洋館の喫茶店は存続できるのか。
幽霊が出る洋館、である喫茶店は今日も細々と営業している。
隣人トラブルもないそうだ。
それは、なぜか。
まぁ、考えれば容易に想像は付く。
喫茶店を営業する隣人とはおそらく…。
だから、あまり人が近づかない。そうなのかは、分からない。
しかし、そうでしかないのだろう。
寧ろ、そうではない場所の方が限られている。
それはつまり、幽霊屋敷の経営者が○○○だ、という事。
近寄り難い店であることに変わりはない。
だから、足早に通り過ぎる。
誰も彼も、近づきはしない。
因みに、メニューは普通料金で皿が多目に出されても追加はなしだそうです。
良心的ですね。
しかし不気味な喫茶店は潰れない。
怖い、怖い…。と、いう話を聞いた。
しかし、地元でセレブな事には変わりない。
しかし誰も関わりはしないのだった。
それはつまり何を意味するか。関わらない理由、しっかりとしてある。つまりそういう事。
そうだとしたら、入らないでいたい。
なのに、入ればいいと、隣人に勧められる。
果たして、どの人が僕の隣人で、どの人が新たなるトラブルを連れて来るのか…?
大変不気味である。
春の出会いには要注意。
少しでも、気を緩めトラブルを間近に感じたらそこで明るい人生からはお別れだ。
そんな恐怖と闘う僕なのだった。
いつ、どこで、見ているか、分からない。
怪しい人影が、その店の近くを彷徨いていると噂が立つ事もあるぞ。
頑張れ僕。
仕事するには人間関係も必要なんだ。そこで出会う人に初めから心を開けない事由はあるけれど、負けない。
この春の不安に打ち勝つ。
それでこそ、大人だ。社会人だ。
まずは…。
カランカラン!
カウベルが鳴る。よく分からない土地に来て新地を開拓せねばならない。
仲の良いパートナーは現れるのか。
この後、僕は出会う。
「実は、この十草の柄には縁起のいい意味があってーー」
皿の造り手である、オーナーに。
そして、自らも皿を生み出す、伝統技能工芸士になる未来がーーあるのかも知れないーー。
こんな小説に目を通して頂きありがとうございます。