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加藤との会話

「どうした?」

(じっと見つめてごめんね。それよりどうしたの?)


 俺に話しかけてきたということは、何か言いたいことがあるのかもしれない。


「【クラス対戦】も【魔高の戦い】は私の負け。私は何も出来なかった……。一ノ瀬くん凄かった」


 と、俯きながら、加藤さんは言う。これを言うためにあんな話しかけ方をしたのか!?

 

「初めてだ、あんなにも強い攻撃をくらったのは」

(初めてだよ。あんなにも強い攻撃を強い攻撃をくらったのはね。だから、何も出来なかったというのは違うよ)

 

 俺は、白波さんと戦ったときや佐藤さんと戦ったときにも、あんなにも強い攻撃をくらったことはない。

 あんな、凄い衝撃が走り、思わず体を止めてしまった攻撃など、あの腹パン以外くらったことはないのだ。


 まぁ、体を凍らされたことはあるが、俺的にはそれよりも、強い攻撃だと思う。

 だってあんなにも痛かったのだから。


「初めて?」


「ああ」

(ああ、そうだよ)


「うれしい」


 と、ニヤっと少し口角を上げながら加藤さんは笑った。

 その顔はとても可愛らしいもので、思わず見蕩れてしまう。


「ん?」


 と、俺が見蕩れてしまったため、ボーとしているのをおかしく思ったのか、加藤さんは首をかしげてこちらを見た。


「なんでもない」

(いや、なんでもないよ)


 こんな、可愛い女の子の笑顔を見たら固まっちゃうよね。

 それもあまり笑わなそうな女の子が笑うと余計に。


 今まで、加藤さんと会話した数は少ないが笑っているところは1度も見たことがなかった。

 それどころか、加藤さんはあまり表情も変えることもない。

 だから、俺は加藤さんの笑った顔を想像することなど出来なかった。

 そんな加藤さんがニヤっと少しだけ口角をあげるなど反則だろう。

 可愛すぎるに決まっている。


「ねぇ、一ノ瀬くん。私はこれから先、一ノ瀬くんに勝つことなんて1度もないと思う」


 と、加藤さんは、いきなりそんなことを言い出す。

 

「なに?」

(い、いきなり、なに言ってんの?)


 まだ、2回しか戦っていないのに、そんなことを言うなんて驚いてしまった。

 白波さんや佐藤さんは、絶対に俺を倒すのだと言っていたから、加藤さんも同じように俺を越えようとしてくるのかと思っていたよ。

 だけど、加藤さんは、俺に勝つことを諦めたのだなと少しだけ俺は、残念に思った。


「でも、また戦ってほしい。勝てる気なんて一切しないし、何度戦っても負けると思う。でも、それでも戦いたい。1度も勝てないからと、諦めたくない」


 と、いつもの眠気な目ではなく、キリッとした目で俺を見つめて言う。

 白波さんたちとは、違い俺に絶対に勝つとは思っていないみたいだが、俺とまた戦いたいと思っているのは同じなようだ。


 加藤さんは、勝てないと思っているが、それでも勝ちたいと思っている。

 白波さんたちとの違いは必ず勝つという気持ちがないことだと思った。


 もし、戦うとしたら、加藤さんは、きっと、勝てないと思っていながらも、それでも諦めたくないと必死で俺に挑んでくるだろう。


 俺は、そんな日を待ち望む。

 

  


 



 









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