プロローグ
「おい、お前どこの高校いく?」
「どこにしよう? お前は?」
「俺も悩んでる!」
俺は、教室の自分の机で寝たふりをしながら、そんな話を聞いている。
別に俺は、ボッチだと言うわけでは無い。確かに前世でも、今世でも友達は居たことないがボッチではない!!
さみしいな。
俺は、一度死に、生まれ変わっている。
まぁ、転生という奴だ。
俺は、転生した時、夢にまでみた異世界に行けたのかと思った。
だが違った。
俺は、また現代日本に生まれたのだ。
しかし、前世にはないものが今世にはあった。
「勇真は、魔高に行くんだよな!」
「うん、そうだよ」
魔高とは、魔道士育成高等学校という、【魔道士】を育成するための高校のことだ。
そう、今世には魔法があるのだ!!
俺は、現代日本に生まれたことで、絶望を感じていたが、魔法があるということを知った時は、唯一の希望を見つけた気分だった!!
まぁ、それでも異世界に行けなかった絶望の方が強いのだが。
「そういえば、このクラスに他にも魔法が使える奴がいるよな?」
「いたなぁ、名前なんだっけ?」
「えっとなんつったっけ? 誰かは、分かるんだよ。そこで寝てる奴だろ。名前出てこないけど」
と、俺を指差しながら言った。
てか、クラスメイトに名前覚えられて無いのね俺。
すごい悲しい……。
「一ノ瀬浩一くんだろ」
と、春川優馬が言った。
ありがとう春川!! お前は、俺の名前を覚えてくれていたのね!! 良い奴だな!!
「そうだよ!! 一ノ瀬だ! 一ノ瀬!」
「そうだったな!!」
「一ノ瀬も魔高に行くのか。てか、すごいなウチのクラス。魔法が使えるのが1000人に1人の確率なのに2人もいて!!」
「そうだな、そう考えるとやべぇな!! 勇真も一ノ瀬もすげえよマジで!!」
そうなのだ、魔法は、1000人に1人の確率でしか、使えない。
だから、俺はすごいのだ!! なのにクラスメイトに名前を覚えられてないけど……。
後、俺も魔高に行く。
ていうか、魔法を使える奴は魔高に行かなければ、ならない。
何故なら、国が決めたことだからだ。
「いいなぁ~。魔法が使えて」
「本当に羨ましいぜ」
「でも、魔法が使えると、【魔道士】にならなきゃいけないんだよ」
「いいじゃねぇか【魔道士】!! 【魔道士】は毎月何もしなくても10万ももらえるだろ!!」
「でも、それ以上もらうには、戦うしかないんだよ」
「そ、それはそうだが……」
そう、魔法を使える奴は、【魔道士】になる。
だから国は、【魔道士】を育成するために魔高に通わせるのだ。
【魔道士】の仕事は戦うことだ。
【魔道士】にならず、魔法で悪さをする奴を倒したり、【魔道士】たちで戦いあったりする。
【魔道士】には、順位があり、順位が高ければ高いほど給料が高くなる。
その順位を上げるには、【魔道士】たちで戦いあいポイントを上げて行くしかない。
ポイントは、【魔道士】たちで戦いあわなければ手に入れることができない。
そして、その戦いは、魔法が使えない一般の人でもテレビなどで見ることができる。
この世界では、その戦い【魔道士の戦い】がすごく人気なのだ。
「でも、やっぱり【魔道士の戦い】を見てると羨ましくなるよ」
「でも、それだけじゃないんだよ。他にも【悪の魔道士】と戦わなきゃいけないんだ。【悪の魔道士】と戦うと死ぬかもしれないんだよ」
魔道士にならず、悪さをする奴を【悪の魔道士】と呼ぶ。
その【悪の魔道士】を倒せば、報酬が出てお金が貰えるため、【魔道士の戦い】をしないで、【悪の魔道士】を倒しまくっている【魔道士】もいる。
まぁそうすると、ポイントが手に入らず順位が上がらないのだが。
「そ、そうだよな、【魔道士】には、命の危険があるんだよな……」
「が、頑張れよ勇真……」
「ああ! ありがとう頑張るよ!」
まぁ、確かに【魔道士】には、命の危険がある。
だが、俺は、【魔道士】になれることにすごく興奮している。
【魔道士】になれば、魔法を使うことを国が認めてくれるのだ。
それがすごく嬉しい!! 大好きな魔法を使えば使うほど、給料が上がるのだ!! 俺にこれ以上の職業はない!!
「勇真は、ソロで【魔道士の戦い】をするのか? それともパーティーで?」
「始めは、ソロでやろうと思っているよ!」
【魔道士の戦い】は、ソロもパーティーもある。
攻撃力がない魔法を使う人たちもいるので、その人たちがポイントを上げるには、パーティーを組むしかない。
だから、一対一の対決やパーティーでの対決もある。
なんてことを思っていると、外から大きな音が、聞こえてきた。
その音は、何かを壊すような音でみんな驚き、窓へと集まる。
俺も窓へと向かってみる。
そして、外を見ると一人の男がいた。
「お、おい俺あいつ見たことあるぞ……」
「お、俺も……。あいつ【悪の魔道士】だろ……」
「マ、マジかよ!! やべぇじゃん!!」
「おい、勇真なら勝てるか!!」
「無理だと思う……。一ノ瀬くんは?」
と、春川優馬が言った。
それに俺は、
「勝てる」
(多分勝てると思う。でも、初めての戦いで少し緊張してるからちょっと自身がないな……。でも、魔法が使えるのは、楽しみだ!!)
「そうか……。一ノ瀬くんは自信があるんだな……。すごいな……」
と俺は、言ったあと、外にいる【悪の魔道士】の元まで、窓からジャンプして向かった。
なんか、春川が小さい声で何か言ってたな?
なんだったんだろう?
「〈強化〉」
(〈身体能力強化〉!!)
俺は、着地をするとき〈身体能力強化〉を使った。
〈身体能力強化〉は、パワーやスピードなどを強化する魔法だ。
後、この世界の魔法は、一人一つしか使えない。
だから、俺は強化魔法しか使えないのだ!!
「あっ? なんだお前は?」
「倒す」
(俺は、魔法が使える中学生だ!! お前を倒す!!)
と俺は言った。
「あぁ? 俺を倒すだぁ~。舐めんな!! 炎!!」
【悪の魔道士】が炎の魔法を使って、俺に炎を放ってきた。
俺はそれを、
「〈強化〉」
(〈身体能力強化〉!!)
魔法で避ける!!
「ちっ!! 速ぇな!! 燃えやがれ!!」
俺が、避けられないように、全方位に炎が放たれた。
すごい火力だ。こんなに強力な魔法が使えるなんてこいつすごいな。
でも俺には、喰らわない!!
「〈強化〉」
(〈肌強化〉!!)
〈肌強化〉は、肌の強度を高め、防御力を上げるのだ!!
「なっ!? 傷が一つも付いてないだと!?」
「〈強化〉」
(〈スピード強化〉!!)
〈スピード強化〉は〈身体能力強化〉よりも速く動けるようになる!!
それで、相手に近づき、
「〈強化〉」
(〈パワー強化〉!!)
〈パワー強化〉は〈身体能力強化〉よりも力が強くなる!!
相手を思いっきり殴った!!
相手は、吹き飛び気絶したようで、身動き一つない。
ふぅ~。勝ったか!!
「つ、強いな、一ノ瀬くん……」
と、いつの間にか後ろにいた、春川が話しかけてきた。
「こんなに強いなら、自信があるのも分かるよ」
「ありがとう」
(自信があるってなんのことだ? まぁいいか、ありがとう!!)
この後、学校は【悪の魔道士】が入ってきたことにより、今日はもう帰ることになった。
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