第八話 別れの序曲
こんにちは。
魔弟から魔王に迫る死を知ったキュアリとナクル!
一体何故! 助かる道はあるのか!
そして赤ん坊の運命は!
どうするミライト! どうなる魔王!
それでは第八話「別れの序曲」お楽しみください。
玉座の間。
「だーぅ!」
魔王と勇者の間を行き来して、赤ん坊はご満悦だ。
「そうだ勇者ちゃん。天気も良いし、お昼まで赤ちゃんとお散歩してきたら?」
「え? 良い天気も何もずっと夜だけど」
「雨が降らなきゃ良い天気よ。それとも何? 夜に良い天気はないの? やだー夜差別ー」
女神の言葉に、勇者は笑いながら両手を上げて降参を示した。
「あーはいはい。行ってくりゃいいんでしょ」
「ぁー?」
「よーしこっち来い。散歩行くぞー」
「だーぅ!」
勇者に抱っこされ、歓声を上げる赤ん坊。
「すっかり馴染んだな勇者よ」
「おかげさんでな。じゃ、昼飯には戻るわ」
勇者が玉座の間を出て、赤ん坊のはしゃぐ声が遠ざかっていく。
「さて闇ちゃん」
「……分かっている」
「……そう」
「あぁ、我が身のことだしな」
「やっぱり闇ちゃんがお母さんよねぇ」
「!?」
想像と違った言葉に、表情を変える魔王。
「勇者ちゃんは刺激だけど、闇ちゃんは安らぎって感じだもんねー」
「何の話だ」
「だから勇者ちゃんと闇ちゃんのどっちがお母さんかって話で」
「……わざとらしく人払いをしたかと思えば……」
「ん? じゃあ何の話だと思ったの?」
「……」
魔王は沈黙した。それを語る事で確定してしまう未来を少しでも遅らせるように。
「私相手じゃ言いづらい? じゃここからは選手交代ね」
「……何?」
合図があったかのように、玉座の間の扉が勢いよく開く。
「魔王さん!」
「魔王」
「!?」
飛び込むように駆け込んできたキュアリとナクルに、魔王は一瞬たじろぐ。
「このままじゃ死んじゃうって本当ですか!?」
「話は魔弟から聞いた」
「……あのおしゃべりめ」
魔王の口から漏れた責める言葉は、どこか安堵と諦めが含まれていた。
「しかもその原因が……、あの……」
「……」
「……赤ちゃんだったなんて!」
沈黙が場を支配する。
そこに近づく足音。
「出来た! 出来たよ! 火炎魔法を極限までコントロールして、ついに最高のローストチキンがっ!」
『……』
「……あれ? 何この空気……」
フーリは皿に乗せた自信作を持ったまま固まった。
読了ありがとうございます。
フーリのローストチキン!
シリアス「ぐわあああーー!!」
し、シリアース!!
さておき赤ん坊の話を。
ビタミンやカルシウムの生成等で、赤ん坊の健やかな成長に日光は欠かせません。
とはいえまだ肌の弱い赤ん坊には日光の刺激が強過ぎる場合がありますので、窓越しの日光浴や、日陰での外気浴などから慣らしていくと良いですね。
……夜しかないこの世界ではどうしてるんでしょうか?
あ、陽の光が無くても育つ植物があるんだから、その中に必要な栄養が含まれている事にしましょう。今決めた。そう決めた。
それでは次話もよろしくお願いいたします。