第七話 不穏な邂逅
おはようございます。
赤ん坊のために魔王城に住む事になった勇者一行!
女性陣にはそれ以外にも目的がありそうですが!
果たして赤ん坊はミライト以外にも懐くのか!
そしてややこしい想いの行方は!
それでは第七話「不穏な邂逅」お楽しみください。
「よーし! 洗濯終わり!」
キュアリは洗濯桶から手を離し、大きく伸びをした。
「お疲れ様。やはり貴女の風魔法を活用した洗濯だと早い」
「あ、ナクルさん。ご飯の用意はもういいんですか?」
キュアリが声をかけると、近づいてきたナクルには手をひらひらさせて答える。
「今日はフーリが凝ったものを作りたいとの事だったので、薪だけ割って任せてきた」
「楽しみ~。フーリさん凝り性だから、本当に美味しいんですよね~」
「同意」
うっとりするキュアリに、ナクルも頷く。
「では昼になる前に干してしまおう」
「ありがとうございます! じゃあこっちのをお願いします。全部干したら風魔法で一気に乾かしちゃいますから」
「了解」
二人はシワを伸ばしながら、城の庭を洗濯物で彩っていった。
キュアリとナクルは、乾いて畳んだ洗濯物を持って城の廊下を歩く。
「流石は魔王の城、広いですよねー。中庭からお部屋に戻るのも一苦労です」
「それにしても静か。この一週間、まだ魔王以外の魔物に出会っていない」
「あ、会わないなら会わないでいいじゃないですか」
「しかし赤ん坊の泣き声で眠れない程度なら、この一週間で誰も姿を見せないというのは不自然」
「ナクルさん、そ、そういう事を言うと……」
廊下に響く重い扉の軋む音。そして、
「……ぐぅ……」
扉に寄りかかるように廊下に出る巨大な影。
「!」
「ほら来た! ほら出た!」
「だ、誰だ……。魔王様では無いな……?」
二人はその姿に見覚えがあった。
咄嗟に洗濯物を置いて身構える。
「……!」
「私達の世界の魔王……! た、倒したはずなのに……!」
「人間……!? という事は勇者一行か……。儂はお前達の世界に侵攻した魔将軍の弟だ。魔弟、とでも呼ぶがいい」
「魔弟……」
「言われてみれば少し違う、ような……」
ナクルとキュアリに困惑の色が浮かぶ。
しかし警戒は崩さない。
「お前達がここにいるという事は、魔王様と戦ったのか……!」
「……」
ナクルは黙ったまま考える。
現状を正直に話すべきか?
魔王が健在とあれば、敵対する可能性は少なくない。
ならば魔王は滅びたと偽って降伏させるべきか?
しかし弔い合戦となれば命のやり取りになる。
どちらを選ぶべきか……。判断するには情報が少なすぎる。
「いや、まだ戦っていないですよ? 赤ちゃんの事が解決するまではって……」
「!」
悩んでいる内にキュアリが答えてしまった。
魔弟の表情が変わる。臨戦体制に入るナクル。
「赤ん坊の存在を知ったという事は、魔王様のバリアは破られたのか……! 何という事だ……!」
「……?」
戦闘になるかと思っていたナクルは、頭を抱えた魔弟に拍子抜けする。
思わず素直な問いが口を衝いた。
「どういう意味?」
「……このままでは、魔王様は……」
魔弟は悲痛な声でその問いに答える。
「……死ぬ……!」
読了ありがとうございます!
シリアス「ふふふ、蘇ったぞ……!」
ちなみに闇の世界なので、常に夜です。
日光がないので、洗濯物が実に乾きにくいです。
キュアリのように魔法が使えなければ、暖炉のある室内干しの方が早いと思います。
洗濯にも乾燥にも使える風魔法、便利ですね!
それでは次話もよろしくお願いいたします。