第六話 光に導くために
こんばんは。
赤ん坊はミライトに懐いた!
明かされる女神の加護の力!
そして女性陣のミライトへの好意も!
嫉妬の神の降臨はまだか!
それでは第六話「光に導くために」お楽しみください。
一通り遊んで赤ん坊が落ち着いたところで、ミライトは三人と女神の元へと赤ん坊と共に戻った。
ご機嫌な赤ん坊は、見知らぬ人が増えていても泣く素振りすらない。
「よーし、これだけ慣れたなら、問題は解決だな。なー?」
「ぅあー」
ミライトの言葉に、赤ん坊が呼応する。
その姿をキュアリとフーリは複雑な顔で見つめる。
「うー……、赤ちゃん……。抱っこしたい……」
「やめておけ。また泣かれるぞ……」
そんな楽観的な空気を、ナクルがピシリと締める。
「何も解決していない」
「えっ」
「ミライトが赤ん坊を連れていったら、魔王を倒すのは誰」
「……あー」
「産まれてすぐ魔王に捧げられ、人と会うのは私達が初めて。魔王の城から人の街という大きな環境の変化の中、他人に預けてすぐ戻る。そんな事ができるの?」
少し強い語気には、ミライトへの信頼とナクルの優しさがにじんでいた。
「悪ぃ……」
ミライトは赤ん坊の頭を優しく撫でる。
「……うー?」
「そうだよな。早く魔王を倒したいって、そりゃこっちの都合だもんな。お前の事、ちゃんと考えてやらないとな……」
「あーぅ」
言葉の意味は分かってはいないだろう。
だが赤ん坊は満面の笑みで微笑んだ。
「ミライト様……」
「お前という奴は……」
「それでこそミライト。でも現状は振り出しに戻った。再検討が必要」
「うーん……」
悩む四人に神の御手が下され、
「そしたらもうみんなでここに住んじゃえば?」
『!?』
場は凍りついた。
「な、何言ってんだ女神様」
「……そ、それは……」
「いくら何でも突拍子もない話で……」
「成程」
戸惑う三人をよそに、ナクルは一人納得する。
「女神貴様……」
「あら、これしかないと思うけど? 闇ちゃんの城しか知らない赤ちゃんを、無理なく人に慣れさせる手、他にある?」
女神の言葉に反論できる者はいなかった。
「……ぐぬ」
城の所有者である魔王も、悔しそうに口を曲げるだけだ。
「そ・れ・に」
「ぅゆ……」
ミライトの腕の中で、目をこすり始めた赤ん坊に目を向けながら、女神は女性陣にささやく。
「赤ちゃんと触れ合う内に高まる結婚願望……」
「!」
キュアリがピクリと反応する。
「『俺にもいい人がいれば……』と憂いた目に映る、心許せる女……」
「!」
フーリの目に火が灯る。
「いつもと違う共同生活は、閉塞した関係を変えるかも……?」
「……」
ナクルの表情は変わらない。
「さ、どうする?」
「賛成!」
「賛成!」
「同意」
女性陣の意見で過半数を超えた。
「まぁ仕方ないか……」
「……うぬ……。止むを得ぬか……。空いている部屋に案内する。着いてまいれ」
玉座を後にする五人。一人残った女神は、
「面白くなってきたわぁ」
さも楽しそうに微笑むのであった。
読了ありがとうございます。
赤ん坊の不思議を一つ。
寝付きそうなので歩きながら揺すって抱っこしていると、目を閉じてだんだん動かなくなる。
寝たかなー、と足を止めて揺するのを止めても反応なし。
ようやく寝たかとゆっくり座ると、急に目を覚まして泣き出す。
座ったまま揺すっても機嫌が治らない。
仕方なく立つと収まる。座ると泣く。
……目、閉じてましたよね……?
高さ感知センサー内蔵赤ん坊には皆様もご注意を。
それでは次話もよろしくお願いいたします。