第二話 涙に拒まれて
お昼の投稿です。
最終決戦の玉座の間!
しかし魔王の腕の中に赤ちゃんが!
何とかしないと魔王と戦えない!
勇者達の選択は!
それでは第二話「涙に拒まれて」どうぞお楽しみください。
最終決戦を中断され、魔王は不満げな声を上げる。
「貴様等は我と戦う為にこの場に来たのではないのか」
「そうだけどよ! お前が抱っこしたまま戦って、俺達の攻撃が赤ん坊に当たったらどうすんだ!」
ミライトの指摘にも、魔王は一切の動揺を見せない。
「問題ない。赤ん坊には最上位の防御魔法と耐性魔法を重ねがけしてある。貴様等には傷一つ付けられん」
「でも泣く。音と衝撃だけで間違いなく泣く」
ナクルの指摘に、魔王はぴくりと身体を揺らした。
「……良かろう。ここは矛を引いてやろう」
「泣き声の中で戦う訳にはいかないもんな」
その言葉にミライトも剣を納めた。
「それにしてもどうするミライト。この子のことが解決しなければ、魔王討伐が滞る」
「うーん、どうすっかなぁ……」
ナクルの言葉に、ミライトは頭を抱える。
「そうしたら私のいた教会はいかがですか?」
「成程! あそこは身よりのない子を受け入れていたな!」
キュアリの言葉に、フーリも相槌を打つ。
「そしたら一度戻って、赤ん坊を預けたら決戦だ! どうだ魔王?」
「え? あぁ、うむ……」
ミライトの提案に、言い淀む魔王。
「何だ? 歯切れが悪いな」
「とにかく魔王さん。赤ちゃんをこっちに渡してください」
「う、うむ……」
キュアリが魔王の腕に抱かれた赤ん坊に手を伸ばす。
「うぶぅ……」
「かっわいー! こんにちはー! おねーさんでちゅよー!」
「ふぇ……」
「おいキュアリ、様子がおかしいぞ」
「……ぇぐっ、ひぐっ、ひぐっ……」
「あれ? うそ何で?」
「ぃぎゃあああぁぁぁ!」
赤ん坊は猛然と泣き始めた。
「キュアリ」
「ち、違いますよナクルさん! だ、抱っこしただけですよ! よちよち、泣かないで~、いい子いい子」
「ぁぎゃあああぁぁぁん!」
「何しているんだキュアリ。こっちへ渡せ。……こういう時は身体に密着するように抱いてだな……」
「ぅえっ、ぅえっ、ふぇっ、ゃあああぁぁぁ!」
「あ、あれ!?」
「フーリさんもダメじゃないですか!」
キュアリとフーリが慌てふためいているのを見て、魔王が溜息をついて手を伸ばす。
「一度戻せ」
「ふぇっ、ふぇっ、ぇっ、ぇ、……ぅあ」
「マジかよ、泣きやんだ……」
「起きている時に降ろしたり部下に任せようとすると大体こうだ」
「……こりゃ簡単にはいかないな……」
頭を掻くミライト。その袖を引くナクル。
「ミライト」
「何だナクル? いい手でもあるのか?」
「とりあえず二人へのフォローをお願い」
ナクルの指さす方を見ると、キュアリとフーリが魔王のまとっていたものと同等か、それ以上の闇のオーラを撒き散らしていた。
「ふふっ、私この戦いが終わったら、お母さんになるんだぁ……。ふふふ……」
「やはりこんな知識だけで魅力の皆無な私には子どもに好かれるなど無謀な話であった訳で愛情と言う物は言語や文章で知るには深淵に過ぎると言う事なのかも知れないだとしたら私には手に入る訳もなく」
「赤ん坊泣き止ませるより難しくないかこれ……」
ミライトは再び頭を抱えた。
読了ありがとうございます。
人見知りが始まった赤ちゃんが、火がついたように泣いていたのに、お母さんに抱っこされた途端泣き止むのホント可愛い。
次話もよろしくお願いいたします。