第十八話 わだかまりは荒療治で
こんばんは。
作戦は当然のように失敗した!
しかしそれをきっかけに踏み込んだ話題に!
ミライトの真意はどこにあるのか!
そして想いの行方は!
それでは第十八話「わだかまりは荒療治で」お楽しみください。
「まぁ覗きの件は女神様だからしょうがないとして……」
「わーい、許されたわ☆」
ミライトの溜息混じりの言葉に女神は正座を解こうとして、
「反省はしてくださいよ!?」
「そもそも女神様は、光あるところならどこにでも行ける顕現の能力を悪用し過ぎなんですよ!」
「諦められている事実をもっと深刻に受け止めるべき。正座」
「……はい」
再び正座に戻された。
「それで何だミライトよ。確認したい事というのは、そんな瑣末な事ではあるまい」
ナイクの促しに、ミライトは恐る恐る口を開いた。
「……その、俺なんかと暮らしてて楽しいか?」
『!!』
ミライトの言葉に、キュアリとフーリが猛然と立ち上がり、肩を怒らせて詰め寄る。
「え、ちょ、何?」
『ばかぁ!』
「ぐわっ!?」
二人の拳が刹那のズレもなく、ミライトの顔面に叩き込まれる。
「きゃーう! だーう!」
派手に転がるミライトを見て、何かの遊びと思ったレイは手を叩いて喜ぶ。
「い、痛てて……。な、何急に?」
「……」
起き上がったミライトの前に、ナクルが拳を構えて立つ。
「……ばか」
「ぎゃふっ!?」
その一撃に壁まで吹き飛ぶミライト。
「あらまー、勇者ちゃん生きてるー?」
「……」
「返事がないわね。ただの屍になったかしら?」
その言葉に殴った三人が慌てて駆け寄る。
「ご、ごめんなさいミライト様! 蘇生魔法!」
「やり過ぎた! 全快魔法!」
「済まないミライト。感情が抑えられなかった」
魔法の光に包まれ、ミライトは身を起こした。
「あれ? 綺麗な川とお花畑は?」
「おお勇者ちゃんよ! 死んじゃうなんて情けないわ!」
「情けないのは同意だな」
ナイクは呆然とするミライトの腕に、レイを抱かせる。
「みー! みー!」
「え、えっと?」
戸惑うミライトを、ナイクは仁王立ちになって見下ろす。
「何を小難しく考えている。共に居て嬉しいという気持ちはそんなにも理解し難いものなのか?」
「え、いや、でも、俺……」
「みー!」
「……レイ」
腕の中ではしゃぐレイ。
共にいて嬉しい、それを全身で表現するレイを、ミライトはぎゅうっと抱きしめる。
「みー?」
「……皆、ごめんな。俺、皆の気持ち、ちゃんと考えてなく、てっ?」
「たーい! たーい」
落ち込むミライトの頬を、レイがぺちぺちと叩く。
「レイちゃん、大丈夫って……」
「ミライトを励ましてるんだな……」
「ミライト。貴方の抱えているものを教えてほしい」
「人の心の機微など分からぬが、話を聞いてやれぬほど野暮でもない」
「皆……!」
涙ぐむミライトに、女神が優しく微笑む。
「どんな話でも最後まで全部聞くわよ勇者ちゃん。……だから、ねーそろそろ足崩していい?」
『ダメ』
キュアリ、フーリ、ナクル、ナイクの声が完璧に揃った。
読了ありがとうございます。
シリアスがモグラ叩きみたいになってますね。しぶとい。
そんなシリアスには、四月咲 香月様の作ってくださったこのナクルにやってもらいましょう。
……強い(確信)。
ミライトを殴った時は違う装備であったと願いたいです。
そしてレイは天使。まじ天使。
ちなみにもう誰に抱っこされても泣かなくなりました。
ただ当然好みはあって、一位は当然ナイク、二位はミライトで、三位は意外にもナクル。必要以上に構わないのがレイの興味を引くみたいです。
四位はキュアリ。好き好きオーラが出過ぎて軽く飽きられてます。少し距離を取ると再度興味を持たれるかも。
そして最下位は、ごめんなさいフーリ。知識が先行するのと、失敗してはいけないという緊張がレイに伝わっています。リラックスができればランクアップも狙えるかも。
女神? 抱っこしないんで分かりません。
それでは次話もよろしくお願いいたします。




