第九話 スライムとイベント開催②
最後の会議を書き換えました。助言感謝します。
「ギャァーーン!!」
ドラゴンの力強い鳴き声が全体へと響き渡る。
「お前ら、行くぞ!」
多くの人が動けていない中、ライム達の隣のグループが動き出す。三人は剣を構え、ドラゴンに一斉に駆け出した。
「俺らも行ったほうがいいんじゃ…」
ケンがその様子を見て、焦る様に二人に確認を取る。
「ダメよ。あれを見てみな。」
ルイの目はいつもの優しい目から力強い目へと変わっていた。
ケンはルイの言葉を聞いて、ドラゴンの方へ振り返る。すると、先程駆け出していた三人組へドラゴンは右手を振り上げ、そのまま三人組を薙ぎ払っていた。吹き飛ばされた直後、三人組はキラキラと光り、村へと転移した。
「一撃かよ…。」
その光景を見て思わずケンはそう口に出す。
そのグループを見ていた他のグループは近距離戦はダメだと、すぐさま遠距離の魔法攻撃を始める。
20秒程その攻撃が続いたが、砂埃が立っていてドラゴンのHPがどれ程減っているのかは見ることが出来ない。
「あれだけ攻撃を受けてるのに体力が全然減ってないよ。」
砂埃が収まり、ドラゴンのHPを皆が確認をするが、ドラゴンのHPはほんの少ししか減っていなかった。
「おいおい、どうやってアイツを倒すんだよ。」
そんな声が周りからは飛び交う。そんな中、ルイは何も言わずにドラゴンの元へ駆け出した。ドラゴンはルイに背を向けている為、ルイに気が付いていない。
「えっ!?ルイさん。」
ライムの声も虚しく、ルイは走り続ける。
ルイは手に持つ剣を使いドラゴンに攻撃を仕掛ける。ルイは攻撃をした後、急いでライムとケンの元へ引き返す。
「ルイさん。大丈夫ですか?」
「なんとかね。それよりあれを見てみな。」
ルイの攻撃を食らったドラゴンのHPを見ると、先程受けていた魔法攻撃よりも二倍程多くHPが減っていた。
「凄い…どうしてあんなにダメージを?」
「ちょっと耳貸して。」
ルイはライムとケンのみに聞こえる程の声で喋る。
「えっ!?背中が弱いの?」
「おい!声がデカい。」
「あっ、ゴメンゴメン。」
幸いどのグループも聞いていない様だ。ルイに詳しく聞いた所、ドラゴンは後ろからの攻撃のみしかダメージを受けないらしい。さらに背中は盲点らしく、隙も大きい。
他のグループはその後も魔法攻撃を連続して発動するも、ダメージが中々入らず、MPを消耗していく。
「行けっシンバ!乱撃爪。」
ライム達のグループはドラゴンが背を向けたタイミングを狙い何度も攻撃を重ねる。
そんな攻撃を何度もしていると、他のグループも背中が弱点である事に気づく。しかし、MPを消耗しすぎスキルを打てずにダメージもあまり入らない。
「疾風突き!ラス、体当たり!」
そうして、ドラゴンのHPは半分を切る。誰もが、優勝はライム達のグループだと思った。その時、ライム達がいる真反対のグループが輝き始める。
「何あれ…」
ライムは目を凝らすとそれが剣である事が分かった。
「何あれ?光を集めてる…?」
剣の輝きが強くなり、直視出来ない程までになった時、剣は振り下ろされる。それと同時に光の波動の様な物が現れる。
「わっ!?」
辺り一面、光で覆われ周りを見る事が出来ない。その中でドラゴンの悲鳴の様な声だけが聞こえてきた。
「何で村なんだ?俺らドラゴンと戦ったたはずなのに…」
光がなくなり、目を開けるとそこは村であった。周りを見ると、他の参加したユーザー達も困惑していた。
しかし、参加していないユーザー達は呆れる様に笑っていた。
「どうやら、ドラゴンが倒されたみたいだね。」
ルイが状況を整理する。
「いや、でもあの一撃であのHPを!?」
ユーザー達が困惑している中、最初と同様の老人が参加したユーザーの画面に現れる。
『皆の者、今日はよくドラゴンを倒してくれた。感謝する。順位の詳細は掲示板を見るがいい。では、次のイベントまでさらばじゃ。』
その言葉を聞いて、大勢のユーザーが掲示板に集まる。
「ハハ、流石だな。」
「あれは敵わないぜ!」
多くの人は掲示板を見ると、そんな声を上げてログアウトをする。
ライム達も掲示板を確認する。
【掲示板】
ドラゴン襲来イベント終了!!イベントによる順位決定!!
順位結果
1位 代表者名 イヴァン 与えたダメージ47%
2位 代表者名 ライム 与えたダメージ39%
3位 代表者名 マーク 与えたダメージ5%
4位 代表者名 ナナ 与えたダメージ3%
5位 代表者名 レオン 与えたダメージ1%
6位以下のグループは1%にも満たないダメージだった為、順位がない。その為、報酬も5位までとする。
「マジかよ…2」
「やったぁ!!2位だぁ!!」
ケンが悔しみを言葉に出そうとした時、その横でライムがガッツポーズを決めていた。
「お前、よく喜べるな。」
「だって2位だよ!?凄い事だよ!?そうですよね?ルイさん。」
「フフ、そうね。」
ライムの言葉に微笑むルイ。
「まぁ確かに。でも、ルイさんの足を俺引っ張って…」
「あっ、私も。ごめんなさい。」
「何を言っているの。貴方達がいなければ私は参加もできなかったのよ?こちらこそ感謝してるわ。」
「それにしても、今回のイベントにランキング2位の方がいなくてラッキーだったな。」
三人はその後、経験値ダンジョンに向かい、レベルを上げた後、ログアウトを済ませた。
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土曜日の午後 運営会議
「今回のイベント、あれはダメじゃないか?」
「でも、仕方がないわ。ドラゴンの弱点に皆全然気づかないのだから。」
「それもそうだけど、一番はあのイヴァンの強さだよ。大技とはいえ、アレは威力が高すぎる。」
「修正するしかないか?」
「そうだな。今回のイベントでシーズン1が終わる。シーズン2に入る時に、バランス調整をするとしよう。」
「そうしよう。」
イベント後の運営会議は通常よりも白熱する議論となった。
読んで下さり、ありがとうございます!
次からはシーズン2が始まります。どんな展開が待ち構えているのか、見て下さると嬉しいです。
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今回のいらない一点豆知識 ドラゴンの正式名称
レッドドラゴン!!