第四十五話 スライムと対立
……………………(察してくれ)
「決勝戦、開始!!」
決勝戦にいるユーザー一覧
ヘクター ランキング9位 Aブロック優勝
ケン ランキング外 Aブロック敗者復活
ライム ランキング外 Bブロック優勝
ワカバ ランキング4位 Bブロック敗者復活
マーク ランキング6位 Cブロック優勝
シモン ランキング外 Cブロック敗者復活
レオン ランキング10位 Dブロック優勝
フランク ランキング外 Dブロック敗者復活
ブライス ランキング5位 Eブロック優勝
エドガー ランキング外 Eブロック敗者復活
計10人の選手達はスタート合図が出されても、お互いにガンを飛ばしあって動きを見せない。
初めに動きを見せたのは、炎の迷宮同様にマークだった。
何も言わずに走っているが、明らかに標的はライムだと全員がわかる。
マークは不気味な満面の笑みを浮かべて走ってくるので、ライムとワカバは思わず「うわぁ」と言ってしまう。
「大丈夫か? ライム」
「うん。マークは私一人でやらせて」
ライムの言葉に、ケンも頷く。
マークが走り出したのを境に、他のユーザーも近くのユーザーと戦闘を始める。
「ワカバさん。私と勝負をしてくれませんか?」
ワカバの元へやってきたのは、ランキング5位のブライス。行儀良くワカバに頭を下げる。
「いいよ。でも、ボコボコにされないように気をつけてね」
「ハハッ。頑張ります」
「よし! 俺も勝負がきたぜ」
ケンも襲いかかってきたエドガーと対戦をする。
「〝ファイアーボール〟」
ライムはマークが程よい距離まで近づいてきたのを確認すると、挨拶感覚で〝ファイアーボール〟を発動する。
しかし、ライムの手からは炎が一切出てこない。
『エラーが発生しました』
「え、なに? バグってこと?」
「喰らえ! 〝爆破斬〟」
突然のエラーに混乱していると、そこにタイミング良くマークが到着して、威力の高い〝爆破斬〟をライムは受けてしまう。
「〝風壁〟」
マークのグリフォンは風でライムとマークを囲うように壁を作る。他の相手が簡単に邪魔しないようにする為だ。
「どうして私のことをそんな嫌うの?」
「あ? どうしてだと?」
言わなくてもわかるだろと目で訴えるマーク。
「もしかして、まだ炎の迷宮のこと引きずってる?」
「誰のせいで俺の評価が落ちたと思ってる」
ライムは心の中で「自業自得だろ」と呟く。
「まぁいいや。でも、今回も……」
ライムは鋭い目つきへと変わる。
「勝つよ!」
「やってみやがれ」
それぞれの敵が決まり、あちこちで対戦が始まる中、レオンは何故か端で様子を伺っていた。
「おい、アイツ何やってんだよ」
「戦えよ!」
観客席からブーイングが飛ぶと、レオンはそこを目掛けて魔法攻撃を放つ。
闘技場の観客席には透明な壁があるから防げたものの、その光景にブーイングを飛ばしたユーザーは驚きを隠せない。
しかし、放った当の本人は手が滑ったといわんばかりに両手を上げている。
レオンはタイミングを見計らっていた。絶好のチャンスを。
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