第四十一話 スライムとBブロック 決着
「Bブロック決勝、スタート!!」
レフェリーの声が闘技場全体に響き渡る。
「キシ。出ておいで」
それと同時に姿を現していなかったお供をワカバは召喚する。
その姿を見たライムは、初めてケンのお供、シンバを見た際と同じような衝撃を受ける。
「カッコいい……」
ワカバのお供は麒麟。馬のような形をしていて、顔はドラゴンのように凛としている。そして、体の周囲から雷が発生していて、それが中二病心をくすぐる。
ワカバはサッと麒麟こと、キシの上に乗り、腰に付けていた鞘から刀を取り出す。
日本刀のような形をしている刀を持ち、馬のような麒麟に乗るワカバは武士のようだ。
「来ないならこっちから行くよ!」
「えっ? あ、ちょ」
麒麟とワカバに見惚れていると、ワカバはライム目掛けて突撃をする。
「〝一刀断〟」
恐ろしく速い刀を間一髪のとこで躱す。
「やばい、やばい」
ライムもラスのスキル〝自由変化〟を使って対抗しようかと考えたが、強いモンスターへの変化は決勝戦にとっておきたい。
しかし、使わずにこの試合に負けたら本末転倒。
「使うしかないか」
ライムは〝自由変化〟を使う決意をする。問題はどのモンスターに変身するのか。中途半端な強さのモンスターではワカバ程の強者には倒されてしまう。
「うん。これに決めた! ラス〝自由変化〟《ブルーリザードン》」
瞬く間にライムはぐんぐんと姿を変え始める。
観客席もワカバも何が起こるんだと言わんばかりにそれを見つめる。
「ブルーリザードンって嘘でしょ」
ワカバは笑いながらそう言う。
ブルーリザードンは上級者複数人で倒すモンスターであり、4位と圧倒的な差をつけている3位以上のユーザーならやっと一人で倒せると言われている。
「大丈夫かな」
しかし、過去に一人でこのブルーリザードンを倒した経験があるライムは倒されてしまわないか心配で仕方がなかった。
「チャレンジしてみよう。うん!」
ライムは自分のほっぺたを叩くと、ブルーリザードンのスキルを記憶から引っ張り出す。
「ラス〝青炎〟」
ライムの声を聞いたラスは口からワカバ目掛けて青い炎を吹き出す。
「いや、負けない! 頑張って、勝つ!」
呆気に取られていたワカバも気を取り直して炎を躱そうとするが、速い麒麟ですら時々炎に触れてしまう。
ダメージが蓄積されていくキシ。ワカバはまずいと思い、近距離に一気に近づく。
「〝月天刀〟」
ワカバの中で、最もMP消費の高く、火力の高いスキルをラスにぶつける。
その速さにラスも対応出来ずにスキルを受けてしまうが、ブルーリザードンも簡単には倒れない。スキルを食らっても物怖じせずにワカバとキシに尻尾で反撃をする。
ラスにとっては普通の攻撃かもしれないが、それを食らえばHPはほとんど削れてしまう。
キシは〝青炎〟によって、ダメージを多く受けていた為、耐えきることが出来ず転移される。
「ハハハ。ライム強すぎ」
ラスの二度目の〝青炎〟によって、Bブロックの決勝戦は決着した。
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「おめでとうございます! Bブロック優勝です!」
司会から褒められるが、実感は一切湧かない。
何故なら、最後はすっかりラス頼りになっていた為、自分は何もしていない。
「運が良かっただけですよ」
インタビューでライムはそう答える。周りのユーザーは謙虚な答えだと捉えるが、ライムは本気でそう思っていた。
実際、ライムが最初に躱したスキルは過去にアニメで同じような技を見ていたので、運良く躱せていたのだ。それがなければ、そのままワカバの流れに呑まれてやられていたかもしれない。
「ワカバに会ったら謝ろ」
ライムは真剣に申し訳なく思っているが……
勝者が敗者に謝るのは煽りにも見えるから、やめたほうがいいよ!
後書きまで読んでいただきありがとうございます!
若葉と青葉って言われて、皆さんはどんな葉を思い浮かべますか?
私は……青い葉ですね(何も思い浮かばなかった)
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