第四十話 スライムと友情
「おかしぃな〜」
「ライム、どうしたの?」
ライムは珍しく考え事をしていた。
「それがさ、決勝戦までアオバと当たらなかったでしょ? でもケン、友人が言うには決勝戦は別の人なんだよ」
「……」
アオバはそれを聞くと、少し困った顔を見せるが、決心したようにライムに話す。
「ずっと黙ってたんだけど、私、アオバじゃなくて、本当はワカバなんだよね」
「でも、どうして嘘を?」
ライムは少し悲しそうに言う。
「私ね、今、順位も上がってきて色々な人から特別扱いされて。それが嫌だったの。だから、ライムと会った時、この人にはワカバではなく、私自信を見て欲しいなって思ってさ」
「そっか」
アオバこと、ワカバは今にも泣きそうな声で言う。
「おかしいよね。こんな私となんかいたくないよね」
「なんで?」
「え?」
ワカバはライムの言動が理解出来ない。
「だって」
「だっても何も、アオバは私の友達、アオバはワカバ、じゃあワカバは私の友達。でしょ?」
ライムは国語の授業で最近やったばかりの三段論法を使って凄いだろと言わんばかりのドヤ顔をキメる。
「うん!」
ライムの言葉を聞いて、ワカバの顔にも笑顔が戻る。
「でも、今からワカバと勝負か〜。私、絶対負けないから!」
「なんだと!? 私だって負けないぞ」
楽しく話している姿ははたから見ると、微笑ましい少女達であった。
「Bブロック決勝戦! ワカバVSライム!!」
司会がそう言うと、観客席からは「イケー!」「ガンバレー!」や「ピュー!」と言った指笛なども聞こえてくる。
「いよいよ決勝戦がやって参りました。南門に立つのは順位を次々と上げていくワカバ」
ワカバは慣れた様子で観客席に手を振る。しかし、その顔は心から笑っていない。
「対する北門に立つのは、数々の波乱を起こしてきたライム」
ライムは「波乱ってなんだっけ?」と首を傾げる。
「勝つのは一人のみ! 両者の準備が整ったようなので、決勝戦を開始します!」
司会に合わせて観客席もカウントダウンをする。
「Bブロック決勝、スタート!!」
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「この試合、君はどちらが勝つと思う?」
「流石にワカバだろ」
観客席には姿が分からないように変装をしているランキング1位のイヴァンとランキング2位の男がいた。
二人は何故か今回の大会には参加をしていなかったので、一部のユーザーは疑問に思っていた。
「僕はライムだと思うよ」
「名前も聞いたことねぇアイツが?」
「君はそうかもしれないな」
「いかにも知っているような口ぶりだな」
「さあね」
ランキング2位の男はイヴァンを少し怪しむように睨む。
「まぁいい。その、ライスとやらがワカバに負けたら、お前、俺にラビリンスの実を奢れよ」
「ガキか」
イヴァンは男からライムに視線を戻すと、普段の目から、面白いものを見るような目へと豹変した。
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