第三十五話 スライムと決意
1日遅れてしまい、申し訳ありません。
「闘技場……」
シーズン3開始から少しすると、新マップが現れる。そして、この新マップ登場は同時に大イベント決定を意味していた。
事前から大きなイベントが始まると運営から知らせがあったが、詳細は知らされていなかった。
「ねぇケン、これって最近授業でやったコロッセオだよね?」
新マップ名は闘技場だが、見た目は完全にコロッセオをモデルに出来ている。
「えっ」
「えっ」
ケンはライムと違って、ライムの言葉が引っかかった。
授業をよく寝ているライム、更には二番目に睡魔が強いであろう社会の授業を聞いていたという衝撃の内容を受けて声を漏らしてしまう。
「なんか嫌なこと言われてる気がする」
そんな心の声を受け取ったのか、ライムは膨れっ面をする。
「ま、そんな事より、この大イベントに向けて俺らも強くならないと」
「そうだね。今回はケンとも対決するかもしれないし」
「確かにな……」
ライムがケンの顔を見ると、見てわかる程に嫌そうな顔をしていた。
「そうなっても、お互い、全力で!」
「おう!」
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「クソがっ! アイツのせいで」
八つ当たりのようにモンスターを倒す男性と、その暴言を横で聞く男性がいた。
「マーク。お前いつまで言ってんだ」
「ぅるせぇ! レオンはあのガキに負けて悔しくないのかよ」
「悔しいも何も、俺はお前にやられて負けたんだ」
レオンはマークに呆れる。
この二人は仲が悪そうに見えて、意外と一緒に居ることが多い。
「ただ、あの子のお陰で俺らの順位はガクッと落ちてしまった」
レオンが言ったように、名前の挙がっていないライムに負けた事を受けて、マークは6位、レオンは10位へと降格していた。
「そういえばよ、次の大イベントは闘技場やるんだってか? 今度はきちんと始末してやらねぇとな」
手の指の骨をポキポキと鳴らすマークの横で、レオンは何かを憎んでいるような真っ黒な目をしていた。
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「きたぁ!」
運営からの大イベント詳細が発表される。
「てっきり全部大人数でやると思ってたんだけどな」
その内容は簡潔にまとめると一対一の勝負。
人数に応じてブロックが決められ、そこのブロックから二人のみ決勝戦に挑むことが出来る。決勝戦、そして敗者復活戦のみ大人数でやるようだ。
「優勝報酬は……」
掲示板に書いてあった優勝報酬は一部のユーザーには驚愕のものであった。
「スキルの書……ライム、もしかしてこれって」
「うん。隠しダンジョンの」
ケンは過去にライムが言っていたスキルの書の存在、そして〝自由変化〟の存在を思い出す。
「しかも優勝は二枚。これは誰でも欲しがるよ」
ライムがそんな事を口に出すが、周りのユーザーはそんな事は無かった。
「スキルの書? 知ってるか?」
「いや、聞いた事もない」
それもそのはず、スキルの書は今まで隠しダンジョンにしか無かった。それを知っている人も当然少なく、多数のユーザーが困惑していた。
「皆んな困ってる」
ライムがププと笑うと、ケンも「そうだな」と返す。
しかし、ライムは笑うのを止めるといきなりかしこまる。
「ねぇケン」
「どうした?」
「二人で絶対に表彰台に乗ろうね!」
その言葉にケンは「おう!」と返さずにはいられなかった。
この世界の片隅でこの物語を読んでくれてありがとう!
最近「この世界の片隅に」を見た青艸です。
闘技場編?開始です!
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