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第二十六話 スライムと怒り

「皆さん準備はいいですか? それではカウントダウンを開始します! 5 4 3 2 1 炎の迷宮、決勝戦スタートです!」


 大きくハキハキとした声でスタートの合図が出される。


「行くぜーっ!」


 まず最初に飛び出したのはマーク。とてつもない速度で山を駆け上っていく。

 走って追いかけようとするが、マークの元へ行かせないと言わんばかりにグリフォンが立ち塞がる。


「グリ、そこは頼んだぜ!〝風壁(ふうへき)〟」


 マークが言うと、グリフォンが風で出来ている壁のようなものを作り出す。


「これ、どうやって抜けよう…」


 早くこの壁を突破しなければ、マークは旗まで辿り着いてしまう。

 ライムが必死に考える中、〝風壁〟は何故か真ん中から崩れ始める。


「えっ!?」


 〝風壁〟が破れた直後に前を見ると、レオンが二回戦の2倍程の速度で走っている。

 どうやらレオンは〝風壁〟を突っ走って突破したようだ。


「凄い…けど、私も負けないよ!〝自由変化〟《サンダーバード》」


 ライムはスキル〝自由変化〟を発動し、ラスはサンダーバードへと変化する。


「おい、なんだあれ!」


 レオンの後から走り出していた二人はラスの存在に気が付き、驚きを隠せない。

 しかし、二人はすぐに目の前にいるグリフォンを倒そうと、再び前を向く。


「あの子を倒さないといけないのかー、相当レベルも高そう」


 グリフォンはマークにスキルを言われない為、スキルは発動しないが、通常の攻撃のみで二人を足止めしている。


「うぅん…よし! ラス〝静止雷(せいしのいかずち)〟」


 サンダーバードことラスは雷を出す。

 ライムはこんな時の為に、色々なモンスターのスキルを確認しておいたのだ。


「なんだこれ!」


「動けねぇ」


 不意打ちを突かれた二人とグリフォンは〝静止雷〟の効果によって、身動きが取れなくなる。


「お先に失礼します」


 ライムは何故か申し訳なさそうにそこを通り抜ける。

 ライムが麓から上を見上げると、マークとレオンが戦闘を開始していた。


「お前、邪魔するんじゃねぇ!」


「邪魔をしない訳がないだろう〝影分身〟」


 お供がいることもあってか、ややレオンが優位に立ち回っている。

 

「うわぁ、凄い」


 ライムは急いで山を駆け上り、マークとレオンの戦闘の少し離れた場所から見つからないように頂上を目指す。


「あと少し!」


 旗が目の前まで来たとき、横からグリフォンが上がってきて、スキル〝暴風〟を発動してくる。どうやらラスから逃げてきたようだ。


「気づいてない訳がないだろ!」


 マークはレオンとの戦闘をしながら、ライムにも気を配っていたようだ。ライムは突然の事に反応出来ず、山の頂上から落下してしまう。


「ッ!」


 物凄い高さからの落下なのでライムは目を閉じる。しかし、いつになっても落ちる感覚がない。むしろ、飛んでいるような……

 ライムが目を開けるとそこはラスの上だった。


「偉いぞ、ラス」


 ライムがラスの頭を撫でると、ラスは「キェーン」と嬉しそうに鳴く。

 しかし、結構な距離、落下してしまったようで、すぐ下にはグリフォンに足止めされなくなり、急いで駆け上る二人がいた。


「よぉし! ラス、もう一回行くぞー!」


 ラスに乗って、再び上を目指す。

 少し上がると、マークとレオンが視界に入る。ラスに乗ったままでは目立って、邪魔されてしまう事は火を見るよりも明らかなので、少し下の地点で降りる。


 ライムが隠れて近寄ると、話している声が聞こえて来る。


「お前は俺を倒せないのさ」


「何を言っている。先程から俺が優位なのだぞ」


「ハハッ、そうだったな。じゃあお芝居はもう終わりとするか。そこのスライム野郎も見てやがれ」


 ライムは先程も気付かれていた事から、バレている事は察していた為、あまり驚きはせず、静かに見守る。

 レオンは最大限の警戒体制を取る。マークはレオンと距離を取り、ニヤッと笑う。


「喰らえ!〝特攻破裂〟」


 マークがそう言うと、レオンの背後にグリフォンが現れる。


「お前、まさか…」


 レオンの顔が引きつる。

 グリフォンはレオン目掛けて特攻し、レオンの目の前まで近寄ると、自らの体を爆発させる。

 爆発が収まると、そこにレオンとそのお供、そしてグリフォンの姿はなかった。


「ハッハッハ!! ざまぁねぇぜ!」


 それを見て、マークは悲しむ素振りを一切見せず、大声で笑う。

 あまりの無慈悲な様子に村では目を瞑る人まで現れた。


「__もしろいんだ」


「あぁ?」


 ライムは気付くと、マークの目の前に立っていた。


「仲間を特攻させておいて、何が面白いんだ!」


 ライムは自分でも分からない程に怒っていた。


「仲間? いいや、アイツは俺が勝つ為の道具にすぎねえよ」


「ふざけるな…」


 ライムはゆっくりとマークに近づく。


「お前に勝って仲間の大切さを教えてやる」


「やれるもんならやってみろ」


 二人は睨み合うと、戦闘を開始した。


読んで下さりありがとうございます!!


最近、評価で星1なら無い方がマシ という、とあるなろうのエッセイを読みました。

星1がいらない? そういう人もいるんだな…… 決してそのエッセイを否定している訳ではありません。


けど、評価をして貰える事、読んで貰える事に感謝する事が出来る人間になりたいです!

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― 新着の感想 ―
[一言] マーク嫌な奴ですね。しかし嫌われ役を描写出来てこその小説書き! 果たして勝負はどうなるか……楽しみにしています
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