第二十五話 スライムと決勝戦
「ハハッ! 今の炎の迷宮の参加者はこんなもんなのか! 」
マークは他の人を嘲笑う。
「物凄い迫力だった…」
ライムは第二回戦が頭から離れないでいた。
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「オラァァーー!」
第二回戦のスタート合図が出ると、マークが大声を上げ、走り出す。その後ろからレオンも負けるまいと走る。
「はやいっ!」
ライムを含め、他の三人も走るが、マークとレオンには到底追いつけない。レベル28のライムはSPD70を超えている。そのレベルですら、明らかな差をつけられる事から、相当レベルが高いことが伺える。
「もしかしたら、ルイさんと同じくらいのレベルかも…」
ライムはそんな事をふと思う。
ルイは本気を滅多に出さないので、見た事があるのは一つの手で数える事が出来る程の数。
しかし、その時のルイのスピードと比べると、あまり変化がないように感じられた。
「オラァ! 〝乱撃斬〟」
「〝エアーカット〟」
ライム達が大オークの元に辿り着いた頃には、既に大オークのHPは半分以上、無くなっていた。
「ラス〝体当たり〟」
ライムは必死に食らいつこうとラスの体当たりを発動する。どうにかラスの攻撃は命中するが、その後すぐに緑チームの大オークのHPはゼロとなった。
他のチームはどのチームも70%以上余っているのを見ると、どれほど異常かがよく分かる。
ライム達、緑チームはすぐに女性の元に転移する。女性もあまりの早さに驚きを隠せていなかった。
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「え、えっと… お疲れ様です…」
女性は混乱しながら、そう言う。
「フンッ! やっぱり俺の方が活躍しただろ」
「いいや、今回は俺が活躍した」
「あぁ? 舐めてんじゃねぇぞ」
女性の言葉を無視して二人は会話を続ける。
「えー、第二回戦は緑チームの勝利です。おめでとうございます! 」
それでも、女性は元気を取り戻して口を開く。
「それでは、決勝戦に入ります! 決勝戦はお決まりの〝フラッグス マウンテン〟です!」
「ビーチフラッグスの山…もしかしてあれかな」
ライムは身に付けた英語の知識をフル活用し、マウンテンは山、フラッグスはビーチフラッグスだから旗、という事が分かる。
過去に村を歩いていると、村の真ん中のモニターに山の上にある旗を取り合っている人達の姿が映し出される事が度々あった。
それをたまに面白くて観戦していた事もあり、「自分は今からそれをやるのかな?」とライムは考えていた。
「皆さんはお気付きかもしれませんが、決勝戦は村のモニターに映されます! くれぐれも恥をかかないように気をつけて下さいね」
ニコッと笑いながら女性は手を振る。
「それでは、行ってらっしゃーい!」
「ぎゃっ!」
油断していたライムに容赦なく眩しい光が襲いかかる。その為、おかしな声を出してしまう。
「どうして最後は光るの? 勘弁してよ」
ライムは光が収まったのを確認すると、顔をあげる。
すると、前には大きな山。そしてその頂上には赤色に輝く旗が突き刺さっていた。
「〝フラッグス マウンテン〟にルールは一つ! それはペアで旗を取る事が出来ない事です。ですがそれ以外はお互いに闘い、妨害するのも良し、倒しても良し。なんでもありの勝負です!」
「た、倒しても!?」
ライムはその事は想定に無かったようで、少し驚くが、すぐに切り替え、戦闘の心構えをする。
「皆さん準備はいいですか? それではカウントダウンを開始します! 5 4 3 2 1 炎の迷宮、決勝戦スタートです!」
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「ライム、大丈夫かな」
俺はマイホームから急いで村に向かっていた。
ルイさんからライムが炎の迷宮に参加する事を聞いた時、驚いた。それと同時に、ライムの悩みに気づく事が出来ず、悔しかった。
村に着くと、そろそろ決勝戦の時間となっていた。ライムが決勝に出ている事を信じてモニターを見る。
「いた! けど、なんだ…アレ」
人が多い為、モニターを遠くから覗く。すると、そこにライムは映っていた。けれども、その横にいるのはランキング6位のレオン。
そして、モンペアで一番の乱暴者と言われているランキング4位のマークまで。
「今回はマークに決まりだ」
「いや、俺はレオンだと思うぞ」
周りではそんな会話が繰り広げられている。
炎の迷宮は月に一回と高頻度なので、観戦者は多くはないはず。やけに人が多いと思っていたが、どうやらマークとレオンの勝負を見に来ているらしい。
「勝てよ、ライム」
俺は祈るように呟いた。
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