第二十二話 スライムと炎の迷宮
【ライムのレベルが30に上がりました】
【ラスのレベルが125に上がりました】
『ライムがスキル〈乱撃斬〉を獲得しました』
『ラスがスキル〈巨大化〉を獲得しました』
「えぇ!」
炎の迷宮の前日、ケンが家の用事で不在の為、ライムは一人で経験値ダンジョンに行っていた。
前にいたバタフライの大群を倒し終わると、そんな情報が流れてくる。レベルが二人揃って上がることはよくあることだが、スキル獲得の情報など、滅多にこない。
ましてや、それが二人揃っての事なので、ライムは驚きを隠せずにいた。
「今、試してみようかな」
ライムはダンジョンにいることをいいことに、早速新しく獲得したスキルを使う。
「〝乱撃斬〟」
ライムは襲いかかってきた3体のガルムにスキルを発動する。スキルを発動すると、体が素早く動き、3体のガルムにランダムに合計6発の攻撃を当てた。
ガルムは3体揃って倒れた。右下のMPを確認すると、10減っていた。
「へぇ〜、なかなか強いじゃん。次はラスのスキル!」
ラスのスキルが楽しみでウキウキするライム。
「ラス!〝巨大化〟」
それを聞いたラスはムクムクと大きくなり、サンダーバードのような大型モンスター程まで大きくなる。
「うそっ!可愛いが大きくなった!!」
ライムは謎の考えで喜ぶ。
ラスのMPを確認すると、15減っていた。
「〝巨大化〟は可愛さが増えるという事だね。明日への準備は完璧!」
ライムは腕を組み、ウンウンと頷く。そして、経験値ダンジョンの制限時間が切れると、マイホームに帰りログアウトをする。
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「ライム、頑張れよ!」
ルイから事情を聞いたケンがライムを応援する。
「うん!」
元気よくそう言うと、村の真ん中から少し離れた応募場所を目指す。
「結構人いるんだ…」
辺りを見回すと、応募をする人が沢山いた。
毎月行われているイベントとは言え、報酬を貰えるのは優勝者の一人だけ。なので、参加者は毎回それなりの人数がいる。
『皆の者、今日はよく集まってくれた』
ライムが緊張していると、聞き覚えのある声と口調が聞こえてきた。
画面を見ると、ドラゴン襲来イベントにもいた老人がいた。どうやらこの老人はイベントの前には必ず現れるらしい。
『今から御主達には、様々なミッションを乗り越えてもらう。時には他人と協力を、そして時には蹴落とし合うことも必要だ。頑張ってくれたまえ。では準備はいいか。3 2 1』
カウントダウンが終わると、ドラゴン襲来イベントと同じように辺りが一気に光る。
ライムは二回目と言うこともあり、驚きはしなかったものの、眩しい為つい目を閉じる。
「ここは…」
眩しさが無くなると、またもや今まで来たことがないマップに転移していた。
「皆さんこんにちはー!」
転移した場所に既にいたであろう女性が元気にそう言う。その女性の横にはルーレットが置かれている。
「こんにちは!」
ライムは反射的にそう答えるが、同じように答えた人はライムだけのようで周りの人から視線を浴びる。
「はい、こんにちは!気を取り直して、第一回戦の試合内容決めルーレットを始めまーす!」
「いぇーい!」
その言葉を待っていたと言わんばかりに今度は周りの男達が叫ぶ。
女性は横にあるルーレットを勢いよく回す。
「どういうこと?」
周りの人達はルーレットをまじまじと見ているが、ライムは何が起こっているのか分からずキョロキョロとしていた。
「決まりました!一回戦は【速足兎を捕まえろ】です!」
ライムがキョロキョロとしている間にも、ルーレットは止まり女性が言っていた【速足兎を捕まえろ】という項目に止まっていた。
「いってらっしゃーい!」
女性が手を振ると、画面が草原に変わっていく。どうやら、画面を光で覆わなくても、転移は出来るらしい。
ライムは心の中で「毎回これでやってよ」と言う。
「カワイイー!!」
転移した先の草原には可愛らしい兎が沢山いて、ライムは天国にいるような気分になった。
「一回戦、開幕です!」
先程の女性の声がどこからともなく聞こえてくる。
「ウォォーー!!」
その声が聞こえると、周りの人達は一斉に兎目掛けて走り出す。
「え、え?」
こうして炎の迷宮、一回戦は始まった。
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