第二十話 スライムと絶品料理⑤
今回で絶品料理編は完結です。
「来い!!」
その言葉に応えるようにサンダーバードはケンに突撃をしようとする。しかし、突撃をする事は、行動から読めた為、ケンは軽々と躱す。躱した直後にケンは自分のスキル、そしてシンバのスキルを繰り出す。
その攻撃を食らったサンダーバードのHPの残りはほんの少しになっていた。
その異変にケンが気付かない訳なく、ケンは驚く。
「コイツ、元から瀕死だったのか!?」
ケンの言葉を無視して、サンダーバードは雷撃をしてくる。
「うっ!」
雷撃は先程の突撃とは違い、突然に、そして素早い攻撃の為、ケンはそれを食らってしまう。
雷撃の効果のせいか、ケンの身動きは取れなくなってしまう。
そこにサンダーバードは威力の高い飛行突撃をしてくる。攻撃を受けてしまったら、ケンは一撃でやられてしまうだろう。
「シンバ!〝威嚇〟」
それでもケンは諦める事なく、シンバのスキルを発動する。シンバの威嚇を食らったサンダーバードは怯む。
威嚇には相手を怯ませ、さらには相手のDEFを一時的に減らす効果もある。
サンダーバードは怯むも、すぐに飛行突撃を再開する。しかし、怯んでいた間にケンは身動きが取れるようになる。
「〝疾風突き〟」
ケンは飛行突撃を躱さずに、サンダーバードの目を見ながらボソッと呟く。
ケンが〝疾風突き〟を発動し、辺りを見回すとサンダーバードの姿は消えていた。その代わりに、経験値と装備がドロップしていた。
ケンはドロップした装備を確認する。
雷光の剣〔レア〕
装備した時、ATK+41 SPD+20
「とりあえず帰るか」
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「ケンまだかな〜」
ライムとカールはダンジョンの外で、ケンの帰りを待っていた。
「ライムとケンは仲が良いんだね」
「まぁ、昔からの付き合いもありますし。ケンってほら、優しいじゃないですか?」
「そうだね」
「何笑ってるんですか?」
「ごめんごめん。つい笑ってしまったよ」
二人が話している間にボロボロのケンが戻ってくる。
「ケン!大丈夫?」
「なんとかな。回復を挟んでいかなかったら危なかった」
「でも、無事で良かった」
ライムは胸を撫で下ろす。
「二人に来て欲しい所があるんだけど…」
カールはライムとケンが村へ帰ろうとしている時にそう言う。
「クレイさん。頼んだアレ作れますか?」
カールは二人を食料店へ連れてくる。店に入るとレジのおじさんにそう言う。
「おう!任せとけ」
クレイはカールに何かを受け取ると、店の奥へ入っていく。
「カールさん。これからなにを?」
「まぁちょっと待ってて」
暫くすると、レジのおじさんが何かを持って近寄ってくる。
「待たせたな。これがラビリンスキャンディーさ」
「ラビリンスキャンディー!」
「ラビリンスキャンディー?」
ケンは驚き、ライムは首を傾げる。
「ライムは知らないのか?ラビリンスキャンディー」
ラビリンスキャンディー
食べた時、HP150回復 MP60回復
「そんなに回復するの!?私なんてほとんど全回復じゃん」
ラビリンスキャンディーは主にラビリンスの実を素材として作る。しかし、作るのは簡単ではなく、料理人の腕が試される食料とも言われている。
「でも、何故これが俺達に?」
ケンがクレイに聞くと、クレイはカールの方を見て、何かを言えというような素振りをする。
「実は、ラビリンスの実を依頼されたっていうのは嘘でね。君達にフルーツタルトのお詫びがしたかったんだ」
「そんな…元はと言えば私がお礼をしなければならないのに」
「うぅん。僕はもう沢山お礼を貰ったよ。ダンジョンに入れた事、あんなに大きなモンスターを見れた事、何より君達の笑顔が見れた事が一番のお礼だよ」
「何カッコつけてんだ」
カールが言い終わると、クレイが突っ込む。
その後、四人で楽しく笑いあった。
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